第7話 学校祭1日目(午後②)
1日目午後の続きからです
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夏の日差しが強く、セミの鳴き声が響く時2人の男女は見つめ合っていた。
男の目には、おとなしくキチッとした佇まいでいかにもお嬢様に見えるような女の子が自分の顔をじっと見つめている。
彼女の頬にはこの暑さのせいか汗が流れており、その汗の流れをゆっくりと見れるほど時間は遅く感じた。
そんな沈黙を破るように彼女は言葉を必死に喉を枯らしながら紡いでいく。
今彼女は何を言った?
予想もしていなかった言葉に困惑してしまう。
そして……
'俺'は彼女の言葉に自分の気持ちを押し殺してでも彼女を救うための言葉を紡いでいく。
「‘鳴霞’、安心しろ。俺が守ってやる。周りからの噂なんて気にするな。だから……お前の告白を俺は受け入れる。」
俺は、目の前に立っている今にも泣きそうな表情で、また少しの刺激で崩れそうなほど弱っている鳴霞に少し目を逸らし言葉を告げる。
目を開けると白い天井が見えた。
前にもこんな感じで起きた気がする。あ、記憶を失って病院で目を覚ました時か?
そして、薬品の独特な匂いが‘僕’の花を少し刺激した。
この部屋を見ると棚には何やら薬品やら乱雑に置かれており、結構重要そうなものまで不規則に並ばれており環境面は大丈夫なのかと心配になってしまう。
それより、今の夢はなんだ?昔の記憶?それとも、俺...僕のただの夢?
俺、いや僕は...白いベッドから降りて立ち上がり、このベッドを外から見られないように仕切られているカーテンを開くと、白衣を着た女性が椅子に座っていた。
「おや、起きたのか」
座っていた女性は僕が起きたことに気づき、立ち上がった。
「えっと、ここは?」
僕は見たことがない場所に寝ていたみたいだ。
ふと窓の方を見るとまだ夕日は落ちていなかった。
僕が最後にある記憶は午後の時間に佳織とデートしていた時だ。その時よりも大きく時間は経ってはいなさそうだ。
「そうか、君は記憶喪失になっていたんだな。ここは保健室だ。そして、私が保険の先生の吉田小牧だ。保健室は何かわかるな?」
僕は吉田先生の問いに首を縦に振って応えた。
体の辛さはもう何もなく今ここで休んでいても何も意味もない気がしたため僕はここから出ることにして。
「あの、僕はもう大丈夫なので帰りますね」
僕がそう言うと、吉田先生は黙って頷き、また自分の仕事に戻っていた。
廊下に出ると2人の生徒がいた。
「うわ、びっくりした!って君達は?」
それは、今日握手を求められた白色のツインテの女の子と茶髪の黒のメガネをした女の子たちだった。
少し印象に残る2人だったため僕は覚えていて。
「あの、なぜ保健室から出てきたのですか?」
白髪の子が聞いてくる。
「えっと、僕は倒れていたらしい。それで、友達がここまで連れてきてくれたんだ」
そうですかと頷き、2人は去って言った。
その瞬間
2人は‘何か’を隠すようにそこから立ち去った。
その何かが一瞬見えたが、黒いものだった。黒いものにどこか真ん中には少し小さな丸い筒がついているような。
でも、僕にはそれが何かわからず記憶を失った時に多分その物も頭から消えたのだろう。
僕の記憶もそこまで使い勝手は悪く、普通の人なら知っているだろう'新聞'、'虫メガネ'、'ラジオ'など覚えているものとそうでないものは疎らで自分でもよくわからない。
形は大体覚えていたので、家に帰ってから調べることにして……
それは'カメラ'というものだとわかった。
それからは佳織と雅也に謝り、ってか2人にすごく心配かけてしまったらしいがそのまま学校祭1日目を終えた。
正直色々と考えたいことがあって頭はパンク寸前であり家に帰ってベッドへと横になればすぐに寝付いて。
そして1日目を終える
2日目に続く