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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
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流れる氷の音符

前に書き上げたはずのやつが投降できていないことに先ほど気づきました...。申し訳ありません。


「[メロディア・リオン]」


キン!と澄んだ音と共に薄く氷におおわれる私の細剣。それだけじゃなくて、その細剣の回りには、様々な音符や、記号が浮遊している。


「フーラ、いったい何をしたの?」


珍しくまじめなミルの声を聴くが、その問いに対する答えは私も持っていない。


『メディ、これは?』


『そうね、言うなれば万能な魔法剣かしら?記号を使えばいろいろと変わるわよ。』


私が望んだ答えとは違う。...。それはともあれ、私は一番近くに浮いていたフォルテの記号を使おうとした。

だけど、使い方なんてわからない。そう思った矢先に、フォルテの記号が細剣に入り込む。


私の魔力が少し抜き取られるのを感じる。それと共に、細剣を覆う氷が一層密度が増すのを感じた。

でも、重さはほとんど変わらない。違和感なく使えそう。


私はミルに壁を作ってもらうように頼んだ。なるべく堅めのもので、とも付け加えた。


すぐに土の壁がせりあがった。よく見かけるものより堅そうだ。

それに向けて私は突きを繰り出す。


その突きはいともたやすく土壁を貫通した。そして、細剣が震えたのを感じたのもつかの間、土壁が崩壊した。あまりの出来事に私は突きを繰り出した姿勢のまま硬直してしまっていた。


「ちょっと!今なにしたの?」


何やら慌てた様子で駆けてくるミル。


「えと...。自分でもわからない...。」


「そう。土壁が崩壊した瞬間に精霊の力を感じたから何かと思ったのだけれど、心当たりは?」


「心当たりはある。」


「そう。ならいいわ。それは見たところほかにも使えるのよね。見せてもらってもいい?」


「わかった。」


そんな感じで私はこの魔法剣が使える効果をいろいろと試した


例えば、ピアノなら、さっきのような振動?による破壊はないけれど、魔力消費がとても抑えられるので、継続戦闘が可能だった。どれほどの少なさかと言えば、魔力回復の速度と釣り合うぐらいかな?実質それだけならば強化しながら戦い続けられるみたいだった。


面白かったのは、デクレッシェンドやクレシェンドだった。デクレッシェンドはついた場所が凍り付くんだけど、突いた部分がカチコチ、そこから離れるにつれて凍結しなくなっていった。クレシェンドは真逆。突いた部分は何もないけど、そこから離れるにつれて凍結が酷くなった。

どちらも効果範囲は半径1フラット程だった。


音符は氷柱を作り出すんだけど、音の長さで大きさが変わるみたいだった。スタッカートで短くなるけど、打ち出される速度が増して、アクセントで氷柱が打ち出されて少し経つと二倍の大きさになった。


ト音記号を交えると、氷柱が速くなり、ヘ音記号で遅くなる事も分かった。


そうやって氷柱を操っていると、なんだか魔法を使っているようで、楽しかった。

その際、ミルが楽しそうな私を見てかにやにやしていたので、氷柱の弾幕を作り出し、一斉発射しておいた。まあすべて防がれてしまったけれど...。


...。これならマナと魔法での勝負ができそう。そんな考えが浮かび、マナに頼んでみた。


「え、いいわよ。でも、氷と火って相性悪いわよ?」


「この氷は簡単には溶けないから大丈夫。相性が悪いのは認めるけどね。」


「そうなの、ならやりましょうか。」


どんなルールにするか二人で考えていると、ミルが近づいてきて提案してきた。


「私が三回まで防げる[マジックプロテクト]かけるから、それがなくなったら負けっていうんはどうかし  ら?勿論、危険そうなのは介入させてもらうけどね。」


「いいよ。」


「あたしもそれで大丈夫です!」


「じゃあ、掛けるわよ。[マジックプロテクト・トリプル]」


ミルのその声に呼応するかのように私たちの周囲にそれぞれ赤、青、黄色の球体が漂いだした。


「わかるとは思うけど、それが残り回数ね。で、今回は練習だから、直接攻撃は禁止ね。」


わざわざ魔法のみを防ぐものを使っているから当たり前ね。


「じゃあ、位置についてね~。」


その声に私たちは軽く距離をとる。


「じゃあ、開始!」


私は指揮棒を振るようにして、氷柱を生み出す。まずは小手調べに標準的な四分音符の氷柱のみ。


マナも無詠唱で火の玉を氷柱と同数作り上げ、相殺、いくつかは、貫通して、私のところまで飛んでくる。

それに対して、また氷柱を作り上げぶつける。


「ははは!なんだか指揮者みたいだね。」


マナは目うらしいものを見たかのように笑っている。


「ふふっ、自覚はあるかな。えいっ!」


さっきのように四分音符の氷柱を展開、ヘ音記号で飛ばして、もう一度展氷柱を展開、今度はト音記号。

結果的に、かなりの数の氷柱がマナへと押し寄せた。


「いきなり増えたねっ!っと。」


自身の回りを炎の渦で覆って氷柱が溶けていった。運よく通り抜けたものもその内側にある風の渦に飛ばされていた。そう簡単にはいかないよね...。


「まだまだ!」


細剣をふるって四分音符の氷柱を広く展開。マナを囲むようにする。そして、正面にアクセント。


「そんなの意味ないよ!...。え!?」


いきなり大きくなった氷柱に驚くマナ。さすがに、大きくなった氷柱はどちらの渦も通り抜ける。


「このっ!」


レイが使う結界と似たような半透明な壁を作り出すマナ。これはさすがに壊せず氷柱はあえなく散っていった。


「次は私の番だよ!」


そう言って、また無詠唱で巨大な火球を作り出す。本当にマナは火魔法に関しては学校内で右に出るものはいないと思う。どうせなら、真正面から対抗しよう。


私は全音符の氷柱にアクセントを付与する。基本的なサイズの八倍だ。だけど、少し自信がなかったのでフォルテも付与する。さらに大きさを増し、もはや氷柱ではなく、氷塊となり火球とぶつかり合う。

だけど、相性的には不利という事実はひっくり返らない。その分は大きくした分でカバーするしかないかな...。


氷が蒸発し、あたりが水蒸気で周りが見えずらくなる。相殺していることを願いつつ、新たな氷柱を展開していく。


「....焼き尽くせ!グロウフレア!」


あらかじめ詠唱していたのか、新たな魔法をマナが発動した。現れたのは炎の奔流。

これを相殺することはも無理なので、少し攻め方を変える。


私は四分休符でできた氷柱をあたりにまき散らす。氷柱が着弾した場所は問答無用で凍結されていく。

炎の奔流も大した威力を発揮することもなく、氷に飲み込まれた。


「へ~、やるね、フーラ!」


「今の私じゃ、マナのの足元にも及ばないよ。」


マナの本領は風属性も交えた激しい攻撃、今はまだ私がこれになれるのを手伝ってくれているだけなはず。


「じゃあ、もっと強いのいっくよ~!」


そういいながらマナの周りに魔法陣がいくつか私に向けられた状態で展開された。


「炎よ、我が敵をその存在すらも廻らないほどに焼き尽くせ!ブレイズ・エンド!」


魔法陣から放たれたのは、超高密度の熱線。


それに対抗するために、先ほどと同じでは足りないと思う。だから、今度は二分休符で凍らしていく。


ここで私は失念していたことに気づいた。

私はマナに対して、圧倒的物量で戦っていた。その先にあるのは、当然ながら魔力切れ。


いくつかは防いだが、根占はまだまだ残っていた。でも氷柱はもう出ない。


とっさに飛びのいたけど、着弾してからあふれる炎を防ぐことはできず、私の周りに浮いていた球体が一瞬で三つすべて溶けるようになくなってしまった。






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