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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム三個目
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罰ゲーム三個目⑮

 「ちょっと、キララちゃん」


 ギンちゃんが、いつになく厳しい顔つきに変わった。

 でも、そのギンちゃんが、アタシを窘めようとした時、ストップをかけたのは、意外にも、マリアだった。


 「お待ちください、宇津路さん」


 「金多さん?」


 「アタシの為に怒ってくださるのは嬉しいですの。

 しかし、今回に限っては、正しいのは、キララさんですわ」


 「そうかな?」


 ギンちゃんは、その言葉に対して、訝し気、と言うより、困惑してしまった。

 でも、マリアは「そうですわ」と力強く頷き返した。


 「アタシは、宇津路さんに、キララさんを救うために真剣勝負を挑み、健闘も虚しく、惜敗してしまったのです」


 (色々とツッコミどころがあるなぁ)


 そう思ったけど、アタシとギンちゃんは優しいから、目線を交わしただけで、敗者でありながら、堂々とした態度を崩していないマリアを見つめる。


 「であれば、潔く、罰ゲームを受ける。

 それが、敗者として、そして、金多マリアとして通すべきプライドですの」


 自慢のHカップを張るマリアに、アタシを止めようとしていたギンちゃんは、余計な口を挟むのは野暮、と判断したみたい。


 「なら、勝った俺が、何か言うのは失礼だね」


 「私の矜持を配慮していただき、ありがとうございます、宇津路さん」


 「マリアとギンちゃんの間で、しっかりと話が付いたみたいだから、罰ゲームを決めちゃおうよ」


 「そうですわ、早く決めてしまいましょう」


 ギンちゃんは、また、何か言いたげだったけど、マリアの目がキラキラしているのを見て、その言葉を飲み込んでいた。


 「じゃあ、ギンちゃん、カード、よろしく」


 アタシからカードの束を受け取ったギンちゃんは、いつも通りに、美しい動作でカードを切る。


 「素晴らしいですわぁ、宇津路さん。

 あの絵を描く手は、カード捌きもプロ級ですわね」


 「でしょ」


 「どうして、キララさんが誇らしげにするんですの?」


 「ギンちゃんは、アタシの推しだもの」


 「不思議と納得できますわ」


 アタシとマリアがそんな事を喋ってる間に、ギンちゃんはカードをカットし終えて、扇状に広げる。


 「金多さん、なら、ここから一枚、引いてくれる?」


 「はい・・・」と言いながらも、マリアは扇状に広がっているカードに手を伸ばさなかった。


 「どうしたの、マリア?」


 「そ、その、キララさん、このカードには、先程のような罰ゲームばかりが書かれてますの?」


 「先程のような?」


 アタシは、マリアが何を聞きたいのか、気付いていたけど、あえて、すっとぼける。

 そんなアタシに、ギンちゃんは呆れたみたいだけど、空気を読んでか、何も言わないでくれた。

 そういう気遣いをしてくれるトコが、本当に好き。

 

 「・・・・・・いやらしい内容の罰ゲームですわ」


 両頬どころか両耳まで真っ赤になり、頭からは湯気が立ち昇りそうなほど恥ずかしそうにしながら言ってきたマリアは可愛いって言うより、色っぽい。

 同性のアタシでも、ドギマギしちゃうような雰囲気だ。

 一瞬、そんなマリアの色っぽさに、ギンちゃんが誘惑されちゃうんじゃッて不安になったけど、杞憂だった。

 ギンちゃんは、モジモジしているマリアを目の前にしても、ほぼ無反応だった。

 ホッとしたアタシは、これ以上、焦らせるのも可哀想だな、と思ったので、カードについて教えてあげる事にした。


 「全部が全部、あんな罰ゲームじゃないよ」


 アタシの言葉を聞いても、まだ、不安は消えなかったのか、マリアはギンちゃんを見た。

 ギンちゃんも、「キララちゃんの言っている事は確かだよ」と頷いたからか、マリアは明らかに安堵し、ゆっくりとカードに手を伸ばしていった。

 それでも、10秒くらいは、どのカードを引くべきか、迷っていたけど、ついに腹を括ったみたいで、ギュムッと目を閉じると、ある一枚を勢いも良く引き抜き、表を見ないようにしてカードをアタシに差し出す。

  アタシは、マリアの手からカードを受け取ると、表に書かれていた罰ゲームの内容を確認する。


 「わおっ」


 つい、どっかのお笑い芸人みたいなリアクションを、アタシはしてしまうけど、誰だって、この罰ゲームを見たら、こんな声が出ちゃうって。

 アタシのリアクションに眉を顰めたギンちゃんは、アタシが凝視しているカードを確認する。

 さすがの、ギンちゃんも、「ん」と声を漏らした。


 「ギンちゃん、これ、チェンジすべきかな」


 思わず日和ってしまったアタシに、ギンちゃんは何も言わず、その代わりに、どんな罰ゲームになってしまったのか、オロオロしているマリアに、冷徹な視線を向ける。


 「・・・金多さん、念の為に確認するけど、敗者のプライドを通すために、どんな罰ゲームでも受け入れる覚悟なんだよね?」


 つい、さっきまで、全身、特に、爆乳《Hカップ》からドバドバ出てた色気はどこに、と思うくらい、マリアはビシッと表情を引き締め、無言で頷いた。

 だから、ギンちゃんは淡々と罰ゲームの内容を読み上げた。


 「異性の尻に顔を埋め、30秒グリグリ」

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