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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム二個目
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罰ゲーム二個目⑭

 「ま、負けた・・・」


 この時、場には6枚のカードが溜まっていて、最後の勝負で、アタシのカードが大きければ、総取りできる状況だった。

 だから、アタシは、絶対に勝ちたい、と願いながら、最後の一枚、ダイヤのQを場に出した。

 でも、ギンちゃんが出したのは、スペードのK。

 「Q(12)」と「K(13)」、数字の差は一つだけど、アタシの敗北は明白だった。


 「俺の勝ちだね・・・合計枚数も俺の方が多い」


 「何で負けるの、アタシ!?」


 「いや、何でって言われても、こればっかりは、運だからねぇ」


 ギンちゃんの言っている事は尤もだ。

 手先が、プロのマジシャンやギャンブラーぐらい器用で、ちょっとしたイカサマくらいなら出来るギンちゃんだけど、アタシを相手にした勝負で、そんなズルはしない、と信じたい。ううん、絶対に、ギンちゃんは、アタシに対して、イカサマなんかしない。

 だから、この敗北の理由は、アタシの運が悪かった、引きが弱かった、それだけ。

 グダグダ言って、自分の敗北を受け入れないのは、人間的にカッコ悪いよねぇ、とアタシは何とか、駄々を捏ねたい自分を宥める。


 「敗けました」


 素直に頭を下げ、平伏したアタシに、見えてないけど、ギンちゃんは苦笑いを浮かべているようだった。

 何を言っているか、解らないほど大声で叫びたい悔しさをどうにか飲み込んだアタシは、ギンちゃんがトランプを片付けている間に、棚に向かい、とあるモノを取り出してくる。


 「じゃあ、ギンちゃん、罰ゲーム決めて」


 「え、また、これ使うの?」


 珍しく、ギンちゃんが面食らって凝視したのは、アタシが買った、パーティ用のジョークグッズである罰ゲームカード。

 そう、ちょっとアダルティな罰ゲームも入った、あのカードの束だ。


 「ってか、罰ゲーム有りだったの?」


 「罰ゲーム無しで勝負して、何が面白いの?

 さぁ、一枚引いて、ギンちゃん」


 アタシは頬を膨らませ、グイッとカードの束をギンちゃんに押し出す。


 「どうして、勝った俺が、負けたキララちゃんから、圧をかけられなきゃいけないのッッ!?」


 ボヤくギンちゃんは、カードへ手を伸ばす事を躊躇っているようだったけど、アタシが「ほらっ、早く」と更に圧を掛けると、諦めたように一回、天井を仰ぐと、カードの束を受け取って、シャッフルしてから、一番下の一枚を引く。


 「さぁ、罰ゲームは何?」


 この期に及んでビビってきているのを気取られたらカッコ悪すぎるので、アタシは虚勢を張る。

 そんなアタシの強がりに気付いているんだろうけど、ギンちゃんは何も言わず、自分が引いたカードを見る。


 「3分間、おっぱいを見せる、だね」


 「・・・・・・お、おっぱいかぁ」


 昨日みたいに、パンツ系だったなら、二回目って事もあって、意地も張り続けられたけど、まさかのおっぱい系に狼狽えちゃうアタシ。


 「じゃあ、キララちゃん、おっぱいを見せて貰おうかな」


 カードを引くまでは迷っていたのに、いざ、罰ゲームが決定きまったら、ギンちゃんは、途端にスイッチが入る。

 知ってはいたけど、ギンちゃん、結構、Sっ気が強い。

 そんなギンちゃんに言われたら、ギンちゃんが大好きなアタシとしては逆らう気力なんて、微塵も起きなくなっちゃう。

 一つ、自分を落ち着かせるように、息を大きく吐いたアタシは、ギンちゃんと正対し、自慢のGカップを見せつけるように、背筋をピンと伸ばして、胸を突き出した。


 「はい、どうぞ」


 「・・・え?」


 「・・・え?」


 「いや、キララちゃん、おっぱいを見せるんだよ」


 「だから、こうやって、見えるようにしてるんだけど」


 アタシが戸惑いながら言うと、ギンちゃんは眉を顰めた。


 「おっぱいを見せるんだから、生に決まってるよね」


 「嘘!?」


 「服の上からじゃ、罰ゲームにならないでしょ?」


 「た、確かに、そうだけど」


 「それとも、ゲームの勝者に逆らう気かな?」


 ギンちゃんの細い眼に、鋭利な光が宿ったのを見て、アタシはゾクゾクしてしまう。

 もちろん、体を震わせたのは、怖さ、じゃない。


 「おっぱいを生で見せます」


 アタシは上の服を脱ぐと、ブラも外す。今日は、フロントホックのタイプ。

 いつ、ギンちゃんと本番を迎えても良いように、ちょっと高級指向で、レース多めのHいデザインのブラを、指の震えを抑えながら外すと、アタシのGカップが空気に晒される。


 「ッッッ」


 アタシ自身が、好きな人におっぱいを見せる状況に興奮して、身体が火照っている事もあって、室内の空気が妙にひんやりと感じる。


 「じゃあ、今から三分だね」と、微笑わらうギンちゃんはスマホのタイマーのスタートボタンを押す。

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