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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム四個目
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罰ゲーム四個目(29)

 「・・・・・・ふぁぅ!?」


 金多家の者として、負けた以上は潔く、罰ゲームを受ける、そう覚悟を決めていたのに、出来るだけ、大きい数字が出て欲しい、そんな浅ましい望みを抱いたからでしょうか。

 私の覚悟は薄っぺらい、と鼻で笑うように、サイコロはまさかの目を出してしまいました。

 最悪の数字を目の当たりにし、私は変な声を出してしまいます。

 当然ながら、ショックを受けてしまっている今の私には、そんな醜態を恥ずかしがっている余裕もありません。


 「うわぁ」


 「ここで出すか」


 「ある意味、マリアらしいけどねぇ」


 「まぁ、サイコロを振っちゃった以上、金多さんには従って貰うしかないんだけどねぇ」


 「!?」


 銀製の鈴を軽く振って、涼やかに鳴らしたような宇津路さんの笑い声で、私はハッとします。


 「さすがに、俺の前で脱いでって命令するほど鬼畜じゃないから、隣の部屋に行って良いよ、金多さん」


 「いや、ギンちゃん、ここまで来たら、目の前で脱がせたらイイじゃん」


 キララさんのとんでも発言で、宇津路さんの気が変わってしまったら大変ですから、私は大慌てで立ち上がります。


 「お隣の部屋で脱いできますわ!!」


 「1分以内ね」


 「・・・・・・解りましたわ」


 穏やかな形を作る唇から発せられた宇津路さんの言葉に、私は退路を断たれたのを実感します。

 隣室に入り、ドアを閉じた私は一旦、気持ちを落ち着かせるべく、深呼吸をしました。

 ここまで来てしまったら、改めて、覚悟を決めるしかありません。


 (金多マリア、ここが正念場ですわよ!!)


 グッと両手を握って、私に喝を入れた私は、「やってやりますわ」と口に出しました。

 私は拙い自己暗示でハッスルしている度胸が萎んでしまう前に、早々《さっさ》と服を脱ぐべく、裾に手をかけ、一気に引き上げます。

 金多家の人間だからと言って、毎回、メイドの手を借りて着替えを行っている訳ではありません。

 さすがに豪奢なドレスや和服を着る際はメイドに手を借りますが、普段は、自分だけで着替えています。

 シャツを脱いだ私は露わになったブラジャーに目を落とし、溜息を噛み殺します。


 「もうちょっと可愛らしいデザインのブラにするべきでしたわ」


 Hカップは、私にとって自慢の武器ですが、このサイズに見合った重さを支え、形を維持するには、市販のブラジャーでは些か、厳しくなります。

 金に糸目をつけず、と言ってしまうと、やや品性に欠けますが、私も華の女子高校生ですから、おっぱいを崩したくはないので、下着は高級品を使用しています。

 実力のある人間がデザインし、縫製して下さっている逸品なので、市販のモノに比べれば、遥かに可愛らしく、Hカップに対する包容力にも優れ、私の目指す「お嬢様」の雰囲気にピッタリです。

 けれど、やはり、攻撃力となると、少し弱い気もします。

 体育の授業で着替える際、キララさんのブラジャーを拝見する事も多いのですが、読者モデルとして活躍しているだけあって、下着もギャルっぽい可愛らしさと優れた実用性をきちんと両立したモノでしたわ。

 まぁ、キララさんの場合、読者モデルとしてのプロ意識に加えて、宇津路さんを誘惑する目的も大きいのでしょうけど。

 ついつい、私とキララさんのブラジャーを比較し、負けを感じた私でしたが、ふと思い至ります。


 「よくよく考えれば、ブラジャーを見せる訳ではありませんわね」


 それに気付いたからと言って、気分は楽にもなりませんし、逆に憂鬱にもなりません。

 気持ちを立て直した私は、フロントホックを外し、自慢のHカップを開放します。

 色々な意味で締め付けていたモノが緩んだので、ほんの少しだけ、私は緊張がほぐれたのを実感しました。

 自分の心に可笑しさを覚えた事で、私は御友人、しかも、意中の男性、の御宅で乳房を剥き出しにしている、この現状をより恥ずかしいと思ってしまいます。


 「・・・・・・・やっぱり、恥ずかしいですわね」


 自然と、口から零れてしまったタイミングでした、キララさんが室外から声をかけてきたのは。


 「マリア、あと10秒だよ~」


 「え!?」


 好きな御方におっぱいを見せる、そう腹を括り、無心で脱いでいたつもりだったので、体感としては30秒ほどだったのですが。

 1分を過ぎてしまったら、宇津路さんは兎も角として、キララさんが何をしてくるか、予想できないので、私は「今、行きますわ」と声を大きくして返答します。


 「OK!!」


 「金多マリア、参りますッッ」


 私は、どれだけ隠せるか、それを絶対に考えてしまわぬよう、現実を直視してしまわぬよう、強く意識しながら、汗ばんできた美巨乳の尖端を指だけで隠し、宇津路さんとキララさんが待っていた部屋へ戻ろうとします。

 けれど、私は両手の人差し指で胸を隠していたら、ドアを開けられない、と気付きました。

 しかも、片腕だけで胸を隠しながらドアを開ける事は可能ですが、そうすると、お二人の前に立ち、指で隠し直す際に、尖端を見られてしまいます。

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