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第18話 火食い鳥

「これで三体目っと……強い魔物って訳でも無いけど数が多いわね」


 シャドウワイパーの魔石を矢で射貫き消滅し終えたカーディフがそう言うとソアレが答える。


「もともと洞窟とか遺跡にいるような魔物ですからかなり変ですよ。陽の光が弱点の魔物なので夜以外は行動しませんし縄張りも広くないですからね」


 首をかしげるソアレに元クラスメイトがBランクの冒険者が苦戦するような魔物を瞬殺しているのでビクビクしながら質問する。


「やはり死の沼が原因なんですか?」


「そうだとは思いますが……このシャドウワイパーが集まってるのかこの辺りで生まれているのかが少し気になりますね。倒す以外の選択肢はないのであまり気にしなくていいですが……」


 そう話していると先頭を歩いていたスティレがそろそろ森を抜けるぞ。と言ったので皆はスティレの近くに集まった。


「感じ的に結構いますね」とソアレがいいスティレもカーディフも頷いた。


「テテノは気配を消せるか?」


「すみません……無理です」


「分かった。あやまる事では無いからあやまらなくていい。ソアレ頼めるか?」


「さぁ敬え!テテノン」とソアレが杖を掲げ魔法を唱えるとソアレとテテノの気配が薄くなり見た目も透き通り向こうが見え始めた。


 性格は駄目な方にすごくなったソアレに驚きながらも礼を言うのは何かイラッとしたテテノはスティレに礼を言った。

「これから見える光景に驚かないようにと私が場を和ます気配りをしたのに……テテノンはダメダメですね」


「ソアレさんはどこで人生間違ったんですか……」


「さぁ?昔が間違っていて今が正常なのでは?」とテテノの嫌みを特に気にせず流していた。


 そしてスティレとカーディフも気配を消しゆっくりと進んで行き、森を抜け死の沼が見えるとそこに沼の上で何かを探す様に大量のシャドウワイパーがうごめいていた。


 その気味の悪い光景にテテノが叫び声を上げそうになったがソアレが声が出なくなる魔法をテテノにかけた。


「驚くのも分かりますが、叫んだ所で解決しないので大きな声を出しては駄目ですよ。わかりました?」


 声が出ないのでテテノはコクコクと頷くと、ソアレも頷き魔法を解除する。そして小さな声で話しかけた。


「いっぱいいますが……どうするんですか?」


「そうですね……スティレどうしますか?


 ソアレがスティレに尋ねたので、流石に高ランクの冒険者と言えどもあれだけの数がいたらキツいのだろうとテテノは思い事の経緯を見守った。


(うん。死の沼の泥ならお昼にも採取できるし、明るい方が調査もしやすいだろうからお昼までまつのかな?)


「そうだな……沼の調査が残っているからソアレは温存しておこう。私とカーディフで殲滅してこよう」


「それ、私の出番が無いパターンなのでは?」


「あんたの出番がある方が問題よ。おとなしく級友を守ってなさい」


「ちょうど死霊系の魔物だからな新しい魔法を試すには丁度いいだろう」


「しかたありませんね。あの魔法は魔力消費が激しいらしいので撃ち終わったら魔力回復薬をのんでください」と言ってソアレはスティレとカーディフに沼に沈まない魔法をかける。


 スティレはソアレに分かったと言って軽く手をあげ、カーディフと散歩に行く様な感じに死の沼へと向かっていった。


 火食い鳥達の会話が聞こえたが理解できないテテノは頭に?マークを大量に浮かべ、手を振っているソアレに尋ねた。


「あっあのソアレさん?殲滅とか言う不穏が単語が聞こえて二人が沼の方に行きましたが……何をするんでしょうか」


「殲滅しますよ。怨霊系魔物ですし、いなくなっても生態系に問題無いですしね」


「いえ、そう言う意味では……」


「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。雑魚ではないですが油断さえしなければ二人で問題ありません。よほどの時はスーパーソアレになって私も参戦しますので大丈夫ですよ」


 何が大丈夫なのか意味不明だったが、ソアレ達が妙に自信満々だったのでスティレ達の無事を祈りながらテテノは見守った。


 テテノが心配そうに二人を見ているとスティレがカーディフに指示を出した様で、カーディフは沼には入らずかなり離れた場所いるシャドウワイパーを気付かれない様に絶命させていき、スティレは一人で沼へと入っていた。


 沼に入ったスティレは気配を消すのを止めた。


 今までいなかった生命の気配に気付いたシャドウワイパーは街灯に群がる虫の様に一斉にスティレへと襲いかかる。


「意思疎通もできない怨霊の類いなら加減もいらないな」


 と、スティレは呟き、こしの剣を抜き地面に突き立て力を解放する。


「グランドクロス!」


 そう叫んだ瞬間にスティレを中心に光が交差するように走り、昼間より明るい光が辺りを包み込んだ。


 その凄まじい光量は離れていたテテノの目がくらむほどだったがテテノの眼鏡には閃光無効の効果がついているので光の中が手に取る様に分かった


 光の中ではスティレは剣の手をかけ微動にしなかったが、シャドウワイパーは蒸発するように光の粒になって消えていく。


 光が収まり景色が戻ってきたので、怪しい奴隷商のようなサングラスをつけたソアレに尋ねた。


「すっごい光でしたけど、スティレさん大丈夫ですか!?」


「大丈夫ですよ」とソアレが指さしたのでテテノがその方向見ると、剣はまだうっすらと金色に発光していたが何事も無さそうなスティレの姿が見えた。


 そしてスティレが剣を鞘にしまい何かを飲み始めたので、ソアレがいきましょうとテテノに声をかける。


「もっもう大丈夫なんですか?」


「はい。広めに索敵してますが全滅ですね。カーディフも範囲外のは倒していましたし」


 ソアレとテテノが沼に向かうと沼の上にいたスティレも戻って来て、カーディフがいる辺りで合流した。


「新しい魔法はどうでしたか?」


「威力範囲共に問題はないが……魔力の消費が激しいからあまり出番は無いかもしれないな……殲滅するならソアレに頼む方がいいな」


「スティレは魔法剣士ですからね」


「まぁな。これで死の沼にシャドウワイパーはいないはずだからテテノは心置きなく調査してくれ」


「その前…………少し泣いていいですか!?クラスメイトは立派になっているのに私は借金まみれですし!」


「しかたありませんね……私の胸を貸しましょうか?」


「しかも昔はかっこよかったクラスメイトはおかしくなってますし!」


 スティレの魔法の影響か驚いているテテノが落ち着くのを待ってから死の沼の調査を始めた。


 ソアレがテテノにも泥の上を歩ける魔法をかけてからカーディフが少し離れた場所で辺りを警戒しスティレとソアレがいつでも動ける様に近くにおり、テテノが先頭で沼の中心に進んで行く。


 沼の中心に着くとテテノは沼の事を書いた羊皮紙を取り出し、もう一度確かめていく。


 テテノの邪魔をしない様にスティレはソアレに静かに話しかける。


「ソアレから見てこの沼はどうなんだ?」


「魔眼で見ていますが……異常ですね、魔力を吸ってはいますが溜まる所がいっぱいなのか、あふれていてそれをまた吸っている感じです」


「なるほどな……やはりテテノが言う様に下に何かあるんだろか?」


「十中八九間違いないでしょう……後はどうやって探すか?となってきますが……」


 その話が聞こえていたテテノは二人の会話に混じった。


「沼の真上から見られたらいいんですが……死の沼自体が釜なので丸だとは思うんですが……」


「思った事は試しましょう」とソアレが軽く言って何かを呟いたと思うと何も無い空間を階段のを上るように上に上がって行った。


「テテノンいかないんですか?」


「空でも飛ぶのかと思いましたよ……」


「襲われた時の事を考えると踏み込みのきく足場の方が良かったりします。私の真後ろに着いて来れば落ちませんので着いてきてください」


 少し離れた所にいたカーディフにも声をかけて、ソアレが先頭を歩き空に昇っていく。


 ようやく沼の全貌が見える位置まで上るとソアレが止まりテテノにこれぐらいで良いですか? と尋ね、テテノもここで十分だと礼をいった。


「結構な高さなのに風が無い……」


「落ちないように囲ってありますからね」


 魔法って凄いなーとテテノが驚いていると、スノーベインという雪国で雪よけの魔法として使われている魔法の応用だとソアレが教えた。


 世間話ばかりもしていられないのでテテノは辺りを見渡して何かおかしな所が無いかを調べていく。


 沼から見た時は気にはならなかったが上から見ると、それは錬金術師にはすぐわかる様な作りになっていた。


「やっぱり……死の沼は錬金釜だ」


「何か分かったか?」


「スティレさん。あそことあそこに大きな木があるのが分かりますか?」


「ああ、森と沼の境目になっている所だな?」


「はい。そしてあそこに大きな岩があって……そこに池が見えるでしょう?」


「あるが……私からすれば何の違和感も無いが……テテノには分かるのか?」


「今言った四つと死の沼の魔力が吸われる場所を繋ぐと錬金釜の底に描かれている魔方陣になるんです」


 テテノが言った事実に火食い鳥は驚いたが、ソアレも自身の魔眼で見えた情報をテテノに伝える


「それで魔力がかなり遅くですが動いているんですね……」


 その情報に今度はテテノが驚きソアレに尋ねる。


「ソアレさん!その動いている魔力の方向はわかりますか!?その方向がわかれば地下に入れる階段の様な物があるかもしれません!」


 ソアレは頷きなが自身の魔眼に集中すると先ほどより、魔力の流れがはっきりと見える様になり静かにその流れを見極めた。


 そしてしばらく集中して眺めた後にその方向を指さした。


「あそこの大岩の方に向かって流れてる。そこから先は別れて木や池の方に流れてから沼の方に戻って来てる」


「分かりました。ありがとうございます」ソアレに礼を言ってから少し考え、スティレに大岩に向かおうと伝えた。


 スティレはわかった頷いてからソアレの作った階段を降りていき沼へと戻った。


 そしてスティレが先頭を歩き岩に向かって歩こうとした所でカーディフから待ったがかかった。


「何かきたか?」


「違う違う。テテノ。新しい発見があって嬉しいかも知れないけど忘れない内に泥を採取した方がいいわよ。後でってなったら絶対に忘れるわよ」


 カーディフがそう言うと三人は忘れていたようで同じタイミングで「あっ」と言った。


 高ぶった気持ちで周りが見えなくなってはいけないとカーディフに礼を言ってからテテノはアイテムバッグの中から樽とシャベル取り出しで泥をすくって樽に詰めていく。


「カーディフさん。ありがとうございます……本当に忘れてました」


「後から後からってなると私もよく忘れるからねー」


 などと話をしながら樽に泥を詰めてシャベルを魔法で洗ってから、魔力が流れている方の岩に向かって四人は歩いて行く。


 もう辺りに害がある生物はいないと分かったのでレンジャーのカーディフが先頭を歩きながら地下に入れる何かが無いか等を調べながら進む。


「何も無いわね……ソアレ。方向はこっちよね?」


「はい。あってます」


「流石に泥の上に隠し通路を作るのは難しいか……」


「できなくも無いけど、その部分だけ硬くなったりするからすぐに分かるわよ」


 そんな事を話ながら進んでいくと沼の上には何も無く沼からあがり陸地へと上がった。


 またカーディフが先頭を歩きながら陸地を調べていくが大岩にたどり着くまでは何も無かった。


 そして大岩にたどり付くとカーディフとソアレが同じタイミングで「当たり」とテテノに伝えた。


 ソアレもカーディフもお互いに譲ろうとしたが時間が勿体ないので先にカーディフが発見した事をテテノに伝えた。


「先に私から言うわね。巧妙に隠されてるけど……この大岩の岩の下に通路があるわね」


「えっ!?本当ですか!」とテテノが目を輝かせながらカーディフに迫るが少し落ち着けと引き離され説明していく。


「結構時間が経って修理もされてないからこの大岩を動かす装置は壊れているわね……過去に事件があったのが五十年前だからその期間、手入れされてないし雨ざらしだから仕方はないんだろけど……」


「そうですか……」


「私の方は以上かな?周りに罠もないしね。ソアレの方は?」とカーディフから話を振られたので、次はソアレが答えていく。


「私の方も似たようなものですが……カーディフが言う様にこの大岩の下には間違いなく空間がありますね」


「ソアレさんは魔眼でみれるんですよね?」


「はい。上手く密封されているようですが、時間が経っているようでその岩の隙間からほんの少しですが魔力が流れ出ています」


「なるほど……という事はどうやって、この大岩をうごかす装置を起動させるかが問題ですね……カーディフさん壊れているんですよね?」


 そうテテノが尋ねると火食い鳥の三人は問題はそこではなくて他の事を気にしていた。


 かなりの大きさの岩だったがソアレが言うには動かすのか簡単だが、罠が生きていた時に作動する方が問題だと話した。


「魔法系の罠だと私は解除できますし、物理系の罠だとカーディフなんですが錬金って魔法とはまた違うんですよね」


「私が錬金術師なので魔力の供給もなく五十年も持つ罠はないのでそれは保証していいですけど……こんな大岩を動かす方が無理なのでは?」


「それは楽勝ですが……吸われた魔力を供給されていたらと考えると変に行動できませんね」


「かといってこのまま帰る訳にも行かないからな……私が盾になろう。ソアレできるだけ支援魔法をかけてくれ」


「分かりました。カーディフ。すみませんがテテノンと離れていてもらえますか?多分ですが中から高濃度の溜まった魔力があふれるので」


「わかったわ」


 その決定にテテノは応援する以外の事はできなかったので気をつけてくださいと二人に声をかけテテノはカーディフとその場を離れた。


 テテノが離れたのを確認してから、スティレが左腕に取り付けられた小さなな盾に魔力を込めると花が広がる様にりっぱな盾になった。


 それを確認してからソアレはスティレに防御や支援の魔法をかけてから声をかける。


「ではスティレ。浮かしますよ」


「ああ、頼む!」


「グラビトロン」


 ソアレが杖を掲げ魔法を唱えると大岩の周りに小さな光の球が現れ、そしてその球どうしが光の線で繋がり合った。


 全てがつながり合うと大きな地響きと共にゆっくりと空へと浮かび上がっていく。


 その光景を離れた所から見ていたカーディフは思った以上に大きいわね~などと場違いな事を言っていたがテテノはその光景が信じられず声を上げる事も忘れてしまった。

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