プロローグ
「かなちゃん・・・」
自分の名前を呟く声
「花音・・・、貴様・・・」
怒りのこもった右手には欠陥がにじみ出ていた
「毎度毎度、なんで俺の部屋にいるんだよぉおおお!?」
と、子供のように地団駄を踏む
「んー・・・、あぁぁ。かなちゃんだー。おかえりぃ」
寝ぼけた様子の美少女が奏に手を振る
「うん、ただいまぁあ。・・・んじゃあぁねぇえええだろぉおおお!?」
「んえぇ~、なんでぇ・・・・、あ、そっかぁごめんよぉ、かなちゃん~」
美少女は布団の上に転がしていた体を起こし、胸の前で手を組むと
「おかえりなさいかなちゃん、ご飯にする、お風呂にする、そ♡れ♡と♡も~、わ☆た☆し?」
と上目遣いで奏に目配せする。
「いや、なんていうか、もう・・・、頼むから帰ってくれ・・・」
音街 花音俺の幼なじみで、成績優秀で運動神経も抜群、しかも外見もいい、まさに才色兼備を擬人化したかのような奴だ。
付け加えると、俺への好感度がカンストしている。
おっとすまない、自己紹介が遅れたな。
俺は橘 奏オタクでぼっちで非リアの非青春真っ盛りの高校二年生だ。
付け加えると・・・、ハァ、音街 花音からの好感度がカンストしている。