罰ゲーム三個目③
まぁ、俗っぽい言い方をすれば、エンジョイ勢だね、第二美術部は。
不真面目な活動はしてないけど、第一美術部みたいに、賞目当てでは絵を描いてない。
第二美術部の部室に行くも行かないも自由だけど、皆、絵を描く事が好きだから、部室でも、教室でも、校舎の外でも絵を描いている、皆。
部の活動日は、描くテーマを決めてはいるみたい。
風景の日もあれば、動物の日もある。部員同士でペアを組んで、お互いの顔を描く時もある。
時には、ファンタジーなテーマって日もあるそうだ。
意外って訳でもないけど、その感じのテーマの活動日は皆、結構、真剣味が増すらしい。
第一美術部に比べれば、レベルは低いかもだけど、全体的な基礎が皆、出来ているから、明らかに下手って部員はいない。
全体的に緩~い感じで活動している第二美術部だけど、一応、文化祭に作品を二つ以上、出す事を義務付けられているんだよね。
作品の種類は何でも良くて、水彩画、油絵、彫刻、版画でも何でもアリ。だから、ぬいぐるみやフィギュアを作っても良いし、パソコンでイラストを描く部員もいる。
その作品に関しては、全生徒や文化祭に来てくれたお客さんが人気投票をして、一位から五位までの順位付けをしてる。
当然、一位から五位を獲れば、ヴィービルちゃんがご褒美を用意してくれる。
学食の特別メニュー注文券や、AorB定食の一か月無料チケット、『うみねこ』のディナー招待券もあるし、有名ファッションブランドもバッグや財布も用意されてる。
でも、一番、人気なのは、一位のヴィービルちゃんのサインが入った画集、二位のヴィービルちゃんへのイラストリクエスト権で、皆、それを目指して、作品作りに熱を入れてるんだよね。
ちなみに、この文化祭に、第一美術部の部員は作品を出せない。
だから、普段、第二美術部の部員を、温い、と見下している第一美術部の部員は、この賞品をゲットできないから、凄く悔しがってる。
実に、ざまぁ、だね。
まぁ、それで余計に、第一美術部の部員は、第二美術部を必要以上に敵視してるんだろうけど。
で、アタシの大大大大大好きなギンちゃんが所属しているのは、第一でもなく、第二でもない、第三美術部。
この第三美術部ってのは、学校でも、かなり特別な立ち位置にある部活だったりする。
どういう所が、特別かって言うとね。
「はい、キララちゃん、時間だよ」
「え?」
ハッと我に返ったアタシを他所に、ギンちゃんはスクワットの動きを停止させたアタシの股の下からするりと抜け、床の上から起き上がる。
「罰ゲームだったから、お疲れ様って言うのは、ちょっと変かな?」
微苦笑を浮かべたギンちゃんから、アタシはタオルを受け取る。
「ありがと、ギンちゃん」
ごめん、皆、第三美術部についての説明は、また、今度にするね。
「地味にキツかったなぁ、スクワット」
「まぁ、人が下にいる状態でやってたら、そりゃね」
ギンちゃんが、冷蔵庫の扉を開けると、「何が良い?」って聞いてくれたので、「炭酸水」とアタシは顔に滲んだ汗を拭いながら答える。
「はい、どうぞ」
わざわざ、ペットボトルの蓋を緩めてから、アタシに渡してくれるギンちゃん、ほんと、優しい。
アタシは、改めて、ギンちゃんを好きになれた自分を最高に感じながら、炭酸水をゴクゴクと勢いよく飲んでいく。
スクワットの動きと恥ずかしさで火照っていた体に、キンキンに冷えている炭酸水が絶妙に気持ちいい。
「ちょっと!!」
「ん?」
「何、二人して、のほほんと楽しそうにお喋りしてますの!?」
「あ、そう言えば、いたっけね、アンタ。
ごめん、ごめん、すっかり忘れてたっつーか、アウトオブ眼中状態だったわ」
「んなっ!?」
「ちょっと、キララちゃん、金多さん、わざわざ待っててくれてたんだから、そんな言い方は失礼だよ。
ごめんね、金多さん」
「・・・いえ、宇津路さんが謝るような事ではありませんわ。
まぁ、同罪と言えば同罪のような気もしますが、アタクシは、この胸と同じく、心の器も大きいので、貴方の事は赦して差し上げましょう」
そう言って、マリアは、自分のおっぱいに手を当てて、アタシに向かって、勝ち誇ったような表情を見せてくる。
「そう、アタクシは、キララさんよりも、バストサイズが上の、Hカップですからッッッ」
「・・・・・・垂れてるくせに」
「何ですってぇ」
「垂れ乳」
左手の中指をブッ立てたアタシの煽りに、金髪を逆立てる爆乳女、それが、金多マリア。
この第三美術部の部員の一人で、ギンちゃんの女友達の一人で、そして、アタシの自称・ライバル。
確かに、アタシはGカップで、マリアはHカップだけど、形はアタシの方が絶対に良い。
乳房や乳首の感度も、毎日、弄っているから、アタシの方が勝ってるに決まってる。