罰ゲーム四個目(37)
今、私がしゃぶっているのは、右足の親指。
ですから、どれほど、私が懸命に口で刺激をしても、粘ついたモノを先端から発射はしてはくれないでしょう。
そのジレンマを感じながら、私は顔を動かします。
足を舐められている宇津路さんも、足を舐めている私も、宇津路さんと私をスマフォで撮影しているキララさんも、皆、無言なので、室内には「ジュボッジュボッ」と淫靡な音だけが響いています。
いえ、私の口から生じる淫らな音以外にも、何か、他の音も聞こえます。
何かしら、と不思議には思いますが、顔を動かすのに集中しなければならない私には、周りを見回す余裕がありません。
ですから、耳に意識を集中させます。
聞こえてくる音は、「クチュッ、グチュンッ」と湿った何かを弄るようなモノでした。
(この音、聞き覚えがありますわ・・・・・・まさか)
見えはしませんが、私は音を聞き直し、確信します。
(キララさん、私達を撮影しながら、ご自身のアソコを指で慰めていますわッッ)
私は憤りを覚えるのですが、キララさんが私達、いえ、恥ずかしい事をしているのは私だけですわね、私の痴態を前にし、我慢できずに、股間の火照りを抑えている事、それ自体にムカッと来た訳ではありません。
(私だって我慢してますのに・・・キララさんだけズルいですわッッ)
好きな男性の足の指を舐め、しゃぶり、ほんのりとした塩味を堪能する、そんな恥ずかしさから来る興奮で、私の下着は、とっくにビチョビチョです。
普段、そんな状態になれば、私は声を押し殺しながら、スッキリするまで、蜜が止め処めなく溢れて来る割れ目を指で擦っています。
金多家の娘、そのプライドは持っています。
けれど、私だって、年頃の乙女なので、懸想している御方と話が弾んだ嬉しさを思い出した時、御友人からお借りした、少しだけ大人向けの漫画を読んで悶々とした時、はたまた、何の理由もないのに、自然と自身の秘所に手が伸びてしまう事もありますわ。
小まめに、メイドが爪の手入れをしてくださるので傷付けてしまう可能性は低いのですけれど、まだ怖くて、中に指を挿入できないので、割れ目と突起を緩急をつけ、刺激するだけです。
瑠美衣さんから、余っているから、と貰ったオモチャもあるのですが、やはり、こちらを使うのも、まだ怖いのです。
そんな私の臆病さはさておき、キララさんが指で興奮している自分を鎮めているのには、ムカムカしてしまいます。
しっかりと勃ってしまっている乳首を隠すために両手を使ってしまっているので、私はこれほど、ムラムラしているにも関わらず、秘裂を弄る事も叶いません。
そんな私の我慢している様にすら興奮しているキララさんは、私を煽るために、わざと音を出すようにして指を出し入れしているんじゃない、とすら疑ってしまいます。
誰も言葉を発さない中で、いやらしい二つの水音が共に響いているのですから、私ほどじゃなくとも、耳が良く、何より、私と違い、顔を自由に動かせる宇津路さんであれば、キララさんが左右どちらかの手を愛液で濡らしているのは気付いているはず。
(いえ、キララさんなら、宇津路さんに見られる事で、より興奮して、指の動きを激しくさせている可能性もありますわ)
実際、キララさんは指をより小刻みに動かしているようで、私の耳に飛び込んでくる音は大きさを増しています。
余計にムラムラさせられながらも、私は時間配分を忘れてはおらず、名残惜しさを覚えながら、ひょっとこ口でしゃぶっていた親指を口から出します。
残りの四指も同様にひょっとこ口で舐りたいのが本音ながら、指のサイズと配置を考えると、少し厳しいのが現実。
ですから、私は思い切って、口に指を入れるのではなく、口からベッと出した舌で四本を一気に舐める作戦を実行します。
これもまた、瑠美衣さんが貸して下さった漫画から着想を得ましたわ。
改めて、瑠美衣さんに胸中で感謝しつつ、私は宇津路さんの親指以外の指を舌でベロベロと、汚れをちゃんと取る心持ちで舐めていきます。
キララさんは、もはや、羞恥心の類をポイして、堂々と自慰をなさっていますし、私の下着がラヴジュースでビチョビチョなのも、宇津路さんにはバレバレのはず。
であれば、いっそのこと、私も今更の恥ずかしさなど一本背負いして、自慢のHカップを曝け出し、自由を取り戻した両手を使っても良いんじゃないでしょうか。
この流れなら、指を中へ入れる恐怖も乗り越えられる気がしますわ。
この世で最も難しいのは、自分自身を乗り越える事だ、そう、誰かが仰っていました。
勇気の奮い時は今この瞬間だ、と決断した私が、色っぽさを全力でアピールしている乳首を開放しようとした刹那でした、水音だけが満ちていた室内にアラームが鳴り響いたのは。
「ん、時間だね」
「え?」
「これにて、金多さんの罰ゲームはおしまい。
よく頑張りました」
呆けてしまった私の口元から、宇津路さんの足は離れていきます。