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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム二個目
27/110

罰ゲーム二個目⑪

 (あぁ、やっぱり、今日も、朝から、いっぱい食べるギンちゃんはカッコよくて、惚れ直しちゃうなぁ)


 そんで、アタシが毎日、ギンちゃんを視て、しみじみ感じる、三つの事の三つ目が、ギンちゃんのカッコ良さなの。

 好きな人の好きな所を10個挙げなさいって、誰かに言われたら、その内の一つに、アタシなら、朝からたくさん食べる漢らしい所を入れる。

 と言うか、まぁ、ギンちゃんの好きな所を10個に絞るなんて、アタシには土台、無理な話だけど。表現は違っても内容がダダ被りなのを消していっても、50個くらいにはなっちゃいそうな気はする。

 試してみた事はない。それだけで、一日が終わってしまうのは、目に見えてるもん。

 好きな人の所を考える、その時間は楽しいし、幸せになれるから、有意義だ、とアタシだって思うよ。

 でもさ、その熟考かんがえている間、好きな人には会えないの。

 人によって分かれるだろうけど、アタシは、好きな人の好きな所を考える時間を、好きな人と会って、おしゃべりしたり、遊んだりする時間に充てたいんだよね。

 勿論、好きな人の事を考える時間を選ぶ人を、アタシは馬鹿にしないよ。考えれば考えるほど、好きな人を、もっと好きになれるなら、それは、とっても、素敵な時間の使い方だもんね。

 まぁ、どっちが上か、を決めようとしたら、キノコタケノコもしくは炒飯パラパラしっとり派のような戦争になっちゃから、脇に置いておこう。

 アタシが声を大にして言いたいのは、カッコいい人がたくさん食べるのって好いよねってこと。

 そりゃ、食べ方が汚かったら、ドン引きのガン萎えだよ? でも、ギンちゃんはクチャラーじゃないし、食べ物を口に入れたまま話さないし、箸のマナーもしっかりしている。

 ただただ、この見た目で、凄い食欲旺盛なの。

 ギンちゃんの持っている箸は無駄なく、スピーディーに動き回って、料理を口へ運んでいく。

 あれだけ多かった料理が、見る見る間に、ギンちゃんに食べられていくのを、目の当たりにすると、本当に気持ちよくて、いっぱい食べるギンちゃんの事を、もっと好きになれる。

 まぁ、正直、思う所はあるけどね。

 いや、アタシにも一口くらい分けて欲しい、なんて卑しい事じゃないよ?

 まぁ、食べたいって気持ちがないって言ったら、レッドな嘘になっちゃうけど、今、言いたい事はそうじゃない。

 

 (これだけ食べても、全く、デブらないのはズルくないかな・・・)


 太らない事を意識したメニュー、栄養バランスが考えられている、ちゃんと運動している、趣味に集中する事で食べたモノから作られたエネルギーが体内で燃焼されている、納得できる理由は色々とあるけど、どんだけ食べても太らないのは、女子としては羨ましいやら、妬ましいやら、だね。

 男子なら、まだ堪えられるけど、「アタシ、どんだけ食べても太らないんだぁ」と自慢げに言われたら、そりゃ、もう、「てめぇ、表出ろ」と言いたくなっちゃう。

 あ、ごめん、つい、うっかり、下品な言葉づかいをしちゃったね。 

 ギンちゃんに聞かれたら、「キララちゃん」と眉を顰められちゃうトコだった。危ない、危ない。

 アタシは、こっそりと安心しつつ、ギンちゃんが自作の朝食をダイナミックに食べ尽くしていく姿を目で楽しみ、ギンちゃんがアタシの為に作ってくれたホットケーキを食べ続けた。


 「「ごちそうさまでした」」


 「今日も美味しかったよ。ギンちゃん、ありがとう」


 「こちらこそ、今日も完食してくれて嬉しいよ、キララちゃん」


 爽やかな微笑みにズッキュンされ、クラっと来たアタシに、クスクスと笑いながら、ギンちゃんは、テーブルの上を片付けだした。

 カチャカチャとお皿を重ねていく音で、ハッと我に返ったアタシ。


 「手伝うよ!!」


 小さい事かもしれないけど、こうやって、家事を手伝う事で、ポイントを稼ぐのも大事だよね。

 ギンちゃんとしては、自分の使った皿の方が多いから、アタシに手伝わせるのは抵抗があるらしいけど、ここで、「大丈夫だよ」って遠慮すると、アタシがブスッとなるのを解かっているからか、つまらない押し問答はしないで、「じゃあ、お願い」と言ってくれるようになった。

 

 「はい、これで最後」


 「了解」と、ギンちゃんから受け取ったお皿を、アタシは丁寧にタオルで拭いて、それを食器棚の決まった位置に戻す。


 「ありがとうね、キララちゃん。手伝ってもらえて、助かっちゃった」


 ただ、ギンちゃんが洗ったお皿を拭いて、食器棚に戻すだけだったので、アタシとしては褒められるのはこそばゆい。でも、嬉しい。

 照れ臭そうに、もじもじと体をくねらせるアタシを穏やかに見つめていたギンちゃんは、いきなり、ブッ込んできた。


 「じゃ、課題の残り、片付けようか」

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