かみさま~っ
「そういえば、センセーってお金持ちだったんですねぇ」
アタシはこの重たい雰囲気をナントカしたくて、わざと話題を変えた。
……もう少し普通の話題でもよかったのに、アタシってばなんでこんな変な話題振っちゃったんだろ?
だってほら、センセーがちょっと困った顔をしてる……。
「ご、ごめんなさい!
アタシ、いっつも思ったことを、すぐ口にしちゃって……
チアキにも『もう少し考えてから話しなさい』って良く怒られてるんです!
だから、あの、その――今言ったこと、忘れてください」
アタシは顔を真っ赤にしながら、センセーに謝った。
ああ。
なんでアタシって、いつも考えなしなんだろ――。
「そんなに謝らなくたっていいよ。
だいたい、その素直さが井上のいいところでもあるしな」
センセーはアタシの方を見て、爽やかに言った。
「――親戚がこのマンションのオーナーでね。
住んでるついでに、マンション内の見回りなんかもするって約束で格安で借りてるんだよ。
親戚は家賃は要らないって言ってくれるんだけど、さすがに先生も社会人だしな。
って訳で、残念なことに金持ちじゃないんだなあ」
そう言うと、センセーはアタシの頭をぽんぽんと撫でる。
せ、センセーって優しすぎ……。
こんな優しいセンセーなら、きっと彼女さんとか、いるんだろうなあ。
ぼんやりとそう思ったときだった。
ピンポーン
急にチャイムの音が聞こえた。
も、もしかして、先生の彼女さんの来訪??
アタシはびっくりする。
彼女さんが来たとき、先生の部屋にアタシが居たら――まずくない???!
「せ、センセェ。
アタシがここに居たら、まずくないですか?? 」
アタシはどきどきしながらセンセーに言ったけど、
「べつに? なんで? 」と、当の本人は全く気にしてないみたいで、そのままインターホンに出る。
「はいはい?
――ああ。別に良いけど。
ロック解除するから、入って」
え、と。
アタシ、どうすればいいんでしょ??
――か、カミサマ。
どうか。
どうか誤解で修羅場にはなりませんように――。
アタシはとりあえず心の中で、カミサマに祈った。




