表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム四個目
80/110

罰ゲーム四個目(30)

 どうしたらいいのでしょうか、と私が困り果て、お手上げしたくなった時でした、扉が軽やかにノックされたのは。


 「マリア?」


 「ひゃ、ひゃいっっ」


 キララさんの声に、私は思わず、外れた調子で返事をしてしまいました。

 

 「一分経過したけど、ドア開けて良い?」


 「あ、はい、お願いしますわ」


 いきなり呼びかけられてビックリしてしまいましたが、キララさんが、ドアを開けてくれるようなので、私はホッと胸を撫で下ろし、首を縦に振りました。


 「開けるよ~」と告げてから開けられたドア。

 私は改めて、これから、キララさんと宇津路さんに尖端を指で隠しているだけのHカップを直視される恥ずかしさに耐える決意を、巨乳ムネの中で固め、部屋を出ました。

 リビングに戻って来た私に対し、キララさんはまず、小さく頭を下げてきました。


 「いや、ごめん、ごめん。

 ギンちゃんに言われるまで、マリアがおっぱいを隠したままじゃ、ドアを開けられないって気付かなかったよ、アタシ」


 「大丈夫ですわ。

 宇津路さん、ありがとうございます。

 私、どうしましょう、と困っていたので、キララさんがドアを開けてくれて助かりましたわ」


 「なら良かったよ」


 私の感謝に対して、宇津路さんは優しく微笑んでくれます。

 彼の何気ない、それでいて、的確な優しさにキュンとしつつも、私は、ほんの少しだけ、悔しさが胸の中で波紋となるのを感じます。

 着替える際、同性に胸をジッと見られる、それ自体も恥ずかしいのですから、異性に見られるとなったら、その恥ずかしさの度合いは、少なくとも、三倍となるでしょう。

 世の中には、異性に自分の恥ずかしい所を見られるのが最も興奮する方もいるのでしょうけど、私はそうではありません。

 元々、クラスの中で一番と言っても過言ではない大きさの胸を、男性に見られるのが苦手なのですから。

 恋愛的な意味合いで「好き」を自覚した相手に、おっぱいを見られるとなったら、通常の「恥ずかしさ」とは種類が違ってくるようで、決意を上回ってきます。

 単純に、おっぱいを見せているのではなく、尖端を指で隠し、おっぱいを見せているからでしょうか。

 見えないようにしている乳首が徐々に固く立ってきたのを、指の腹で感じ取った私は下腹部に熱が籠っていくのを自覚します。

 ドキドキとする私は全身が火照っていくのを感じ、自然と、体をくねらせてしまいました。

 そんな緊張した心境で、いざ、宇津路さんをジッと見つめれば、彼はいつも通り、穏やかな表情を浮かべていらっしゃいます。

 そう、表情は普段通りなのです。

 もちろん、私は、自分の観察眼が人並みであるのを自覚しています。

 それでも、宇津路さんの微笑みや目の色は、普段とさほど変わらない、と確信できました。

 自分で言うのも烏滸がましいですが、私はお母様譲りの美貌と巨乳の持ち主です。

 男性に性的な視線を向けられるのは嫌ですけど、自分の美しさは、堂々と自慢すべき長所、と思っています。

 そう思えるようになったのは、キララさんたちのおかげでしょう。

 まぁ、面と言うのは気恥ずかしいですし、キララさんたちを調子に乗らせてしまうので、絶対に入ったりはしませんけど。

 私達の麗しい友情はさておき、今、問題として捉えるべきは、宇津路さんの不変。

 確かに、今この時、宇津路さんは、指で胸を隠している私を真っ直ぐに見つめていらっしゃいます。

 けれど、私の、羞恥によって色気が増しているであろう、少し汗ばみだした肢体に向けられている宇津路さんの目には、色欲が一切、宿っていません。

 じっくりと見られてはいますが、これは、ヌードモデルさんに向けるモノと同じなのでしょう。

 私が見えぬ細部まで、私の美しさを理解せん、と凝視されるのは嬉しいですが、ムラムラされない、それはそれで悔しさが募ってしまうものです。

 私が、己の身勝手な心情に自己嫌悪を覚えそうになったタイミングで、キララさんが口を開きます。


 「いやー、やっぱり、マリアみたいな美人が指一本だけでおっぱいを隠してると、エッロいねぇ」


 ビッと右の親指を立てながら、黄色いガーベラを思い浮かべるような笑顔で、そんな誉め言葉を言い放ったキララさん。

 

 「私にチ〇コがあったら、絶対に勃起してるくらい、エッッロい」


 キララさんの口から出た「チ〇コ」と「勃起」、この単語で私はバッと頬を赤くしてしまいます。

 けれど、私は無意識の内に、宇津路さんの股間をチェックしてしまっていたようです。

 

 「くふっっ」


 宇津路さんが思わず、と言った風で漏らしてしまった苦い笑い声で、私は彼の股間に熱視線を注いでしまっていた事に気付き、ますます、顔が熱くなってしまいます。


 「ちょっと、ギンちゃん、笑うなんて失礼じゃない!?

 ねぇ、マリア、凄く失礼だよね!」


 キララさんからのキラーパスで、余計にテンパってしまう私。

 混乱していた、そんな言い訳をするのは金多家の人間として情けないかもしれません。


 「宇津路さんは、私の胸で勃起しますの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ