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【改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!  作者: 七海美桜
陰謀

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ヴェンデルガルトの助け

 遠くで、誰かが呼んでいる気がする。ジークハルトは、悪夢を見ている気分だった。身体が重く動かない。視線も定まらず、気分が悪かった。だが、遠くでジークハルトを呼ぶ声は清らかで美しくて安心する。


治療(ベハンドルング)


 その声が聞こえると、ジークハルトはゆっくり瞳を開いた。青い顔でまだ力のないヴェンデルガルトが、彼を覗き込んで微笑んでいた。

「ヴェンデルガルト嬢! 君は休んでいないと!」

 慌てて起き上がりヴェンデルガルトの肩に手を置くが、彼女はゆっくり首を横に振った。

「まだ治療をしないと……失礼しますね」

 彼女を支えているのは、ロルフだ。本来なら睡眠時の服の姿のままのヴェンデルガルトが、薄いナイトガウンを羽織って自分の前に居るのがおかしい。

 何があったのか自分の記憶が欠落していた事に、ようやくジークハルトは気が付いた。そうしてようやく、フロレンツィアのパーティーで倒れた事を思い出した。

「パーティーの参加者の三分の一が倒れたよ。ひどい人は嘔吐したり錯乱状態の人もいた」

 イザークは無事だったようだ。しかし気分が悪いのか、少し疲れた顔をしていた。そうして、自分や他の人達がラムブレヒト公爵帝の前で寝かされていた。

「ジークハルト、何を口にしたの?」

「ズックの香草漬け焼きだ。木に刺して、直火で焼いたものを食べた――少し辛みが強い味だった」

「ほとんどの人が焚火をしていた庭で倒れていたから、怪しいならそれだね。だけど、何も口にしていない僕も気分が悪い。それに何より――フロレンツィアも同じように倒れていた。どういうことなの?」

 イザークは口にしていないが、毒の可能性が高いだろう。そうなると怪しいのはフロレンツィアだが、彼女も同じようにズックを食べていた。彼女が焼けたものを無差別に取ったので、彼女には毒が入ってない事を選ぶのは無理があるし、何より彼女自身が倒れている。

 その間にも、まだ体調が悪いヴェンデルガルトは倒れている人たちに急いで回復魔法をかけていた。彼女が倒れないか、不安に思えるほどだ。


「取り敢えず回復した人から城の空いている部屋に運んで、ラムブレヒト公爵帝邸は騎士団が封鎖して、白薔薇騎士団が調べる事にしたよ。それで構わないよね? あと、本当に申し訳ないけど城に馬を走らせてヴェーに助けを求めた。他の人はどうでもいいけど、ジークハルトは失う訳にいかないから」

「ああ、有難う。ヴェンデルガルト嬢には、申し訳ない事をした。ただ、焚火に紛れて――ヴェンデルガルト嬢の部屋での異臭と同じものが使われたかもしれない。くれぐれも公爵邸での匂いには気を付ける様に、白薔薇騎士団には報告しておかないといけないな。イザーク、君も一応回復魔法をかけて貰った方がいい」


「ジークハルト様! ジークハルト様ぁ!!」

 どうやら意識が戻ったフロレンツィアは、大きな声でジークハルトの名を呼ぶ――叫んでいる、という方が正しい。あまりにも煩いので、ジークハルトは仕方なくフロレンツィアの元に向かった。


 ヴェンデルガルトが居なければ、大惨事になっていただろう。第一王子であるジークハルトまで巻き込まれたので、皇室も調査に介入しなければならない。ラムブレヒト公爵家の者と使用人たちは、調査中は別宅に避難する事になった。

 調理に関わった料理人たちと手伝っていた使用人は、事情聴取で城へと向かった。

 その頃になると、ギルベルトを始め白薔薇騎士団が到着した。

「私は城に滞在させてください! こんなに怖い目に遭ったんですのよ!? ジークハルト様が傍にいるべきです!」

 フロレンツィアはそう騒いでいたが、ギルベルトは許可しなかった。

「ラムブレヒト嬢は、別宅へ向かってください。城で同じような事が起こっては、大変ですので」

「なによ! あんたはそんなだから、私の従姉妹に婚約破棄されたんだから! 見た目が綺麗でも、世渡りが下手で勿体ないわね!」

 怒りが収まらないフロレンツィアは、ギルベルトを口汚く罵る。その言葉に、白薔薇騎士団が侮蔑したような視線で冷たくフロレンツィアを見る。騎士団たちは、己の団長を敬愛している者が多い。ここにいる白薔薇騎士の怒りを、フロレンツィアは買ってしまった。元々彼女は騎士団たちに嫌われているので、気にしないだろうが。

「ヴェンデルガルト嬢から治療を受けた方たちは、馬車に乗ってください。毒素が抜けているとは思いますが、念のため今夜は城でお休みください」

 ギルベルトの指示で、参加者たちが馬車に向かう。幸い死人はいなかったようだが、あと少しで危ない人もいた。


「ヴェー!」


 全員の治療が終わると、気が抜けたのか体力の原因だったのか、ヴェンデルガルトがロルフに凭れる様に崩れ落ちた。慌てて抱き上げるロルフに、イザークが駆け寄った。

「ヴェンデルガルト嬢も、はやく城に! ロルフ、彼女を連れて帰ってくれ!イザークは、俺と一緒にギルベルトを手伝うんだ!」

 その言葉に、イザークは足を止めて複雑な表情でジークハルトを見つめた。参加者たちとヴェンデルガルトを乗せた馬車と馬たちが、城に向かって帰っていく。ラムブレヒト公爵の者達も、別宅へと向かった。邸宅内を調べるには、今がチャンスだった。

 


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