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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
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流れ落ちる一条の流星

本来投稿するつもりだった話です。先週、今週と忙しかったため、少々短めです。

お父さんの黒龍に運ばれ、ルリアック山にたどり着いた。

それ以上はあまり思い出したくはない。現実逃避と言われようとかまわない。

正直、あんな勝てる見込みもない相手に運ばれて来たなんて安心できない...。


「さあ、ようこそエイン君。ここが我が家さ。」


「お~、ここがレイの家か、どうしてこんな場所にあるんですか?」


「ん?まあいろいろかな、それより寒いだろう?早く上がりな。」


「お言葉に甘えてっ!」


そう言うなりエインは家へと駆けだしていった。

僕も、[断寒結界]が無ければエインと同じ行動をしていたに違いない。


「ふふっ、なんだかエイン君のほうがあなたに似ている気がするわ。」


「お母さん、それは僕への嫌味ですか?」


もちろん冗談と分かってはいるのだけれど、


「俺も、寒ぃや、中へ入るとするか。」


「暖炉は焚いてあるので、あったかいですよ。あ、レイ、外にある薪をいくつか持ってきてもらえる?」


「分かった。」


僕は家の裏にある薪をいくつか持ち、家に入ってお母さんに渡す。


「ありがとう。おなかすいたでしょう?ご飯作っておいたから食べておいで。」


「エインとお父さんは?」


「もうすでに食べてるわよ。」


とのことだったので、リビングへと向かう。


「お、レイじゃん。早く食べろよ。これ食べたら始めるってさ。」


始める...?多分修行のことかな?


「わかった。おなか壊さない程度に急ぐよ。」


「ガイアスさん!冒険者のころの話を聞かせてください!!」


「分かった。レイが食べ終わるまでだから、ちょっとした小話かな?」


そう言って、二人はリビングを出て、談話室へ歩いて行った。


僕も、テーブルに出されたご飯とみそ汁に、酢物を素早く食べ終えると、刀を手に取り、


「ご馳走様でした!」


とだけ告げて、エインとお父さんを呼びに行った。


「エイン、お父さん。食べ終わったよ。」


「それであのゴブリンがな、ってレイか。この続きは後でな。」


「ええっ!?いい所だったのに...。」


「休憩するときにでも聞かせてやるさ。っと、レイはポレットとだ。」


「え、どうして?」


「つかめたんだろう?固有結界への足掛けを。」


「あ、多分?」


「そいつを先に習得しな。そいつは、鬼人族に許された反則技みたいなもんさ。」


確かに、お母さんの[完全盾](イージス)はお父さんの攻撃でさえ通さないほどの強度だ。いわれてみれば、反則技みたいなものか。


「それに、マンツーマンのほうが成果は上げやすいだろうしな。」


「うん、だね。じゃあ、こいつは置いていくか。」


僕は、腰に携えた[氷神]を棚へとしまった。


「ん、そいつは...。まあいいか、行くぞ!エイン!ロマンを求めて!」


「どこまでもついていきます!!師匠!!」


始まる前から心配だけど、きっと景気づけみたいなものだろう。














「お母さん、僕は何をするの?」


僕はとお母さんは僕が小さいころに結界のを練習するときに使った地下室へと来ていた。

それにしても、改めてこの家はやたらと多機能だな...。


「もちろん固有結界の練習、基、習得ね。この一か月で習得できればいいけど。」


「そんなに難しいの?」


「固有結界ていうのはね、その人の意思、願望、希望、現在、過去、未来みたいに、何かを土台とした結界 なの。だからまずは、レイの固有結界の本質を知ることからよ。とにかく発動してみて。」


僕は、無名の結界を展開する。望むのは、誰かを守るための力。かな?


「...。なるほど...。珍しいわね。」


「何かわかった?」


「その結界の性質だけはね。本質は分からないけれど。あ、もうやめて大丈夫よ。」


「っ。ふう。どうだった?」


この結界はいつも使う[防壁]とかよりも神気の消費が大きい。だから、いつもよりも少し疲れてしまう。


「まず、結界の種類から、軽くおさらいするわ。」


「最も基本的なのは、物理防御の自己防衛型。次点に魔法防御ね。次に、属性防御の自己防衛。そして、今 言った型の他者防衛型。そこからは、燃費もあまりよくない反射防御型。最後に完全防御型ね。」


「最後二つは他者に展開することは出来ないの。巫術結界なんてものもあるけど、これは例外ね。」


[一望無根]は巫術結界なので、例外的な分類かな。後、ケリーの力を使うものも、結界の例外的な分類に当たるはず。まあ、半神精霊の力を借りれる機会なんてなかなか無いけど。


「そういうわけで、レイの固有結界は完全に他者防御型みたいなの。」


確か、誰かを守りたいみたいな願望だったから?


「心当たりはあるかな...。」


「あるなら、意思や願望の結界でしょうね。後は何度も展開して、自分なりに何となくつかみ取ってみ   て。もちろんできるだけサポートするわ。」


「ありがとう。お母さん。」


「息子のためなら当然よ。」


僕は引き続きこの無名の結界を展開しては消し、展開しては消しを繰り返した。

燃費が悪いからか、かなりの勢いで神気が切れたので、エインのほうを見に行くことにした。


ついでに少し稽古をつけてもらおうと思って、さっき棚にしまった[氷神]を取り出し、エインたちのところへと向かった。


そこにあったのは、光が舞う戦場だった。


エインが大剣に淡い光をまとわせながら大きく振るう。


それに対して、一段階強い光をまとわせた大剣をふるい、エインが跳ね飛ばされる。

さながら、ある意味流星だった。


そんなことを数回するうちに、急にお父さんが迎撃せずにエインの懐に潜り込み、お腹に小堤を一撃打ち込んだ。当然エインは空気を空きだされ、その場へ倒れこんだ。


「また意識が手薄になっている部分があるぞ!!常に全方位警戒しろ!そして、即座に対応だ!」


「はい!師匠!」


なかなか無茶な気がしなくもない、得物的にも。


そうしてまた、幾撃か撃ち込まれたエインは、すでに、満身創痍だった。


「こいつで、今日はいったん締めだ!今日の成果を出し切りな!!」


「はい!!」


エインが繰り出すのは同じ(スキル)、重撃。単純ゆえに取り回しが大剣のほかの(スキル)に比べては取り回しがききやすい。


だけど、満身創痍だからか、また打ち込まれそうな隙が見える。

同じことを思ったのか、苦い顔をしながらお父さんは迎撃するふりをして、大剣を手から離して掌底を打ち込もうとした。


「[流星]!」


しかしエインは、本来なら、大剣同士がぶつかったであろう場所よりも早く大剣を振るった。そして、振るった勢いを生かして、一回転、飛び上がりながら十八番の流星を放った。


その一条の流星は速く、重く、会心の一撃と言っていい出来だった。

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