センセーと点滴
「井上? 」
急に肩を掴まれて、名前を呼ばれた。
「大丈夫か? 井上」
アタシは重たいまぶたを何とか開けて、その声の主を見る。
「せ、せんせ? 」
そこには心配そうな顔をした佐藤センセーの顔があった。
アタシはセンセーの顔をぼんやり眺める。
するとセンセーの手がふわりとアタシのおでこに触れた。
ひんやりとした感覚がとても気持ちよくて、アタシは思わず目を瞑る。
「――井上、立てるか? ――いくぞ? 」
センセーの声が、なんだかとても遠くから聞こえてくる。
その声に答えようとしたけど、体の奥からじわじわと睡魔が襲ってきて
アタシは再びまどろみの中に溶けていった。
ふと気が付くと、そこは白い空間だった。
アタシの右手には管が付いていて、その先には点滴のパックが付いている。
「点滴……」
アタシは体を起こそうとしたけど、なんだかうまく力が入らない。
ナニコレ?
どういうこと??
「気が付いたか? 気分はどうだ? 」
点滴にばかり気をとられていたから気が付かなかったけど、
アタシの左側になぜか佐藤センセーが居た。
「え?
あれ??
――アタシ――? 」
アタシが戸惑っていると、センセーは説明をしてくれた。
それによると、アタシはホームにあるベンチでぐったりとしていたらしい。
その時センセーがアタシを見つけて、病院まで運んでくれて――で、今に至るんだそうだ。
「井上の家には連絡入れておいたから、とりあえず点滴が終わるまで寝てていいぞ。
あと一時間くらい掛かるらしいからな」
そう言うとセンセーはアタシのおでこを触って「うん、だいぶよくなったな」と言って笑った。




