等価交換
「で?俺は何に協力すればいいわけ」
なんだろう。何であたしだけ損をしてる気がするんだろうか。
シキは嫌〜な笑顔浮かべちゃってさ。すっごい楽しそう。そんなに楽しいかい人の黒歴史。相変わらずいい性格してやがる。
「はい。ヤマト君、でしたっけ?君には私達の無茶振りにいろいろ応えてもらいます」
「……それのどこが協力?完全に一方的」
的確な突っ込みをありがとう。あたしも思った。
「一方的だなんて。私は等価交換主義なんですよ」
どんな主義。
「君にこちらの無茶振りを聞いてもらう代わりに、こちらも君に修行なりなんなり施してあげますよ。強くなりたいんでしょう?」
「…………」
あー、なるほど。やっぱいい性格してるわ。
少年の一番の目的は強くなること。そのためにここまで来たんだし。その代わりに提案されたのが無茶振りへの協力。これなら少年からしても悪くはない条件。ただし問題はここからで。シキからすると好都合でしかない話なんだよね、これ。こっちの無茶振りは聞いてもらえる、修行ったってほぼ暇つぶし。なんにも損がない。
「……その無茶振りってぇのは何なんだ。俺に何の関係がある」
お、この子意外と頭いいかも?
「君は予言って知ってますか。大昔、世界が出来た初期の頃の予言が動き出しました。ですがこちらとしてはその予言に従順に従ってもいられない。抗わないといけない。どんな手を使ってでも予言の軌道を変えなければいけない」
んー……初耳。ていうかあれ予言だったんだ。数え歌。で、なんでまたそんな面倒なことをしなきゃならないんですかね?
「予言だかなんだかは知らねー。どっちにしろもう少し詳しく聞かせてもらわねーとどうも出来ねーよ」
投げやりだなあ。
「俺は馬鹿じゃねぇけど難しいこと考えんのは苦手なんだよ」
……それを馬鹿というのでは?
「まあ簡単な話、世界が終わるってだけですよ」
こいつっ……。なに笑顔でしれっと言ってんだ。大問題じゃ大問題。世界が終わる?
「そりゃまたたいそうな予言を遺してくれたね、あいつら」
「ですね」
「あいつらって誰だよ」
あ、知らないのか。
「通称創設三人組。文字通り世界の創設者ですよ」
「そいつらがこのとんだ予言を遺してくれたってわけ……なんだよね?」
あたしも今初めて知ったことだらけなんだけどさ。多分つまりそういうこと。
「世界が終わる……。それは止めなきゃなんねぇだろうけどさ、お前らがやんのか?」
「まあそうだろうね。知ってるのあたし達だけだし。言っちゃ悪いけどそこら辺の有象無象たちにはたとえ知ってたところで変に騒ぎ立てるくらいしか出来ないと思うよ」
「リクって意外と口悪いのか?」
「そうですね。言っちゃ悪いと思うなら言わなければいいのに」
お前には言われたくない。
「まあそういうことですよ。どうします?のります?」
「……いいぜ。のってやる」
これから色んな意味で大変になりそうです……。
はじめまして。ゆうきまいです。
本当はもう続きを書く気はなかったのですが、誰かに読んでもらえているとわかって久しぶりに開きました。地の文が苦手なので今回実験的にリクの心の声以外の全ての地の文をなくしてみましたがいかがでしょうか。読みづらいということであれば頑張って練習していきます。よろしければご意見お願い致します。
今後どこまで続きを書くかはわかりませんが多分あと2、3話は書くと思うので読んでいただければ嬉しいです。