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【改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!  作者: 七海美桜
南の国の戦

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情報共有・上

「おはよう、ヴェンデル。今日のドレスはあなたに似合っていますね」

 ビルギットからギルベルトの様子を聞いていたヴェンデルガルトは、彼がプレゼントしてくれた薄水色のドレスを着ていた。それに気が付いたギルベルトは、嬉しそうな顔をした。


 全員が挨拶をすると、それぞれ席に座る。

「今回南の国での争いに参加した事、ヴェンデルガルト嬢の誘拐に関しての事。それぞれの情報を共有したい」

 ジークハルトがそう言うと、先ずは先に南の国に行っていたギルベルトとランドルフが説明を始めた。


 ヘンライン王国を巡る争いは、いつまでも両国の属国扱いを受けたくない。自立したいと王と王妃が発言したことから始まった。バーチュ王国は争いをするよりも、通行料を払うならそれを認めるとの意志を示した。アンゲラー王国は、絶対に許さないと激昂していた。仲裁に来たバルシュミーデ皇国のランドルフを斬り、邪魔をするならバルシュミーデ皇国とバーチュ王国にも戦いを挑むと言った。

「バーチュ王国の第一王子のツェーザル王子は、知将として有名だ。いきなり手を引けばヘンライン王国に負けたと国民が思う。徐々に手を引けば、国民の反感を受けないと判断したのだろう」

 ジークハルトは、彼にも会って人物像をそれなりに知っていた。その言葉に、皆が頷いた。

「アンゲラー王国は、なんであんなに躍起になってたんだ?」

「実は、ヘンライン王国の今の王妃は火龍なんだ。バーチュ王国の祖先も龍との婚姻をしている。自国だけが龍と繋がりがない事が、気にくわなかったそうだよ」

 イザークの言葉に、ランドルフは「馬鹿馬鹿しい」と呆れたようだった。

「龍が子を身籠っているから、龍を護るレーヴェニヒ王国が援軍を出したんだ。ヘンライン王国は、二国との関係を考えて、抵抗する素振りを見せないために兵の訓練をろくにしていない弱い国だ。これからは訓練をするといっていたが、今はレーヴェニヒ王国が助けるしかなかった。沢山の軍を動かす為、レーヴェニヒ王国はバルシュミーデ皇国にも支援を頼んだ。この間に我らがレーヴェニヒ王国を攻めないように」

 確かに、レーヴェニヒ王国には龍もいるが二万もの兵を出せば国内の守りが不安になるだろう。筋が通った話だ。

「どちらに付こうか迷っていたバーチュ王国は、ヴェンデルガルト嬢を手に入れた事でヘンライン王国に付く事を決めた」

「それが分からない。彼女を奪う時、戦いに利用させるとアロイス王子は言っていました。てっきりアンゲラー王国と組んでヘンライン王国を滅ぼすのかと思いました」

 ギルベルトが不思議がるのは、最もだ。ジークハルトは、話していいのかとヴェンデルガルトに視線を向けた。

「あの……アロイス王子は、私に求婚して下さいました。私が安全に暮らす為、ツェーザル王子とヘンライン王国を助ける様に決められたのです。レーヴェニヒ王国が来れば、国内でも戦が起こりますから」

「何だと!?」

 ランドルフが立ち上がり、ギルベルトは皿の上にフォークを落としてしまった。

「そんな話聞いてないぞ!? 兄貴、どう答えたんだよ、ヴェンデルは渡さないぞ!」

「落ち着け、ランドルフーーそれと、ギルベルトも。順に話すから、話を聞いてくれ」

 ジークハルトが諭すようにそう言うと、ランドルフは椅子に座り直した。ギルベルトも、頷いてフォークを持ち直した。

「その間にレーヴェニヒ王国と我々の軍が、助けに向かう水龍に乗りヘンライン王国に先に辿り着いた。丁度、アロイス王子がヘンライン王国と同盟を結んだ所だった」

「え? 兄貴たち、龍に乗ったのか? 騎士団全員乗れたのか?」

「残念ながら、ジークハルトと数名の騎士たちだ。レーヴェニヒ王国の大臣たちも乗ったからね。俺とイザークたちは、自道を走ったよ。遠かったなぁ」

 それは、ヴェンデルガルトも初耳だった。だから、バーチュ王国に戻りツェーザル王子に会いに行った時、ジークハルトは落ち着いていたのかと。

「レーヴェニヒ王国の二万の援軍がまだ辿り着かない間、アンゲラー王国の軍が攻めて来た。俺達の騎士団とアロイス王子の部下、戦い慣れしていないヘンライン王国の兵たち。勝てるとは思わなかった」

「当り前だ! そんな危険な事になるなら、兄貴に行かせなかった! けど――こうしているなら、大丈夫だったんだよな?」

 ランドルフが顔色を変えるが、ジークハルトは静かに頷いた。

「激戦になる事を感じた龍が、ヴェンデルガルト嬢を迎えに行ってくれたんだ。アロイス王子は、ヴェンデルガルト嬢を戦いに巻き込まないように匿ってくれていた――だが、ヴェンデルガルト嬢は危険を承知で助けに来てくれた。そのお陰で――ヘンライン王国の兵は沢山失ったが、俺達に死人は出なかった。ヴェンデルガルト嬢のお陰で、俺達は助かった」

 ジークハルトは、どこか誇らしげにヴェンデルガルトに視線を向けた。



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