9. ゴブリン集落
風邪ひきました……。
風邪には気をつけましょう。
フル装備で、ゴブリンジェネラルを倒す準備を終えた俺は、遺跡を出て昨日ゴブリンジェネラルがいた開けた場所へ向かった。
もちろん、俺には『空間把握』先生がいらっしゃるから、前回のように突然バッタリ!なんてこともない。
この開けた場所……空き地に向かう前に、二回もゴブリントリオに出会った。
もちろん俺のレベルの糧にさせてもらった。
しかし、なんでゴブリンは三匹で群れるのだろうか。
謎である。
まあ、俺のレベルは8に上がり、『棍術』もレベル4に上がった。
一番大きい戦果は、ステータスが上がったことによる、
『空間把握』と『共有』の強化だ。
索敵範囲も広がって、レベリングの効率も上がることだろう。
と、話を戻すが空き地の奥の方にゴブリンの集落が見えている。
藁を積んだだけの家?から、木で組まれたちゃんとしたものもある。
しかも、集落の外側には弓をもったゴブリンまでいる。
集落の奥には例のゴブリンジェネラルと、もっと強そうなゴブリン……ゴブリンロードもいた。
かなりの規模だ。
どう考えても序盤にあっていい規模じゃない。
前回の俺なら、間違いなく逃げていたな……。
しかし!俺には強力な装備の数々とネロもいるのだ!
ネロの上位魔法でワンパンできるだろう。
ネロが倒したら経験値はネロにだけいかないかって?
フッ………『共有』大先生がいるでは無いか!
『共有』の説明には経験すらも共有できるとあった。
なら、経験値も共有できるのでは?と考えた俺はゴブリンと戦って検証したのだ。
すると、お互いに獲得した経験値のうち五割をお互いに得ることができた。
要するに、ネロが敵を倒しても半分の経験値だけだが、
俺もレベルアップすることができるのだ。
というわけで
「ネロ!『火炎砲』をあのゴブリンどもにぶっ放せ!」
ネロのページ部分から凄まじい熱量のビームがゴブリン集落に放たれた。
思わず耳を塞いでしまうほどの轟音と共にゴブリンたちが炭化し、死んでいくのが見える。
余波だけで燃える集落。
死にぞこなってのたうち回るゴブリン。
〔経験値を合計389獲得しました〕
〔レベルが10に上がりました〕
〔スキル『火炎魔法』の補助を確認。スキル『火炎魔法』を習得しました〕
〔スキル『魔力操作』を習得しました〕
〔スキル『魔力操作』のレベルが6に上がりました〕
ハッハッハッ!ゴブリンがゴミのようだぁ!
……ん?補助でスキルゲット?
ネロの魔力じゃ威力でなさそうだったから魔力貸しただけなんだが………まあ、ラッキーということにしておこう。
しかも新スキルゲットでレベルも急に6になった。
嬉しい。
「グルァァァァ!!!」
今もなお燃えている集落の中から、咆哮をあげながら巨大ゴブリンが一匹飛び出てきた。
この前のジェネラルだ。
「お前ごとき、俺の満たしたいロマンに比べたら、難易度なんて下の下なんだよ!俺の糧になって死ね!『火炎砲』ォ!」
俺は獲得したばかりの『火炎砲』を撃ちつつ、ネロには
『嵐風魔法』の『風刃』を撃ってもらう。
『風刃』は読んで字の如く風の刃だが、俺の『火炎砲』と組み合わせるだけでかなりの威力になる。
凄い熱量を伴ったビームと死神の鎌のような風の刃がゴブリンジェネラルで交差し、爆発した。
ゴブリンジェネラルの魔力では、俺たちの魔法を受けきることは不可能だろう。
魔力は、魔法などの魔力を用いた攻撃への耐性も含まれているからな。
予想通り因縁というほどでも無いが、因縁のゴブリンジェネラルは一瞬でバラバラになり、赤い華を咲かせた。
「フッ………汚ねぇ花火だ…!」
ッ!決まったぁ!
ネロもなぜか喜んでいる。
君、このネタ知らないよね?
とこんなやりとりをしている場合じゃなかった。
『空間把握』で視えていたが、こちらにもっとヤバイ奴が二匹来ているのだ。
二匹はさっきのジェネラルと格が違うようで、かなり筋肉質だ。
しかも、片方のやつはロードよりも格上のようだ。
持っている武器も禍々しいくらいにでかい。
魔剣的何かっぽいオーラもプンプン放っている。
それに、今まで味わったことのない鋭い殺気が俺に刺さってくる。
かなり怒っているようだ。
でも大丈夫。
俺にはネロがいる、しかも新スキルもある。
前回は戦いもせずに逃げただけだった。
でも、前回とは違う。
格上のロードが一匹?さらに格上がもう一匹いる?
それがどうした。
俺はロマンのために勝つ。
最高にカッコよく俺は勝ってやる。
と言ったが、流石にジェネラルのようには行かないだろう。
集落の煙から出てくる前に俺は『死魔法』の『死砲』を、
ネロを介して放つ。
ロードには命中したが、さらに格上である、キングには
躱された。
〔スキル『死魔法』の補助を確認。スキル『死魔法』を習得しました〕
「チッ、ネロ、『嵐風魔法』の『雷嵐』を撃つぞ!」
『雷嵐』は、雷の束に指向性を持たせて放つ魔法だ。
俺は『火炎砲』をもう一回撃ち、ネロの『雷嵐』と合わせた。
炎雷の嵐となって、『火炎砲』いや、『雷炎砲』がロードと
キングに当たった。
ロードは呆気なく直撃し、消滅したがキングは少し肉が焼ける程度で済んでいる。
〔経験値986を獲得しました〕
〔レベルが12に上がりました〕
〔スキル『嵐風魔法』の補助を確認、スキル『嵐風魔法』を
習得しました〕
チッ、キングは強い。
あれで倒せないなんて……。
装備を使って近接戦闘するしかない。
俺の魔力も少なくなってきている。
「グルォォォォォ!!!」
雄叫びをあげながらゴブリンキングが俺に向かってきた。
絶対に勝つ!
次話は、明日投稿します。