日本は終了しすぎました【1000文字未満】
「速報! 線路に死体が迷い込んだ? 日本終了!」
動画サイトではこういったタイトルが並ぶ。ゲーム実況でさえも、最後に「日本終了」とある。僕は「日本終了スマホ」でそれを見ながら「日本終了バーガー」を食べる。マックで小休憩しているのだ。
今日は散歩だ。買い歩きとも言う。週に一度はこういうことをしている。ハンバーガーを食べ終え、「日本終了大通り」に出た。
さてどこに行こうか。散歩というのはノープランなものだ。日本終了と書かれたTシャツが売られているアパレル店を通り、本屋へ行く。文房具屋も兼ねている店だ。
特に買うものはない。しかし見て回る。本の背表紙には必ず「日本終了」の文言が記されており、過去の本でさえ「日本終了」とある。例えば、「源氏物語〜日本終了〜」といった具合に。
文具も同じようなもので、名入れは今や日本終了を彫るためにある。試し書きされている言葉も日本終了だ。
めぼしいものはなかったので店を出る。政治家が、聞きもしない大衆に言葉を投げかけていた。
「皆さん、日本は終了しました! 日本は終わったのです! 皆さんが生き残るため、投票お願いします! 日本終了党をよろしくお願いします!」
歩き疲れたので、公園のベンチに腰掛ける。赤ん坊の泣く声、老人の語り合う声、家族連れ。この光景を見せる国は終了しているらしい。風情がないが、スマホでニュースを見る。
首相が記者の質問に答えている。
「日本を終了させた責任ということですが、何を持って終わりとしているのかが解りません。日本以外はゾンビばかりじゃないですか。私達は自給自足を可能にしているのですから、何が終了なのかと……」
コメント欄は悲惨なものだ。「こんな首相だから日本が終わったんだ」「やはり日本は終わっていますね」
しかし海外と比較する人はいない。見習うべき海外はゾンビだらけだし、仕方ないか。