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1・料理部にいこう!

 その日アタシはかなり強引にチアキを誘った。


「ちょっと咲。あんた本気なの? 」

「本気も本気! ちょー本気だよ!!」

 アタシはチアキに向かってガッツポーズをする。


「あんたの本気は、まぁ~分かったけどさ、

なんで私まで料理部に入らないといけないの? 」

 チアキは面倒くさそうに手をひらひらとさせながら言った。

「だって~

途中から部活に入るのって、結構勇気いるじゃん?

一人じゃこころぼそいのよぉ~。お願い!」

 アタシはチアキの手をぎゅっと両手で握って、軽く上目遣いで見る。


 この技は、実は男子だけじゃなくて女子にも結構効く。

 アタシの必殺ポーズなのだ。

 ……ただ一人、アタシのカレシには効かないんだけどね。


「あー、分かった分かった。

分かったから、手をはなしなさい」

「え? 入ってくれるの?? 」

「そう。入ってあげる。

帰宅部よりも、なにか部活に入っていたほうが内申点もいいだろうしね」

 やれやれ、といった感じで肩をすくめながらチアキは言った。

「ありがと! チアキ!

これでアタシ、いい奥さんになれるよ!」

 アタシは喜びのあまりチアキに抱きついた。

 そんなアタシをチアキは冷静に対処する。

「こらこら。

料理部に入ったからって、すぐに上達するわけないでしょ?

目玉焼きもろくに作れない人なんだから」


 ――そう、アタシは全然料理が出来ない。

 目玉焼きの作り方はなんとなくわかっているつもりなんだけど、

まず第一に卵がうまく割れない。

 これは致命的だ。

 なぜかどう頑張っても、卵の黄身がぐしゃっとつぶれてしまう。

 それと同時に卵の殻が中に入る。

 卵の殻を取るのに悪戦苦闘。

 そのあと、油を敷いて卵を入れて、ふたをして焼く。

 アタシは半熟が好きなので、頃合を見計らってふたを開けると……

 見るも無残なこげごげのぐしゃぐしゃ目玉焼きの出来上がり。

 

 ――なにがだめなのか、さっぱり分からない。


 でもアタシは大好きなアツムに、アタシの手料理を食べさせたいのだ。

『咲、料理上手なんだね。

こんなにおいしいんだったら毎日でも食べたいよ』

 なーんて言われたい!


 勝手な妄想をして、おもわず顔がにやける。


「咲、またあんた変な妄想してんでしょ」

 チアキが呆れ顔で言ってくるけど、そんなのお構いなしだ。

「だって~、やっぱり男の人がぐっと来るのって、

料理上手な女の子だって聞いたし!

料理が上手になったら、きっとアツムも、アタシのこと

惚れ直すと思うし! 」

 嗚呼! 早く料理上手になりたい!!

 いい奥さんだねなんて言われたい!!!


 放課後、アタシは少し呆れ顔のチアキと一緒に料理部の部室に行くことにした。


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