罰ゲーム五個目⑦
「・・・・・・はぁ!?」
「ちょ、何。
いきなり、大きな声、出さないでよ、マリア」
「今、何て仰いましたの、キララさん」
「いや、いっそ、ノーパンか全裸でダンスした方が、ギンちゃんを誘惑できて、イチャイチャできるっていうか、一線を思いっきり、越えられるかなって」
「・・・・・・」
「言いたい事があるなら、ハッキリ言ってくれた方が、アタシとしては嬉しいんだけど。
我慢は体に良くないよ、マリア」
「何と言うか、これまでピンと来ていなかったんですけど、今、ようやく、自分の中でストンと落ちた気がしますわ」
「?」
「歯痛が痛いって、このようなシチュエーションで使うのが最適な言葉なんですわね」
「つまり?」
「さすがに、キララさんに甘い宇津路さんでも、ノーパンはともかくとして、全裸のキララさんに目の前で踊られたら、ドン引きしますわよ、間違いなく」
「そうかな?
って言うか、アタシがソロで踊るんじゃなくて、アタシとマリアが一緒に踊る気なんだけど」
「私を、そんな恥ずかしい暴挙に巻き込む気だったんですの!?」
「だって、マリア、恥ずかしい、と気持ちよくなれる性癖じゃん」
「違います、と強く否定できない自分が恨めしいですわ・・・
いえ、でも、さすがに、そういう『恥ずかしい』で快感を覚えられるか、は判りませんわ」
「気持ちよくなれるか、判らないって言葉が出ちゃう時点で、既に、才能がある気はするけどね」
「ッッッ」
「でも、マリアに、そこまで言われると、自分が冷静さを欠いていたなぁ、と自覚できちゃうな。
さすがに、やり過ぎが過ぎるね、真っ裸ダンスは」
「そうやって、自分を冷静に見直して反省できるのは、キララさんの長所だと思いますわ。
あの宇津路さんと、長く付き合えるのも納得です」
「アタシとしては、友達や幼馴染から、恋人としての関係でお付き合いしたいんだけどね。
更にぶっちゃければ、お付き合いよりも、お突き合いされたい」
「ぶふぉっっ!?」
「ちょ、汚いよ、マリア。
お茶、顔にかかったんだけど!?」
「申し訳ありません・・・いえ、今のはキララさんの下ネタが悪いのでは!?」
「今のレベルで噴いちゃうのは、マリアくらいじゃない?
アタシとしては、マリアじゃなくて、ギンちゃんに顔かおっぱいにぶっかけられたいってのに」
「ぶふぅふぅっ」
「お、今度は、ちゃんと横を向いてくれたね」
「キララさん、今のは絶対に故意とですわね」
「さぁ、どうかな?
ってか、アタシが下ネタ言うの察した上で、お茶を飲むマリアも悪くない?」
「・・・・・・否定できませんわ」
「まぁ、おふざけはこれくらいにして、真面目に考えようかな」
「ノーパンダンスは諦めますの?」
「え、まさかの乗り気な感じ、マリアは」
「さすがに、全裸で踊るのはハードルが高すぎますわ。
仮に、絶頂できるほど気持ちよくなれるとしても、宇津路さんにドン引きされたり、『大丈夫?』と真摯な表情で心配などされてしまったら、私、再起不能になる自信がありますわよ」
「確かに、アタシも、真顔とか、優しく微笑んでるギンちゃんに、無言で、そっと、ブランケットを渡されたら、マヂで凹んじゃうかも」
「とことん、私達が、宇津路さんに惚れている証拠ですわ。
好きな御方に嫌われたくない、幻滅されたくない、そう思ってしまうのは、恋する乙女として当然ですもの」
「ガチバリな御令嬢のマリアとしては、ノーパンダンスは、淑女としての嗜みを損なう行い、にならない訳?」
「恋する乙女だからこそ、時には、一歩踏み込んだ攻めを果敢に仕掛けるのも大切だ、と考えますわ」
「なるほど」
「私としては、スカートの丈はこのままで踊りたいですわ」
「短くして、ターンした時、アソコがモロに見えちゃうくらいの方が、履いてないよ、ってギンちゃんにアピールできないかな?」
「見えるか見えないか、そんなギリギリを好む殿方もいる、と聞きましたわ」
「うーん、それを言われると、試す価値がある気もしてくる」
「もしかして、ノーパンなんじゃ、と宇津路さんに疑わせれば、より、ダンスを、正確に言えば、私達をより真剣に見てくれると思いますの」
「ギンちゃんなら、確実に凝視してくるだろうね。
興味が向いた事には、相当な集中力を発揮するから」
「だからこそ、あえて、スカートの丈を現状維持でダンスしたいんですの」
「じゃあ、一回、ノーパンで踊ってみよ」
「了解ですわ。
普通に部屋で下着を脱ぐのは、ドキドキしますわね」
「カメラの位置、この辺りかなぁ?」
「そこだと、スカートの中が、しっかりと見えてしまいませんか?」
「どうだろ。
マリア、ちょっと、そこで軽く動いて」
「これくらいですの?」
「あ、ダメだ、マリアの金色お毛毛が、モロ見え」
「きゃっっ」
「やっぱり、マリア、ちゃんと、アンダーのお手入れをしてるんだね」
「陰毛の処理は、女性として必須ですわ」
「アタシ、今、ツルツルにしてるからなぁ」
「宇津路さんは無毛の方が好みなんですの?」