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宇津路くん、アソびましょ  作者: 『黒狗』の優樹
罰ゲーム五個目
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罰ゲーム五個目⑫

 「何か思いつきましたの、キララさん」


 「うん、前、ギンちゃんに教えて貰ったレシピがあるから、それを作ってみよう」


 「お手伝いしますわ」


 「ありがと」


 「じゃあ、マリアは持ってきたベーコンとぶなしめじ、アタシの家の冷蔵庫に入ってたほうれん草を適当な大きさに切って。

 アタシは、タマネギを5mm幅でスライスしちゃうから」


 「お任せください」


 「お惣菜のコロッケがあってラッキーだったよ。

 ギンちゃんは、一からコロッケを作ってたから」


 「宇津路さんのコロッケ、美味しいのでしょうね」


 「うん、ホックホックで凄く美味しいんだ、ギンちゃんのコロッケは。

 マリア、終わった?」


 「はい、切り終えましたわ。

 どうですか?」


 「うん、ちょうど良い大きさだね。

 ってか、今更だけど、金多家のお嬢様に料理を手伝わせるって不敬かな、アタシ」


 「キララさんが、私への態度が不敬かどうか悩むのは、今更だと思いますわよ。

 それに、お父様も、お母様も、これくらいは気にしませんわ。

 私、時々、メイドと一緒に、クッキー作りをしてますのよ」


 「マリアのパパとママ、食べた後、お腹を壊して、トイレに籠る羽目になってない?」


 「失礼ですわね。

 私は材料を正確に測ったり、タイマーがセットされたオーブンのスイッチを入れるだけです。

 メイドたちが主導して作ってくださるので、出来上がるクッキーは食べても安心ですわ。

 ・・・自分で言ってて、悲しくなってきますわね」


 「どんまい」


 「キララさんが先にぶん殴って来ておいて、それを言うのはムカつきますわね。

 それで、この切った材料はどうするんですの?」


 「フライパンで炒めるよ。

 でも、先に、生クリーム80mlと顆粒コンソメ小さじ1/2、塩と黒胡椒を少々、粉チーズを用意して」


 「OKですわ。

 では、フライパンで炒めていきますわね」


 「バターを弱火で熱してから、ぶなしめじとタマネギ、そんで、ベーコンを炒めるの。

 さて、アタシはこれを使うよ」


 「それ、親子丼を作るお鍋ですわね。

 この前、調理実習で使いましたわ」


 「この鍋に水と小さじ1の砂糖、3倍濃縮のめんつゆ大さじ1、さっき切ったタマネギを入れたら、フタをして煮る。

 あ、マリア、そろそろ、生クリームとか入れて良いよ。

 温まってきたら、ほうれん草を入れて、軽く煮詰めて」


 「了解ですわ」


 「アタシの方も、溶いた卵を投入。

 マリア、そろそろ、丼にご飯をよそって」


 「お任せくださいな」


 「食材に火が通ったら、ご飯に乗せて、粉チーズをかけて完成。

 アタシの方も、ご飯の上に水菜とレンチンしたコロッケを乗せて、ぶっかけたら出来上がり」


 「美味しそうに出来ましたわ」


 「マリアが持ってきたベーコン、めっちゃ高級品だから、凄く美味しいんじゃないかな。

 100円で作れちゃう庶民系メニューのはずなんだけどね」


 「キララさんの方も、とても美味しそうですわ」


 「二つ作ったんだから、シェアしようね、マリア」


 「もちろんですわ」


 「では」


 「いただきますですわ」


 「いただきます」


 「まずは、自分の方から食べますわ」


 「うーん、サクサクのコロッケとトロトロの卵が最高」


 「私の方も、ベーコンと生クリームが美しいハーモニーを奏でていますわ」


 「じゃあ、交換しよう」


 「そうですわね」


 「うわっ、やっぱり、ベーコンがめっちゃ美味しい」


 「私、スーパーマーケットで販売しているコロッケを初めて食べるのですが、思っていた以上に美味しいですわ」


 「上手に作れて良かったよ」


 「今度、お父様とお母様にも食べて貰いたいですわ」


 「えー、こんなパッと作れちゃうパンピーグルメを、金多家の人に食べさせるのは抵抗あるなぁ」


 「このお料理を考案したのは、宇津路さんなのですよね?」


 「参考にしたモノはあるかもだけど、アタシに作ってくれたのは、ギンちゃんだよ。

 あ、そう言えば、ギンちゃん、生クリームが無かったら、卵で代用しても良いよ、って言ってた」


 「卵を使っても良いんですの?」


 「うん、卵を使う時は、スクランブルエッグになっちゃわないように気をつけてって言ってた」


 「私の技量では、スクランブルエッグになってしまいそうですから、お父様達に振る舞う際は、今回と同じように、生クリームで使いますわ」


 「うん、その方が良いだろうね。

 アタシも今度、作る時は、コロッケじゃなくて、メンチカツにしてみようかな」


 「あら、それも美味しそうですわね」


 「まぁ、ぶっちゃけ、ギンちゃんが作った方が美味しいけどね。

 やっぱり、アタシへの愛情が、たっぷり詰まっていたからかな」


 「言いますわね」


 「えへへ」


 「あら、いつの間にか、あと一口になってしまってますわ」


 「美味しいモノは、すぐに食べ終わっちゃうね」


 「ごちそうさまでした」


 「ごちそうさま!!」


 「キララさん、口の端にご飯粒が付いてますわよ。

 ほら、ティッシュで取ってあげますから、動かないでくださいな」


 「サンキュ。

 って、マリアもほっぺに生クリームが付いてるじゃん」


 「え、どこですの」


 「ここだよ、ここ」

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