罰ゲーム四個目(34)
敗者としての責務を果たす、私の覚悟を、目で察してくれたようで、宇津路さんは、ほんの一瞬だけ言い淀みかけましたが、すぐに首を縦に振ってくださいました。
「OK、金多さん」
胸がほっこりとなる優しい笑みを浮かべ、宇津路さんはリビングのソファに腰を下ろします。
「ギンちゃん、マリアに靴下を脱がして貰えば良いじゃん」
キララさんの発言に、私はギョッとしてしまいます。
「ちょっと、キララさん、見て解りませんの!?
私、今、おっぱいを両手で隠していますのよ。
どうやって、宇津路さんの靴下を脱がしますの」
「どうやってって、靴下を口で咥えて脱がせば良いだけじゃん」
「靴下を口で咥えて・・・」
私は、宇津路さんの靴下を口で脱がせる自分の様を、頭の中に思い浮かべてみます。
実に屈辱的な行為です。
しかし、不思議な事に、そんな自分をイメージした私は、提案をしたキララさんに対する不快感よりも、不思議な興奮を覚えており、乳首がより隆起するだけじゃなく、下半身で熱が疼くのを感じました。
下着に秘裂から溢れた透んだ蜜が染み込むのに気付き、私は思わず、「あっ」と濡れた声を漏らしてしまい、キララさんに怪訝な顔をさせてしまいます。
「う、宇津路さん、そうした方がよろしいですか?」
勝者に命令されてしまったら、それは仕方のないこと、と自分に言い聞かせながら、私は、どこか、それを期待しながら、宇津路さんに尋ねます。
昂った気持ちを隠せていない私に対して、宇津路さんは苦笑いを漏らし、首を横に振ってしまいます。
「さっきのカードには、そんな罰ゲームは書かれてなかった。
あくまで、異性の足の指を舐める、だから、そこまではしなくていいよ」
そう返しながら、宇津路さんは履いていた、黒と白のストライプの靴下をお脱ぎになりました。
宇津路さんが丁寧に丸めて傍らに置いた靴下をジッと視ながら、私はガッカリしてしまいます。
せっかく、宇津路さんの靴下の匂いを嗅ぐチャンスだったのに、宇津路さんに訊くのではなく、行動を起こすべきだったのか、と後悔してしまう私でしたが、ふと、ある事に気付きます。
(今日、宇津路さんは外出していませんわ。
つまり、靴を履いていない、と言う事になりますわね。
そうなると、靴下が蒸れませんから、匂いが強まりませんわ・・・
仕方ありません、宇津路さんの靴下を口で脱がせるのは、次のチャンスを待ちましょう)
私は、次のチャンスが、宇津路さんに新たな黒星を刻み付けられる事と同義である、と全く気付かぬまま、靴下の臭いを堪能できなかった悔しさに震える自分を慰めます。
自分が匂いフェチの沼に片足を突っ込んでいる、それにも気付いていない私は、気持ちを立て直しました。
「金多さん、先にどっちから?」
「左足から参りますわ」
「左ね」と頷いた宇津路さんは、左足が上になるよう、足を組みました。
「じゃあ、舐めて」
そう穏やかに仰った宇津路さんの浮かべている笑顔は、先程と変わらず、軟らかいものなのに、何故でしょう、そこはかとなく、ブラックさを醸しているのは。
ドSオーラがムンムンの宇津路さんの微笑みに、私の下着はますます、湿っていきます。
宇津路さんのものであっても、足の指を舐めるのはなぁ、と渋い表情になっていたキララさんですら、頬を赤らめ、目を潤ませ、うっとりとした乙女の表情で、宇津路さんを見つめてしまっています。
のんびりとしていたら、先に、キララさんが宇津路さんの足の指を舐め出してしまうかも知れない、と思い至った私は、やや急いで、宇津路さんの足元に跪きます。
(やっぱり、宇津路さんの足は大きいですわね)
宇津路さんはクラスどころか学校内でも目立つほど、高身長な生徒ですから、足のサイズも他の男子より大きいのも当たり前の話。
正確なサイズは存じ上げませんが、お父様のお靴が25インチでしたから、宇津路さんは27、いえ、28インチかもしれませんわね。
宇津路さんの足は大きいだけでなく、形も整っていますわ。
大地をしっかりと踏み締めている、と直感させる逞しい形の足に顔を近づける私。
彼の靴下を口で脱がすチャンスを逃した後悔もあってか、私の鼻は自然にピクピクと動き、足の匂いを確認してしまいます。
(・・・・・・あまり臭くはありませんわ)
落胆と安堵、その二つが、私の巨乳の中で綯い交ぜになります。
(きっと、宇津路さんは、指の間まで、しっかりと洗っているんですわね)
宇津路さんの足が臭くない事に自分を納得させていると、不意に、彼が「くくっ」と笑い声を漏らしたので、私はちょっと、ビックリしてしまいます。
「ごめんね、金多さんの鼻息がくすぐったくて」
照れた宇津路さんの笑顔は実に可愛らしく、キララさんは素早く、彼をスマフォで撮影しています。
後で、私も、その写真を共有させて貰わねば、と決意しつつも、宇津路さんにくすぐったさを覚えさせるほど、鼻息が荒くなっていたのか、と恥ずかしくもなりました。