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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム一個目
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罰ゲーム一個目⑭

 アタシが、辛うじて、スカートの裾を離さずに済んだのは、ギンちゃんの言葉があったからだった。


 「キララちゃん、まだ、三分経ってないよ」


 「!?」


 慌てて、アタシはスカートの裾を摘まんでいた指に力を入れ、ギンちゃんに、下着が見える状態を維持する。


 「ご、ごめんね」


 「いいよ。

 でも、途中で、スカートを下ろしたら、最初からやり直しだよ。

 恥ずかしいかもしれないけど、罰ゲームなんだから、いいよね?」


 「うん」


 (あ、やっぱり、ギンちゃん、アタシが濡れてるの気付いてるんだ)


 黒い下着だから、気付かれてないかも、と淡い期待を抱いていたけど、ギンちゃんの鋭い観察力を有する細っこい目は誤魔化せなかったみたい。

 アタシが顔を赤らめながら頷くと、ギンちゃんは、どこか悪戯っぽく笑った。


 「まぁ、俺としては、その分、キララちゃんの下着を見られるから、嬉しいけどね」


 「え?」


 その言葉に、アタシはビックリしてしまい、ギンちゃんは、アタシのその反応に対して、不思議そうな表情になる。


 「ギンちゃんにも、女の子のパンツを見て嬉しいって気持ちがあったんだね」


 今度は、ギンちゃんがアタシの言葉で、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる。

 長い付き合いだけど、ギンちゃんの、こんなにもハッキリした「驚き」は初めて見た、アタシも。

 ギンちゃんは、自分の感情が表に出ているのに、アタシのリアクションで気付いたみたいで、ほんの少しだけ照れ臭そうにする。

 

 (あ、ギンちゃん、ほんのり、耳が赤くなってる・・・可愛い)


 「キララちゃん、何か、俺の事、可愛い、とか思ってない?」


 「ううん、思ってないよ」と、即座に首を横に振り返せたアタシは、女優になれるかも。

 ギンちゃんは、ニコッと笑ったアタシに疑いの目を向けてきたけど、少しすると、小さく肩を竦めた。


 「まぁ、俺も男だからね、女の子の下着を見られたら、当然、嬉しいよ。

 でも、キララちゃんの下着だけだよ、俺が見て、ドキドキするのは」


 「・・・・・・ズルいよ、それは」


 とんでもないカウンターを貰ってしまい、アタシが耳どころか、首筋まで真っ赤になってしまうと、ギンちゃんは「フフフ」と唇を細い三日月のようにして、勝ち誇った。


 「一分半だね・・・キララちゃん、後ろを向いて、スカートをめくって」


 下着を見せる、罰ゲームを考えれば、前だけじゃなく、後ろも見せるのは至極、当然だ。

 それでも、恥ずかしさは消える訳じゃない。むしろ、強まる。

 何でって、今、履いている下着の後ろはスケスケだもん。

 いっそのこと、Tバックみたいに食い込ませて、お尻をそのまま、見せた方がマシな気がして、アタシは振り返る前に、ギンちゃんに尋ねる事にする。


 「ねぇ、ギンちゃん、パンツ食い込ませた方が嬉しい?」


 「うーん、魅力的な申し出だけど、罰ゲームが、下着を見せろ、だから、ちゃんと、下着・・を見せて、キララちゃん」


 くっ、とアタシが目論見が破れてしまった事に悔しさを覚えたのを見て、ギンちゃんは小首を傾げた。

 いつまでも動かなかったら、女が廃る、とアタシは、さっきから、興奮で疼いているお腹を括って、クルンッと後ろを向き、スカートの後ろ側をしっかりと捲り上げた、しっかりと、ギンちゃんに、下着を見て貰えるように。

 人間、不思議なもので、後ろを向いても、視線が注がれている、と前を向いている時と同じくらい、ハッキリと感じられるみたい。

 

 (まぁ、ギンちゃんの視線の圧が強いのと、アタシがギンちゃんを好きだからってのは大きいけど)


 そんな事を考えながら、アタシの、ギンちゃんに下着の透けた部分越しに見られているであろうお尻はじわじわと熱くなり、穴の周りがヒクヒクとしてしまう。


 「スケスケだね、お尻のところ」


 「そういうのは言わないのが、マナーじゃないかな、ギンちゃん」


 「生憎、女の子のパンツを、こうやって見る、見せて貰うのは、生まれて初めてだから、マナーの類はよく解らないなぁ。

 ごめんね、キララちゃん」


 わざとらしく、謝罪の言葉に心を込めないギンちゃんのSっ気に、アタシの下着に広がる沁みは、ますます大きくなってしまい、雫が床に落ちてしまいそうになる。

 さすがに、「好き」がアソコから止め処なく溢れてきちゃうのは、どうしようもないので、アタシは心の中で、懸命に、時間が早く過ぎるのを願うしかない。

 でも、皮肉な事に、そんな必死に祈っている時ほど、時間はゆっくりと流れていくみたい。

 もう、三十分くらい経ったんじゃ、と思ったタイミングだった、ギンちゃんが「はい、三分」と言って、手をパンッと叩いたのは。

 その音を聞いた瞬間に、アタシは気が抜けちゃったみたいで、その場に、へなへなと座り込んでしまう。

 緊張が一気に解けたせいで、アタシは、体育の授業で、100mのタイムを全力で翡翠と競った時みたいに、ハァハァと肩で息をしちゃう。

 でも、口から出る息は、その時より、熱っぽくて、エロかった。


 「罰ゲームお疲れ様」


 そう言って、ギンちゃんは、まだ立てないアタシの側にしゃがむと、「ありがとう」とお礼を言いながら、アタシの頭を優しく撫でる。


 「ギンちゃん」


 「ん、何、キララちゃん」


 「・・・・・・また、罰ゲーム有りでアソぼうね」


 アタシの言葉に、ギンちゃんは、ほんの一瞬だけ、息を飲んだみたいだけど、付き合いの長さで、アタシの頑固さを知っているから、ちょっと困ったように、でも、嬉しそうに微笑んだ。


 「もちろん。

 今から、もう一回、勝負する?」


 「!! 今日は、もう、メンタルが無理ッッ」


 アタシの引き攣った声がツボに入ったみたいで、ギンちゃんは、アタシの頭に手を乗せたまま、肩を小刻みに揺らして、しばらく、笑い声を噛み殺し続けていた。

 悔しさが湧き上がってきて、今度こそ、アタシは、勝ってやるんだから、と気合が燃えた。


 (・・・・・・でも、次、負けたら、どんな罰ゲームだろ)


 それが楽しみ過ぎて、アタシは思わず、唇をペロッと舐めちゃう・・・・・・

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