表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

 箱庭。どんなものか知っている人はいるだろうか。僕、こと工楽(くらく)(つくる)は毎日、大学の講義のない時間に部屋の中に作っている。きっかけは些細なことだ。今ではそのようなことも忘れたが、毎晩毎晩作り上げている。今回の作品は、『今までに溜めたお小遣いを全て使って自分に作れる最高の箱庭を作る』というテーマだ。

 箱庭の形は径が1mほど、高さは0.5mほどのもので、今まで作ったどの作品よりも大きい。この作品のおかげで一人暮らしでさえ狭い部屋がさらに狭くなっているが気にしたら駄目だ。山の中には、旅をして集めた様々な岩石で鉱脈が作られていたり、見えないところまで満足がいくように作り上げてきた。

 今日は箱庭の中に人や動物を入れ、完成させるつもりだ。小さい動物などを粘土などで、一つずつ作ったものを、山や街など様々な場所に配置していく。

 不格好ではあるが、時間を浪費して作ったこだわりの人と動物だ。ちゃんと彼らがどうやって暮らしているのかさえも綿密に設定までした。これが終われば長い間掛けた箱庭制作も終わりだ。若干の寂しさを抱えながら、一つ、また一つと人形を接着剤で箱庭にくっつける。

 その時、接着剤が切れた。中途半端な量で、足りるだろうと思っていたが全く足りずに、困った。

「さて、どうしようか。木工用じゃ中々乾かないし、グルーガンも糊が見えるのは嫌だからな。」

 目指すは最高の箱庭である。だから妥協もする気はない。よって僕がとる行動は、近くのホームセンターまで接着剤を買いに行くというものだ。夏休みの平日であるので、決めたらすぐに行動を始める。財布、時計を身に着け眼鏡をはずし、万能シャベルと水筒、そしてタオルをカバンに入れる。どう見ても普通の大学生の荷物だ。シャベルはよさそうな素材を見つけたらいつでも回収できるように持っている。

 鍵をかけ、家を出る。太陽がさんさんと輝き焼けるような暑さだ。その中で影の中をできるだけ通れるように移動する。塀の影、建物の影、電柱の影などを伝っていく。

 無事、店で接着剤を買った。暑かったのとついついお腹がすいてしまいそうめんも買ってしまい、高くついたが。

行きと同じように影を伝って帰る時だった。先ほど眼鏡をはずしていたため、開いているマンホールが見えなかった。

 落ちた。

 一足を入れた時、足場がないことが分かったが歩く勢いを止めることは至難であった。転び上半身が穴の向こうに叩きつけられる。手でマンホールに落ちないように何かを掴もうとする。幸いなことに何かは掴むことができた。不幸なのはそれが地面に落ちている石であったことだけだ。体を固定することができず、そのまま落ちる。

 足が途中にある壁についた梯子に引っ掛かり、体が回転する。

最終的に体には強い衝撃が走り、地面に叩きつけられたことが分かった。具体的にどこが叩きつけられたのかはわからなかったが、薄れゆく意識を手放さないように努力はする。

しかしながら理不尽にも僕の意識は落ちた。足を踏み外してから5秒にも満たない時間だった。

 これが、僕がこの世界に来た経緯だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ