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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム四個目
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罰ゲーム四個目⑨

 「思いつきましたの、宇津路さん?」


 「うん、ちょっと待ってて、金多さん」


 マリアを相手にしたゲームのを内容を思いついたらしく、おもむろに、白銀は椅子から腰を上げると隣室に入り、すぐに何かを手にして、戻って来た。

 と思ったら、彼がキッチンの方に向かったので、マリアは目をパチクリとさせてしまう。

 それでも、白銀に、どんなゲームで勝敗を決めるか、を任せたのだから、とマリアは黙って、白銀が準備を終えるのを待っていた。


 「金多さん、お待たせ」


 席に戻って来た白銀が、テーブルの上に置いたモノを、マリアはジッと見つめた。

 それは、マリアが初めて見るもの、ではなく、何度も見た事があるモノだった。


 「これらを使うんですの?」


 マリアが指差したのは、十個のサイコロと二客のお椀だった。


 「もう一つ、これを使うよ」


 白銀は手元にあったスケッチブックから、何も描かれていないページを二枚ほど破った。


 「この三つで、どのようなゲームをするんですの?」


 「まず、これが金多さんが使う方」


 マリアへ、白銀は五個のサイコロ、一客のお椀、一枚の紙を渡す。

 このセットを渡されたマリアは、ますます困惑してしまう。

 

 「ザックリ言うと、数を当てるゲームかな」


 「数を当てるゲーム?」


 マリアが首をコテンと傾げる動作は可愛らしい、と言うより、どこか、妖艶さを醸すものだった。

 そうなる理由に、彼女の肉体の豊満な部分が関わっているのは言うまでもあるまい。


 「俺と金多さんが、同時に、サイコロをこのお椀の中に投げ入れる」


 「はい」


 「投げ入れたら、すぐに、この紙で蓋をして、出た目が見えないようにする」


 「ふむふむ」


 「紙をちょっとズラして、自分のお椀の中でサイコロの目が何か、確認する」


 「なるほど」


 「そしたら、お互いに、自分のサイコロと相手のサイコロの目を足して、いくつになっているか、を予想して口にする」


 「えぇ」


 「正解に近い方が勝ちで、1pが入る。

 9回、これを繰り返して、獲得ポイント数が多い方が勝ちって訳」


 「理解しましたわ」


 「ちなみに、合計数をピタリと言い当てたら、その場合は2pになるよ」


 「確かに、ピタリと当てたのなら、ポイントが倍になるのは当然ですわね」


 自分の頭でも理解できるルールであり、さほど小難しくなく、公平性が高いゲームであったので、マリアはHカップの中で安堵していた。


 「まずは、お互いに1個のサイコロから始める。

 次のゲームは2個でやって、3回目はどちらかが1個増やして、3個でゲームをやる。

 そうやって、サイコロの数を増やして、最終的にはお互い、5個のサイコロをお椀の中に投げ入れて、数を予想し合う。

 こんな感じのゲームだけど、OKかな?」


 「私は、このゲームで何の問題もありませんわ」


 自信ありげに頷いたマリアに、白銀は口の両端を高く吊り上げる。

 喉元に鎌の刃を密着させられたような錯覚を覚え、全身に得体の知れない寒気が広がったマリアだが、グッと股間を締め、失禁しないように頑張った。


 「じゃあ、一応の確認ね。

 このゲームで金多さんが勝ったら、金多さんはキララちゃんの分のシュークリームを食べて、その罪を俺が被って、キララちゃんに代わりに怒られる。

 逆に負けたら、罰ゲームをカードで決めて受ける。

 これでいいよね、金多さん。

 一度、ゲームをスタートしたら決着が付くまで、リタイアは認めないよ」


 覚悟は出来ているか、それを、微笑んだ白銀に問われるマリア。

 思わず、逃げたい衝動に駆られるマリアだったが、彼女を席から立たせなかったのは、金多家の者としてのプライドでもなく、シュークリームに対する執着でもなかった。

 

 (ここでゲームから逃げたら、私はこの方に、真正面から愛の告白が出来なくなりますわ。

 いえ、それ以前に、キララさんのライバルになる資格を手に出来なくなってしまいます)


 「愚問ですわよ、宇津路さん。

 私は、もう、後退のネジを外していますの。

 むしろ、宇津路さんの方が、今から、キララさんの怒りをどう宥めるか、それを考え始めておくべきですわ」


 自分のかけた圧に屈しないどころか、あからさますぎて効き目がないとは言え、煽りムーブをかましてきたマリアに、白銀は目を丸くする。

 しかし、それで、マリアの決意が固く、何をしても揺るがない事を察した白銀は圧を引っ込め、マリアに小さく頭を下げ、試すような真似をした事をしっかりと詫びた。


 「試すような事をしてごめんね」


 「問題ありません。

 さぁ、開始はじめましょう」


 必ず勝ちますわ、と自分を鼓舞したマリアは、自分のサイコロを一つ、手に取る。


 「じゃあ、一回戦目」


 二人はサイコロをお椀の中に投げると、すぐに紙を被せる。

 お椀の中でサイコロが転がる、カランコロン、そんな音がしばらく聞こえ、不意に止まった。


 「私のサイコロは・・・」


 (6の目が出ていますわ)


 幸先がいいのか、そこは判断できないが、少なくとも、合計数が6以上になる事は確かなので、マリアは白銀のサイコロの目を予想する。

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