第24話 そして辿り着く
頭はクリアでいつも通り頭は回る感じはする。
それでも頭の痛みは抑えられそうになく、頭に手を押さえて。
走る自分の足がもつれそうになりながらも必死に目的の場所へと辿り着く。
「たどり着いた……」
そして俺は体育倉庫について。
中は写真で見た通り物が散らかっており、何か物を探そうとしてもその居場所を見つけるのは困難そうで。
それでも俺は自分を信じるしかない。
きっと'アレ'があるはずだ。
体育倉庫内を歩きながら俺はまず、俺たちが床に置いてその場で寝るときに使っていたであろうマットを見つける。
俺がこのマットに夜宮さんを押し倒した……そんなことはないはずで。
マットを見るも何か仕掛けられている様子はなくて。
「あっつ……ここに2時間ほど閉じ込められていたなんて考えられない」
体育倉庫内にいるだけでも少し暑さを感じる。
あの時はこの状態で閉じ込められていたと考えると熱中症になるのは全然おかしくないだろう。
でも、俺は熱中症になったがなぜ夜宮さんは無事だったのだろうか。俺よりも体は小さく病気にも強そうには見えない。
「まぁ、その時のコンディジョンでも変わるか……」
少し思考の中で引っ掛かりを感じながらもそれが何なのかわからず、今は考えるのをやめ倉庫内のものを整理していく。
「うぉっ、っってぇ〜」
その時床に落ちていた野球ボールに足を引っ掛け俺は倒れてしまう。
これだけ物が散らかっているのだから足元も気をつけるべきだった。
そんな反省をしながらも床に手をつき立ち上がろうとした時俺の目には自分のポケットから落ちたスマホに目がいって。
「うわ、画面割れてるじゃん……」
床に転けた後座りながらスマホを手にとると画面が割れていた。
最近新しく買ったばかりなのに…最近のスマホは丈夫って聞いてたんだけどなぁ。
そして画面が割れたことで機能に支障はないか電源を入れると画面自体はいつも通り点いて。それでも画面の半分に横線にひび割れたように画面が割れていて。
スマホで今の時刻を確認すると18時10分。
俺はあと5分で体育館に戻らないといけない。
「くそっ、時間がない……まてよ」
怪我の功名と言うべきか俺は今の落ちたスマホでとある方法を思いつく。
そして……俺は辿り着く。
「遅いなぁ秋紗」
「あの秋紗君って記憶を失う前じゃない?」
「私もそう思いました〜」
「あれは……間違いないです」
佳織、純恋、詩織、鳴霞は頭を机にぶつけるという奇妙な行動に違和感を感じた後、少しどこか懐かしさを感じる秋紗の雰囲気に違和感を感じていた。
それに一人称が俺へと変わっていること。
それはつまり記憶を失う前の秋紗に戻っているのではないかと言うこと。
話し方、性格、雰囲気、オーラ、表情、思考の全てが前の秋紗でいて。
4人とも同じ思考にたどり着き、それは確信に変わって。
「かっこよかったですよねぇ……」
詩織の独り言というべきか、自然と口から出た感想に残りの3人は軽く顔を頷ける。
今の秋紗に魅力がないというわけではない。でも、前の秋紗には人を惹きつけるようなカリスマ性があって。
そんな秋紗のことが好きな4人は喜びを隠しきれなかった。
そして変わらず自分たちのために今も動いている秋紗のことを愛おしく思う気持ちは止めれなくて。
「遅いですよね東雲秋紗副会長。後3分でこなければ途中参加は認められませんから。」
灰崎は先ほどから毎秒毎秒時計を確認しては貧乏ゆすりが止まらないみたいに膝を動かしている。
どこか落ち着きはなく、息苦しそうで。
でも残り3分となると態度は少しずつ良くなってはきて、もしかしたら秋紗はもう戻ってこれないのではないかと期待を持っている態度は隠しきれずに
「……誰が遅いって?さぁ、第2ラウンドでも行こうじゃないか」
そんな灰崎の淡い期待は一瞬で消え去って。
体育館の入り口には少し制服に汚れというかホコリでボロボロとなった様子で凛々しく立っている秋紗がいて。




