罰ゲーム五個目⑱
「お~、マリア、カッチョいいじゃん」
「私にだって、意地というモノがありますわ・・・あっ!?」
「はい、金多さん、脱落」
「ちょっと、マリア、カッコつけた途端にバランスを崩すって恥ずかし過ぎだよ!!」
「む、無念ですわ」
「もうっ・・・あとは、アタシに任せてッッ」
「お願いしますわ、キララさん」
(しかし、このまま、醜態を晒しただけで終わっては、金多家の令嬢として失格。
私にも、キララさんを勝たせるために、何か出来る事があるはずですわ。
マリア、考えるのです!!)
「ギンちゃん、そろそろ、キツくなってきてるんじゃない?」
「まだ一分しか経ってないから、特にキツくはないよ。
キララちゃんこそ、時には、負けを潔く認めるのも美徳だと思うんだけど」
「絶対に勝つ!!」
「その意気や良し」
(宇津路さんの耳に息を吹きかけるのは、どうかしら・・・
いえ、さすがに、それは、直接的な妨害になってしまいますわね。
そうなると、羽箒などでくすぐるのも論外ですわね)
「ちょっと、マリア、応援してくれないの?」
「!! キララさん、頑張ってくださいなっ。
宇津路さんの足がプルプルしてきてますわよ」
(実際には、余裕そうですけど、宇津路さん。
よくよく考えれば、運動神経は翡翠さんに負けていませんし、体幹の強さに関しても、長時間、キャンバツと向き合って、筆を動かし続けるのですから、宇津路さんは凄いに決まってますわ。
どうして、その体幹の強さを活かせるゲームなんか書いてしまったの、マリア!?)
「1分30秒経過」
「嘘ッ、まだ、そんなしか経ってないの!?」
(実際に、「やじろべー」を選んでしまったのは、キララさんであるにしろ、そもそも、私が書かなければ、こんな劣勢にはなりませんでしたわ。
私の非が大きい以上、私が責任を取り、なおかつ、キララさんを宇津路さんに勝たせるのが、金多家の者として通すべき筋ですわ)
(なんか、キララ、変なやる気を出してない?)
(金多さん、どうしたんだろ。
やたら、目がギラギラしてるけど・・・ちょっと警戒した方がいいかな)
(宇津路さんに触れず、近寄らず、この条件で、私に出来る、キララさんを勝たせる事が出来る妨害は・・・・・・!!
いや、さすがに、これは、金多家の者云々の前に、一人の淑女として、やってはいけない行為。
けれど、キララさんを勝たせるには、宇津路さんを、どうにかして、動揺させねばなりませんわ。
いくら、キララさんでも、このままでは敗北は必至)
「やるしかありませんわ」
「マリア、何か言った?」
(お母さま、女も度胸ですものね!!)
「宇津路さん!!」
「何、金多さん?」
「・・・・・・えいっですわ」
「ブッッッ」
「ちょぉぉぉぉぉ、マリアァァァァァァ、アンタ、何やってんのぉぉぉぉ」
「何やってんの、はコッチの台詞ですわぁぁぁぁ、キララさん!!
どうして、キララさんが、先に足を付いてしまうんですのッッ」
「友達がいきなり、スカート捲りあげて、マ〇コを見せたら、誰だって、ビックリしちゃうって!!
むしろ、ビチョビチョのマン〇を指でくぱぁって開いたのを見せられたのに、スッ転ばなかったアタシは褒められるべきだと思うんだけど!!」
「折角、私が恥をかいてでも、宇津路さんの動揺を誘おうとしたのに・・・・・・
って、宇津路さん、まだ、足を下ろさず、片足立ちをしてますわッッ」
「マリアの捨て身の戦法は無駄に終わっちゃったね。
ギンちゃん、さすがに、もうちょっと、手心と言うか足心を加えても良いと思わない?」
「どんな勝負であれ、手も足も抜かず、なおかつ、チ〇コもヌカせない、それが俺の流儀だよ、キララちゃん」
「くぅ、カッコよすぎる、ギンちゃんが」
「え、今のどこに、キュンッと来る要素がありましたの?!
確かに、流し目だけは、ハートを掴まれましたけど」
「何にせよ、アタシたちの負けなんだよ、マリア」
「ですわね」
「どうするの、キララちゃん。
今、一つ目の罰ゲームを執行する?
それとも、次のゲームが終わってから、まとめて?」
「どうしよ、マリア~」
「私は一戦ごとの方が良い気がしますわ」
「なら、ギンちゃん、今、罰ゲームを決めよう」
「OK。
はい、カードをシャッフルしたから、二人とも、一枚ずつ引いてね」
「先に脱落したのは、マリアだから、お先にどうぞ」
「では、私から」
「アタシは、このカードにするね」
「宇津路さん、見るのが恐ろしいので代わりにお願いしますわ」
「アタシは自分で見よっと・・・え、マジ、これ?」
「どんな罰ゲームを引きましたの、キララさん」
「30分間、語尾に『ごわす』を付けろ、だって。
何で、ごわす、なの!?
『にゃん』とか『ワン』なら、可愛いのに!!」
「地味にキツい罰ゲームですわね。
宇津路さん、私の罰ゲームは何でしょうか?」
「まぁ、ルールはルールだから、従ってもらうしかないかなぁ」
「ちょ、不安を煽られましたわ」
「アルゼンチンバックブリーカーをかけられる、だってさ」