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【改稿中】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!  作者: 七海美桜
陰謀

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少女たちの救出

 カールに話すと、ラムブレヒト公爵の別宅から離れた、城を挟んで東側にある大きめの別荘を用意してくれた。二階の広い部屋二部屋にベッドを入れて、離れ離れになって彼女たちが不安にならないようにした。

 クラーラもその部屋にカリーナと共に向かった。テオも一緒だ。皇族付きのメイドも、少し遅れて向かった。食事を十分用意して、花を沢山飾った。


「あとは、ジークハルトが招待状を書いてパーティーを開催して下さい。ラムブレヒト公爵の別宅に入り込む部隊は、もう用意が出来ています」

 ギルベルトの言葉に、ジークハルトは溜息をついてパーティーの招待状を用意した。こんな状態でパーティーを開くことに、彼は抵抗感があったのだ。


「そう言えば、消えた家具職人はどうなったんだ?」

 イザークの報告にあった、少し気になる町の噂だ。ギルベルトはジークハルトが書いた招待状を送る準備をしている。

「飾り細工が上手な職人だったそうです。消える少し前に職人の家に寄った人物が見たのは、本棚のようなものを作っていたそうです。職人が消えた後、その家具もなくなっていたそうです。時期が時期だけに――その本棚の在処(ありか)が気になりますね」


 勘違いなら、それでいい。しかし関係があるなら、それの行方も追わなければならない。やるべきことが沢山あったが、彼らはまずは少女たちの命を優先した。今も薬で男たちの相手をさせられている、地獄の日々を送っている少女たちを助ける為に。



 突然のジークハルト主催のパーティーだったが、招いた客は全て来てくれた。フロレンツィアには迎えの馬車を送ると、父親と例の執事も連れて喜んでやって来た。


 パーティーが始まって一時間ほどだ。

 ラムブレヒト公爵の別宅の前の道を、二台の馬車を連れた赤薔薇騎士団の馬が通りかかった。すると馬は門の前で停まり、ラムブレヒト公爵の別宅の門を叩いた。

「ああ、これは赤薔薇騎士団の方ですか。公爵様とお嬢様は、城のパーティーに向かわれましたが?」

 出てきたのは、五十前の年頃の執事だ。多分、彼が留守を任されているのだろう。

「すまない、城に戻る途中なのだが騎士の中で腹を壊した者がいて、トイレを貸して貰えないだろうか?」

 にこやかに笑ったのは、赤薔薇副団長のバルナバスだった。留守中に人を入れるなと言われていたのだろう、執事が困った顔になった。


「火事だー! 火事だぞ!」

 裏手の方から、大きな声が上がった。焦げた煙の臭いもした。その声が、合図だった。扉を塞ぐように立っていた執事が驚いた隙に、荷馬車の中に隠れていた白薔薇騎士、紫薔薇騎士、青薔薇騎士が屋敷の中へと雪崩れ込むように入り込んだ。

「あ! いけません! 入らないでください!」

 そう声を上げる執事は、今度は屋敷の中から逃げようと飛び出してきた使用人たちに流される様に、ドアの外へと追い出された。

「庭だ! 青薔薇は屋敷の中を調べてくれ!」

 バルナバスの声に、騎士たちは迷わず行動する。庭には、先に潜り込んで松明を燃やしていた騎士が待っていた。そうして彼らは、不自然に置かれた木の板を外す。むわっと濃厚な甘い香りがした。しかし気にすることなく、下に降りて囚われている少女たちを確認した。

「確認しました! 運び出します!」

 騎士たちは手枷を剣でたたき割り、軽い彼女達を上にいる騎士へと抱え渡す。少女を受け取った騎士たちは、急いで彼女達を荷馬車へ乗せた。


「この部屋だ!」

 二階を捜索していた青薔薇騎士から声が上がった。栄養失調の少女が五人程、鍵がかかった部屋に寝かされていた。死んでいるかのように見えたが、かろうじて息をしている。集まった青薔薇騎士たちが、少女たちを抱えて馬車へ向かった。


 少女たちは、何が起こっているのか分かっていないようだった。ぼんやりとした視線で、荷馬車で大人しくしていた。



「詳しい話を、聞かせて貰おうか?」

 バルナバスは、腰を抜かしている執事にそう言った。彼は青い顔をして、ガタガタと震えていた。


「早く、ヴェンデルガルト様の元へ運ぶんだ! 急げ!」

 少女たちを乗せた二台の馬車は、急ぎ足でカールの別荘へと向かった。パーティーに参加していないヴェンデルガルトが、ビルギットと供に待っている。白薔薇騎士たちは、出来る限り急いで馬を走らせた。


 少女達を乗せた荷馬車が走り去ると、今度は別の白薔薇騎士たちが檻を乗せた馬車を連れて来た。紫薔薇騎士団たちが、ラムブレヒト公爵家の使用人たちをそれに乗せ始める。城に戻り、拷問が始まるのだ。

「助けてくれ! 私たちは、命令されただけなんだ! どうしようも出来なかったんだ!」

「お許しください、お許しください!」

 様々な声が上がるが、騎士たちはその声を無視して使用人たちを檻に入れて城へと向かった。


「我々は、温室と花屋に向かおう」

 ラムブレヒト公爵の別宅を、紫薔薇騎士が立ち入り禁止にして警備する。青薔薇騎士団たちは、ラムブレヒト公爵の愛人の花屋の元に向かった。


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