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第6話 学校祭1日目(午後①)

学校祭1日目午後です

3年生の劇を見て少し気分が悪くなった僕は外の空気を吸いに行こうと中庭に出て。

ふと校舎にかけられている時計を見ると時間は13時を示していて。僕はハッとした。

もうすぐ詩織と学校内を見て回る時間だったため。




「先輩、どこ行きましょうか?」

側から見るとデートしていると思われているのか、分からないが周りからは少し注目されていた。

でも、詩織はそんな周りの目線を気にせず歩いていたので僕も気にせず歩いた。


「じゃあ、3年2組のお化け屋敷に行かない?」

そう提案すると、生返事で詩織はいいですよと言って。

彼女と並んで歩いていると彼女の雰囲気が少しだけ変わったことに気づいた。どこか俯いた表情で不安気で。


「もしかして、怖い?」


「そんなわけないじゃないっすか!こ、こわくなんか......ないですよ!」


少し噛んだり日本語がおかしいところがあり、焦っているのが丸分かりだった。

彼女の反応が少し面白く、僕は少し彼女を弄んでみて。


「じゃあ、行けるね?」

「行けるに決まってるじゃないですか!私に怖いものなんてないですよ!」


彼女は声を出して大きく否定する。

その反応が面白く、僕はお化け屋敷の入り口まで笑っていた。

僕が噴き出すたび彼女は怒っていたが、彼女と一緒にいると僕は自然と笑顔になる。

嫌な気持ちから始まった学校祭も少しだけ気分が晴れてきているのを感じる。今は詩織と一緒にいる時間だ。考えことは今はよそう。


「よし、僕たちの順番だね」

列に並んで20分ほど経つと、やっと僕達の番が来た。

中々に人が並んでいて、好評らしい。

出てくる人たちが、少し泣きそうになっていたり気分が悪そうな人が多いのでクオリティーは高そうに思えた。


「い、行きますか」

彼女がそう言うと、僕は彼女の手を掴んだ。

「せ、先輩!え、ええっ!手手手手手手!!!」

僕をお化けを見るような目で詩織に見られて。

今からそんな驚いてて大丈夫なのかな?

「そんなに驚かなくても」

彼女はだってぇ.....と言いながら、2人で一緒に入った。



中は当然だが暗く、中々足元が見えないので、2人で横に並ぶのは危ないと思い、彼女の体を自分の方へ抱き寄せた。

暗闇に対して目はまだ慣れていなくてもし足元に障害物とかあったら危ないためできるだけ彼女の支えになるよう近づいて。


『うおおおお!』

「きゃあああああああ!!」

お化け役の人の演技に、詩織はお化けよりも声を大きく出し、その場に縮こまった。

「ううっ.....こわいよぉ.....ひくっひくっ」

詩織はとうとう泣き出しでしまった。

まだ1発目なんだけどなぁと思いながらも、彼女の泣いている姿は少しだけ可愛く思えてしまって。


「さあ、いくよ詩織。ほら、掴んで?」

僕は手を差し出すと、詩織は涙を拭き僕の手を掴んだ。

「せんぱぁい、早く出ましょうよぉ......」


かわいい!いや、そんなこと言ってられないか。

これ以上ここにいると詩織が可哀想だ。

そうして、僕達は早足で出ようとするが、お化けにいちいち詩織は反応し、その度に発狂していたため、お化け屋敷から出た時には目が赤くなっており、声も枯れていた。


「先輩、今日はありがとうございました。次は佳織先輩ですよね?」

「おう、そうだ。詩織、今日はありがとう」

詩織にお礼を言い、僕は佳織と待ち合わせの場所までゆっくりと歩いた。

お化け屋敷で体力を結構使ったが、最終的には詩織とは中々いいデート?になった気がする。

でも、前の僕もこんなことしていたのかなあ?

そんなことが少しだけ気になっていた。


いつもしっかりしている雰囲気で話してても楽しい後輩の詩織がお化けに対してここまで怖がっているのは少しだけ予想外だった。

人は見た目によらないってことか。でも、違う雰囲気も見れて僕は少しだけ嬉しくなって。



「あっ、詩織とはもう終わったのね。じゃあ、次は私と行きましょうか」

待ち合わせ場所には佳織が先に待っていて、僕は慌てて駆け寄った。

他の生徒の視線は少しあったが、そんなものには気にせず佳織と僕は並んで歩いた。

佳織は胸が大きいため制服で胸が強調されている。

その胸に他の男子生徒の視線が集まっているのを僕は知っている。だから、彼女と歩いていると余計視線を感じるのは気のせいなのかな?

っていうよりもみんなから羨ましそうな顔で見られている。なんとなくそんな感じがして。



「ねえ、カフェに行かない?」

と、考えていた僕を佳織は遮った。

カフェか......さっきは疲れたしいいかもしれないな。


「そうだね、じゃあ1年1組のメイドカフェに行こうか」


パンフレットを見て1年1組ではメイドカフェをやっているらしく、そこにいくことを提案していると、彼女は少し恥ずかしそうにこう言った。


「え?秋紗はそんなものが趣味なの?」

少しジト目に引きつった顔でそう言われて僕は驚く。

え?何で今僕引かれた?


「え、メイドって......そんなにダメなものなの?」

僕の記憶がおかしいのかな?

メイドってたしか、偉い屋敷にいて、その主人のお世話とかをする仕事だったはず。


「め、メイドはねぇ、秋紗には行って欲しくないのよ!理由は言わないけど」


佳織がそこまで否定する理由がわからなかった。

だから、余計に気になってしまう。


「えっと、何かダメなことがあるの?」

「秋紗には......私たち以外の女の子にデレデレして欲しくないのよ......」

佳織が小さい声でつぶやいた。


「え、何か言った?」

それが僕には聞こえず、聞き返したが何でもないと一喝された。


「またあんなことは......起きて欲しくないから」

僕の目を見ずどこか遠い目をした表情で彼女は呟く。

だが何を言っているのか聞こえない。

でもどこかこの話はして欲しくなさそうで、これ以上は詮索しなかった。


結局僕達は2年5組のコーヒーカフェに行くことにした。


「秋紗、記憶の方はどう?」

「うーん......少しずつ分かってきたような分からないような感じだよ」


僕達はコーヒーを飲んで、落ち着いて椅子に座っていた。

詩織の時とは違い、リラックスできたのでさっきの疲れが取れていく。今日は劇もしたし少し考え事もあったりして体は結構疲れていた。


「でもさ、僕は......いや、何でもないかな」

「お、秋紗!佳織も一緒かよ!もしかしてデートか?」


ゆっくりしていた時間は終わり、雅也が話しかけてきた。

雅也は1日中ここでゆっくりしていたと言っていた。

そして、僕達が来たから話しかけに来たらしい。


「デート......ち、ちがうわよっ!ね、秋紗?」

「えっと、でもデートなんじゃない?」


デートって男女が2人きりでどこか遊びに行ったりすることだったよね。それなら間違いではない気はする。だから僕は肯定するも佳織は思いっきり否定していて。

佳織は顔を赤らめて雅也に必死に弁解していて、僕はそれを笑っていた。


「ちょっと、何笑ってんのよ!秋紗も何か言いなさいよ!」


佳織といると少し落ち着く。佳織は誰とでも距離が近く男女分け隔てなく話しているのをよく見かける。そんな性格からか周りにいつも人がいるイメージだ。

また、僕が疲れているなんて言っていないけど、疲れていることを察してくれてリラックスできる場所に誘ってくれたり、面倒をよく見てくれる。

そんな面倒見が良かったりする彼女に僕は安心感を感じて。


色々と言い合っている雅也と佳織を見て微笑みコーヒーを飲みふと目を瞑ると頭が急に割れるように痛みが走る。

前にもこんな痛みが走ったような気はしたが今はそんなことを考えている余裕はなかった。



「俺は君を特別だとか思っていない。普通の女の子だ。だから、君とは普通に接する。そして、君に危害を与える人達から助けてみせる」

「君といると俺は自分を出すことができる。俺はお前に感謝している。だから、見捨てたりなんかしない」

「俺はそうは思わない。俺は君といると楽しい。君には人を明るくさせる力がある。だから、俺は君といると楽しいんだ」

「俺は君にたくさんのものをもらって来た。その恩を返すため俺は君に全てを授けるつもりで生きて来ている。だから、俺に助けを求めてくれ。その時は、俺が助けてやるから」


割れるような痛みを感じる頭に

ふいに‘4つの言葉’が頭の中で溢れ出て来ている感じがした。

なんだこれは......僕の記憶にない言葉が僕の頭を駆け巡っている。


「鳴霞......佳織......詩織......純恋」

ふいにこの4人の顔が頭によぎった。

この言葉は4人に向けての言葉なのか?

そんな思考の渦の中僕はプツンと耳元で音がしたかも思えばそのまま気を失ってしまう。


気を失う直前で見えたのは、僕を心配している佳織と雅也と耳によく響く謎の音だった。


4つの言葉とは

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