第30話 誓い
話の導入となるため少しだけ短めです
重たい
辛い
痛い
きつい
動けない
助けて……誰か
「はっ……」
重たい体を上げると見慣れない部屋に自分は今ベッドに寝ていた状況で。
雰囲気を察するにここは保健室なんだろう。
でも、なんで自分は保健室に寝ていたのか。
「つっ……」
起きたからすぐに左腕に痛みを感じていく。
腕には包帯が巻かれており、一応動きはするため骨折とかはしていないのだろう。それでも、動かせば筋肉や骨、神経なのか何かしらの痛みは感じてもう一度動かそうとする気にはなくて。
「……屋上にいて……誰かに……おされた?」
自分の状況を必死に振り返る。
たしか、昼食を屋上で食べていたはず。
そして時間が無くなったから教室に戻ろうとした……その時、背中を押されて……
そして私はその押した人物を見ていた。
たしかあれは……
「白神……煠ちゃん?」
金髪のツインテールで首にビデオカメラをかけている新聞部の人物。確か同じクラスで、私の唯一何回か話したことのある夜宮さんとの友達だった気がする。
新聞部としてどこか有名な人だったってことは周りからは聞いている。
でもなんで彼女は自分のことを押したのか……
「夜宮さんなら何か知ってるのかな」
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「煠ちゃん……大丈夫だった?」
「うん、なんとか……でも後ろを見られた気がするから顔を見られたかも……」
「それは大丈夫なのかな?」
「大丈夫……今度こそ失敗できないしちゃんとする。そうしないと灰崎さんに……」
屋上から外の景色を見ながら、2人の少女は黄昏れるようにして話を続ける。
そして2人はお互いの手を握る。
今度こそ失敗できない。2人は胸にそう誓って。
「どんなことがあっても煠ちゃんだけは守るから」
「どんなことがあっても陽ちゃんだけは守ってみせるよ」
2人は同時に同じような台詞を被るように相手に伝えて。
「ふふっ」
「あははっ」
そして互いに笑い合う。
「私はこの綺麗な景色に誓うから」
「じゃあ、私はあの夕日に」
こんな時間がずっと続けばいいのに。
2人は常にそう思う。でもそううまくはいかないのが現実で。
でも、そんな現実ももうすぐ自分たちの手の届くところにはあって。お互いの幸せを守るためにお互いが誓い合う。そして誓いを守るために……
動き出す、新たな作戦に




