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イルマギア  作者: 鳴澤 衛
SS
72/80

煩悩アデラ

誓いのコブラの後の、アデラの様子。

(やることが卑怯なのよ)

 宮廷の廊下を闊歩するアデラ。

 そりゃあ、お側に付きたいとしつこかったかも知れない。

(だけど弱味につけこむなんて──)

 どさくさに紛れて唇奪って良い思い?

(花火の予行演習の時も、暗闇に紛れて──)


 意気地無しのやり方じゃないの。


(口付けしたいと言えば断りはしないのに……)

 ロジオン様に言われたなら絶対に断らない。

 からかわれて騙されて唇を奪われて。

 だから罰のつもり。


(でも……)

 母親ゆずりの白い肌が、ほんのり色付き、揺らぐブルーグレーの瞳。

(可愛かった)


 ──もう少し、いじくって楽しんでも良かったかも──



 はっと、我に返りかあああと身体が火照る。

「な、何を思ってるのーーーー私!!」

 罰よ、罰なはず!

 いや、でも、今まで散々からかわれたし

 私だってやれば出来る

 出来るって何を?

 ロジオン様をあーしたり、こーしたり。

 

 「──やらしいことしか思いつかない……」


 はあああああと溜息きを付いて、また、はっと気付く。

 「躾って……普通の躾のみよね? ……夜の方までは……無しよね?」

 躾を任された人が、そう言うことまで任された話ってよく物語りにあるわね……。

「でも、まさか、第二王妃様が……そのようなことまでお考えになって任したとは……」

 確認した方が良いのか?

 いや、でも、考え過ぎ。

「もし、そうなら……」



 ──いじくり放題……?



 宮廷の廊下に不気味な唸り声が響いた。

 それを聞いた者達は、気味が悪そうに背筋を縮める──歴史ある城にはよくある現象だ。まだ人気がある時に起きるのは稀だけど。




「煩悩よ去れ! 」

 壁に頭を擦り付けてぶつぶつ言い訳しているアデラがいることに、ロジオンだけじゃなく、城の者達も全く気付かないで夜は更けていった。


いかがでしたか?

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