罰ゲーム五個目③
「そうなると、やっぱり、ヌく為に使う、その手の本は持ってないんじゃないかな、ギンちゃん」
「キララさんが見つけられないほど、完璧な隠し方を、宇津路さんならしていても、不思議ではありませんわ。
もし、皆さんで、かくれんぼをしたら、私、宇津路さんを見つけられる気がしませんもの」
「確かにねぇ、ギンちゃんなら、その線もあり得るかぁ。
けど、そうなっちゃうと、私じゃ、お手上げだね。
マリアと一緒に探すってのも、手だとは思うけど」
「私よりもお付き合いの長くて、宇津路さんに詳しいキララさんでも見つけられないのなら、私が協力しても、たかが知れてますわ。
それなら、翡翠さんとルビィさんの協力を仰いだ方が確実じゃありません?」
「翡翠の動物じみた勘の良さと、ルビィの変態としての嗅覚があれば、ワンチャンあるかぁ・・・」
「でも、あくまで、それは、宇津路さんが、性癖が判明する書籍などを持っている、が前提になる話ですわ。
宇津路さんなら、他の方の作品を尊重こそすれど、性欲を発散させるには必要としないのでは?」
「ギンちゃんは、性欲を持ってないって事?」
「いえ、そうではありませんわ。
これまでの罰ゲームを受けている私たちへの反応から鑑みるに、宇津路さんにも、人並みの性欲がある、と私は感じていますわ・・・ただ」
「ただ?」
「程度にも因るそうですが、男性にしろ、女性にしろ、ムラムラを運動などで発散し、自慰行為による体力と精力の消耗を回避する、と聞いた事がありますわ」
「あぁ、どっかで聞いた事あるかも、そんな感じの話。
スポーツ選手には性欲が旺盛な人がいるけど、試合の前とかにオナニーをしちゃうと、パフォーマンスが落ちちゃうから、筋トレとかで汗を流してスッキリする事で、オナニーの代わりにするって」
「宇津路さんも同じではないでしょうか?」
「ギンちゃん、確かに、体を動かす事は苦じゃないってタイプだけど、筋トレをオナニーの代用にしてるって感じじゃなくない?」
「いえ、宇津路さんの場合、運動ではなく」
「あぁ、なるほど、絵を描く事でムラムラを発散しているって事ね」
「正確に言えば、ムラムラすら、素晴らしい絵を描く原材料にしているんじゃないのでしょうか、宇津路さんは」
「確かに、ギンちゃんのスケッチブック、たまに見せて貰うと、パッと見、普通の花や動物のデッサンなのに、妙に色気を感じて、エッロいなぁ、って思っちゃうモノがあるよね」
「感受性が豊かなキララさんだからこそ、宇津路さんが筆に込めたムラムラを、より鮮明に感じ取れるのかもしれませんわ」
「マリアに、感受性が豊かって褒められると、地味に嬉しいんだけど」
「私は嘘を吐けるほど器用じゃありません事よ」
「けど、実際、パッと描いた絵でも、あんだけの色気が出るんだから、やっぱり、マリアの言う通り、ギンちゃんはムラムラを、絵を描く事で発散してるのかも。
むしろ、あえて、ムラムラする事で、良い絵を描くって意識してる感じ?」
「その可能性も否定できませんわ。
宇津路さんほどの才能ならば、自分の感情などを繊細にコントロールして、絵筆を走らせるのも難しい事ではないでしょうし」
「やっぱり、ギンちゃんは凄いんだね」
「えぇ、宇津路さんは、天才、と表現しても、まだ足りぬほどの才能をお持ちですわ」
「それだけに、モヤモヤするよね」
「何がですの?」
「ギンちゃんがさ、自分の『好き』を詰め込んだ絵を描くためにさ、性欲を発散するのは、別に良いんだよね。
だけど、性欲が溜まってるってんなら、アタシ達が発散させてあげるのに」
「私達を、そのように扱いたくないからこそ、絵を描く事でムラムラを昇華させているのでは?」
「それが水臭いって言ってるの、アタシは!!
アタシとマリア、控えめに言っても、オッパイの大きいJKだよ。
アタシ達が、あんだけ、いつでもOKって雰囲気を出してるんだからさ、普通の男子高校生なら、我慢や遠慮とかしないでしょ。
アタシは、ギンちゃんのイカ臭いベタベタをぶつけて欲しいのに・・・」
「そう言われてしまうと、何だか、宇津路さんに対して、苛立ちを覚えますわね、確かに。
口では、私達を魅力的、と褒めてくださっているんですから、行動に起こすべきですわ」
「ギンちゃんの、そういう紳士らしい気遣いも好きなんだけど、アタシ達は、ギンちゃんで毎晩、オナっちゃうくらい、マヂラヴなんだから、ケダモノになってほしいわけよ」
「私は、毎晩、自慰は・・・」
「ダウト。
マリア、アンタは絶対、毎日、ギンちゃんとヤる妄想でオナってるでしょ」
「んな!?
何を根拠に、そんな事を仰るんですの、キララさん」
「アタシが、そうだもん。
同じ男に惚れた女友達の行動パターンくらい、アタシでも簡単に読めちゃうっての。
それで、毎日、オナってるの?」
「・・・・・・すわ」
「聞こえないなぁ」
「毎晩、自分の指で慰めてますわッッ」
「そうそう、人間、素直なのが一番だよ、マリア」