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【改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!  作者: 七海美桜
陰謀

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フロレンツィアの奇行

「君はヴェンデルガルト嬢を嫌っていたのではないのか? わざわざ見舞いに来るなんて、どういう心境の変化だ?」

「あら。私はあなたの婚約者で未来の皇妃。誰にも優しくするのは当然ですわ。けどジークハルト様も段々とあの魔女令嬢の虜になっているようなので、私から彼女に身の程をわきまえろと躾けておこうと思いましたの」


フロレンツィアの言葉は、最初と最後が合わない。よく見れば、彼女の瞳が少し揺れている。酒に酔っている時と似ていた。

「ヴェンデルガルト嬢は、体調が優れない。君の様なうるさい人と今は、絶対に会わせる訳にはいかない」

「そんなにも具合が悪くいらっしゃるの?」

「答えるつもりはない」

 探る様なフロレンツィアの言葉に、ジークハルトは無表情で首を横に振った。そうして、彼女を拒絶する様に顔を背けた。

「君のメイドは何処だ? さっさと屋敷に帰るといい。取り敢えず、ここから離れてくれ」

「フロレンツィア様!」

 二人が言い争っていると、彼女の執事が現れた。今日は、メイドを連れていないようだ。

「分かりましたわ、明後日は我が家でパーティーがありますから、用意の為帰ります。ジークハルト様にも招待状を送りましたよね? 忘れず出席して頂きます。私をエスコートして下さいね」

「――忘れていた。すまないがパーティーは……」

「僕も行っていいかな? 勿論、ジークハルトも連れて行くよ」

 断ろうとしたジークハルトを遮って、意外にもイザークが話に入って来た。フロレンツィアは、迷わずにその言葉に頷いた。

「ええ、クラインベック公爵家なら、我が家のパーティーに参加するには相応しいわ。是非いらして下さい」

 執事に促され、フロレンツィアは花束を抱えたまま部屋に背を向けた。


「フロレンツィア。その花は、預かろう。ヴェンデルガルト嬢に渡しておく」

 去ろうとしたその背中にジークハルトは声をかけた。しかしフロレンツィアはその言葉を無視して城を去って行った。

「あの花、どこかで見た気がする」

 カールの言葉に、イザークも頷いた。

「奇遇だね、僕も覚えがある」

「ギルベルト、もしかして――」

 ランドルフとギルベルトにも、覚えがあるようだった。

「ヴェンデルの部屋のテラスに鉢が置かれていた。もう枯れそうだったが、あの花に似ていた気がする」

「ジキタリスと同じで、毒の花なのか?」

 ラムブレヒト公爵家の温室で栽培されていた、毒の花。温室は火事で全焼して、栽培していた証拠もない。

「北の花ではないだろう――研究員にも調べさせろ」

 ギルベルトが頷いて、研究員がいる等に向かおうとしたとき、イザークが声を上げた。

「そうだ! アンゲラー王国の毒草の栽培所で見かけたんだ! 綺麗な花が咲いているからって、何人かが鉢を持ち帰らなかった?」

「そうだ、そうだよ! 確かに、あの時に見た!」

 その言葉に、自分も思い出したようにカールも声を上げた。二人が見たというなら、アンゲラー王国に攻めた時に毒草を処分させた時だ。

「全部処分しろと命令したはずだ!」

 ジークハルトが、思わず大きな声を上げた。カールとイザークは、その声に思わず首を竦めた。

「毒草の横の、綺麗な花が咲いている所に置いてあったんだ」

「持ち帰りたいと兵が言うから、毒とは思わなくて許してしまったんだ」

 確かに見た目、毒の花とは思わない。ジークハルトはそれ以上責める事が出来なく、悔しそうに黙り込んだ。

「研究員と調べてきます。ヴェンデルの部屋を――お願いします」

 ギルベルトは、足早に塔へと向かった。


 部屋の手配は、ランドルフに任せた。五人の騎士団長と信用できるメイドたちしか知らない。夜中に、カールが抱えて彼女を新しい部屋に異動させた。


 新しい部屋に移ってからは、異臭はしなくなったとビルギットはカールに話していた。それを聞いたカールは、ホッとした。だが、まだヴェンデルガルトの様子は悪いままだ。食事も身体が受け付けないようで、ビルギットは牛乳に蜂蜜を混ぜて飲ませていた。

 ヴェンデルガルトの身体が痩せる一方で、栄養価が高く口に入りやすいものと考えたのだろう。

「また誰かが、ヴェンデルガルト様を狙っているんですか?」

 カリーナが様子を見に来たカールに、心配そうに尋ねた。カールはメイドたちを心配させたくはなかったが、用心して貰う為に頷いた。

「おかしな事があれば、どんな時でもいい。俺達薔薇騎士団に報告してくれ。あと、ロルフ。俺達がいない時、ヴェンデルを護ってくれ」

「命に代えても!」

 カールに敬礼して、ロルフははっきりとそう言った。


 そうして今夜、ラムブレヒト公爵家でのパーティーだ。気の進まないジークハルトを連れて、イザークは自由にラムブレヒト公爵家に入って調べる事が出来ると、意気込んでいた。



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