第1話 失った記憶
気長に投稿していきます
あるのは車のクラクションの音。
人々が悲鳴をあげる声。
女の子が叫ぶ声。
何かにうつ伏せになりながら、揺られ、大人の人の声がした。
その横でも女の人の声が聞こえた。
そして、俺の記憶はそこで途切れたーー
目を覚ますと少し嫌な香りが鼻にきた。
そして、目に見えるのは白い天井。
少し起き上がり周りを見渡すと複雑な機械がたくさんあり、理解できないが手にその機械から伸びたチューブなどが繋がっている。
それと、膝に何か重たさを感じた。
膝には少女の顔が乗っていた。
僕が目を覚ましたのか、そのせいかわからないがその少女は目を覚ますと同時にすぐに起き上がった。
「......え?先輩?起きたんですか!」
「......先......輩?」
「よかったです。もう目を覚まさないかと思いましたよ」
「えっと君は?」
「何言ってるですか!私は詩織!桜ノ宮詩織です!忘れたんですか?それともまたいつもの冗談ですか?」
その子は笑いながらそう言った。彼女の清楚黒色のポニーテールの髪は笑いと同時に揺れていた。
僕には彼女の言っていることが少ししか理解できなかった
「詩織...桜ノ宮詩織...いつもの...冗談?ごめん、何言ってるかわからないです」
「えっ、先輩?」
彼女の顔は青白くなり、急いでこの部屋から出てってしまった。
「何か悪いことをしてしまったのかな?」
僕は1人呟いた。
それから数分後その子は1人の大人を連れてこの部屋にやってきた。
僕はその間にこの部屋を見て起きたかったが、体が思うように動かないため探索することができなかった。
そして、連れてこられて大人の人が言った
「あなたは記憶喪失です。でも、軽度なものなので言葉は話せたり、少しのことは理解できます。そして、何かきっかけがあれば記憶が戻るかもしれません」
「先輩が......記憶喪失って冗談ですよね?そんなこと冗談なんですよね!」
詩織が医者の体を掴み、揺らしながらそう問いかける。でも医者はただ無言で首を振ることしかできなかった。
やがて、詩織という女の子が他の3人の女の子を連れてきた。
「私は生徒会長の四宮純恋よ。東雲 秋紗君、君は私のためにこうなってしまったの。だから、私は恨んでほしい」
寂しげにそう言ったのは真ん中に立っているロングヘアーの女の子だった。
「私の名前は姫野鳴霞と申します。ちなみに生徒会書記をしています。秋紗先輩、お怪我はありませんか?もし食べたいものとかありましたらおっしゃってください。私が買いますので」
次にそう言ったのが1番右端にいた。女の子だ。
彼女はみんなと髪色が違く、赤と黒の中間の色で少し目立っている。髪型もお上品な感じで綺麗に整ったボブで匂いもこの病室に漂っている。
「私は木崎佳織よ。私は生徒会会計をしているわ。そして、ちなみにあなたは副会長をしているってことを忘れないでね。早く記憶を取り戻しなさいよね。少しは心配してあげてるんだから」
最後にショートヘアーでいかにも第一印象で胸に目がいってしまうほど胸が大きく、僕はつい見てしまった。
「ふふっ、先輩は相変わらず佳織先輩の胸を見てしまうのですね」
鳴霞ちゃんが笑うとみんなも同時に笑い出した。
「あ、言ってなかったけど、私も鳴霞と同じで書記やってるから。先輩ちゃんと覚えてね」
詩織が付け加えた。
「あのですね、僕はまだみんなのことを思い出していないけど頑張って思い出すから」
僕は今思っていることをそのまま言った。
でも、こう言ったほうがいいと感覚的にわかった。
一応この人達との接し方はまだ体に残っていたみたいだった。
「じゃあ、改めて......先輩、秋紗君、秋紗、秋紗先輩!よろしくね!お願いします」
僕達は握手をした。
生徒会で何か大きな仕事の時や絆を確かめる時にこんなことをするらしい。
僕はいつの間にか笑顔になっていた
続きます