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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム三個目
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罰ゲーム三個目④

 マリアを、どういう人物か、と他人に説明する時、アタシは真っ先に、「お嬢様」と言う事にしている。

 何せ、大抵の人間が、漫画やアニメに登場する、ちょっと高飛車なお嬢様の姿を想像して、と言われたら、頭の中にパッと思い浮かぶイメージ像そのままの見た目なんだもん。

 マリアの髪色は、お母さんが外国人だからか、金色だ。

 ムカつくくらい、その金髪はサラサラで、櫛で梳いた感触が気持ちいい。

 マリアは、このお母さん譲りの金髪を、お嬢様っぽい、ドリルツインテールにしているんだよね。

 マリアはマリアで、自分のキャラがお嬢様って事を自覚していて、その印象を大事にしており、なおかつ、アピールしたいみたい。

 実際、マリアは、お金持ちの家に生まれている。正に、姓の通りだ。

 あまり詳しくは聞いていないし、説明されてもチンプンカンプンで、アタシの頭で理解できたのは、お父さんが大きい銀行の偉い人で、お母さんが外国で活躍していたスーパーモデルで、今は服のデザイナーって事くらいだった。

 マリアの父方のお祖父さんも広い土地を有していて、先祖は華族だったみたい。

 だから、金多マリアは、正真正銘、マヂのお嬢様で合っている。

 Hカップに負けないくらいのトレードマークと言っても過言じゃない、ドリルツインテールも毎朝、メイドさんにセットしてもらっているみたい。

 アタシも、読モのバイトをやってるから、それなりにヘアアレンジには詳しいけど、一体、どうやったら、あそこまで、見事なドリルツインテールに出来るのか、てんで見当が付かない。

 悔しいから、面と向かって褒めた事はないけど、マリアは凄い美人、とアタシは思っている。

 お母さん譲りなのは髪の色だけじゃなくて、その美貌も受け継いでるなぁ、と家族で撮った写真を見せて貰った時、唸っちゃったくらい。

 アタシは、めっちゃ可愛いギャルだけど、マリアは正統派の美女だ。

 校内で、美人コンテストをやったら、間違いなく、マリアは二位に大差をつけて一位になれそうな見た目だ。

 顔の作りは、男子だけじゃなく、女子でも見惚れてしまうほど整っている。

 背も高く、スタイルもボンッキュッボンッと言っていいほど。

 口調こそ、お嬢様を意識してなのか、ちょっと高慢ちきっぽい感じはするけど、性格そのものは、何気に謙虚で、誰に対しても温厚に接する。

 先生には敬意を示し、同級生には親し気に喋り、後輩には穏やかな雰囲気を醸しているんだ。

 美人で、おっぱいとお尻は大きい、性格も悪くない、そして、お金持ちの家に生まれている。

 けど、世の中、何もかも恵まれているように見えても、一個や二個は欠点があるのがお約束だよね、皆。

 マリアにも、その「お約束」が適用されてしまっている。

 ぶっちゃけ、何だかんだで、アタシがマリアの事を根本的に毛嫌いできず、友情を築けているのも、そのテンプレすぎる欠点があるからなんだよねぇ。

 それが無かったら、正直、マリアとは反りも馬も合わなかっただろうね。

 マリアの欠点は何か、それは、勉強が出来ない事だ。

 そう、あまりにも定番すぎるかもしれないけど、マリアの成績はよろしくない・・・いや、最悪だ。

 会話をしていると、頭の回転が悪かったり、記憶力がない、みたいな感じは皆無なんだけど、学校の勉強となると、てんでダメらしい。

 決して、勉強が嫌いって訳じゃない、マリアは。

 むしろ、金多家って立派な看板に泥を塗りたくない、と頑張っている。

 でも、本人が頑張っても、苦手分野で、芳しい結果が出ない事はある、残念だけど。

 ほんと、不思議なんだけど、マリアは、学校の教科になると、ポンコツになってしまう。

 実際、マリアは、その見た目通り、フランス語、中国語、イタリア語を喋る相手と、歓談が出来るし、烈しい舌戦を繰り広げる事も出来る。

 でも、英語の授業やテストになると、全然なのよね。

 二年生の英語を担当している望先生に英語で質問されると、途端に目がグルグルとしてしまい、英語の小テストも一桁続きだ。

 他の教科も似たり寄ったりの成績で、まともなのは、保健体育と芸術の音楽くらい。うちの高校は、芸術の授業で、絵画か音楽を選択する。

 マリアはお金持ちのお嬢様らしく、「絶対音感」を持ってるらしくて、音楽を選んだ。

 アタシより、ちょっとデカいおっぱいに見合った肺活量で発声し、そこに感情もしっかりと乗せるから、カラオケで、マリアに感動できる系の歌詞で有名なものを本気で歌われると、アタシらはマジ泣きしちゃう。

 その長所がぶっ飛んでしまうくらい、マリアの成績は悪い。

 入学自体は一芸入試で合格だったけど、勉強が出来ず、四月の時点でおバカなのがバレてしまい、放課後、その日に出た小テストの直しをしていたマリアに、思わず、救いの手を差し伸べてしまったのが、アタシだった。

 いや、だって、マリア級の美人が絵になる泣き方をしてたら、心配になっちゃうじゃん。

 まぁ、この頃はライバルになるとは思ってなかったしね。

 

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