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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
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平穏の終わり

短めですが、霧をよくするためですので、お願いします。

「海翔~、ほんとにこっちであってんのかよ。」


「フェーノラースが言うにはね、こんな裏路地みたいなところにいるとは思わなかったけど。」


「変なにおいもするし、早く出たいです...。」


優那が愚痴をこぼす。いくら大きな町といえど、どこも華やかな訳がない。

とりあえず、本当に例の生き残りの奇人族ってやつがいるかどうかを確かめないといけない。


「ああ、そのためにもさっさと見つけよう。」


「だね。」


則恵も頷く、こうして、フェーノラースが示す反応を元に俺たちは反応へと近づいて行った。


『あいつよ。反応からして、ハーフだけど、警戒しなさいよ。』


フェーノラースが示す方向には古いベンチに腰かけている青年が一人。


「了解。...。あいつは、あの時の?おい、勇希、あいつってあの時の奴じゃ。」


「ん?お目当てが見つかっ...。っ!?なるほどな、通りで強かったわけだ。」


女性陣もこちらに駆けつけてくる。


「海翔君、鬼人族って角が生えているんじゃないの?」


「うん、そうらしいけど、あいつはハーフらしい、観た感じ人族よりのハーフなんじゃない?」


「気になるなら、今藤の[鑑定]があるじゃない。」


「あ、そうだったね。海翔君、お願い。」


俺自身もそのことを忘れていた。気を引き締めなおして、スキル[鑑定]をあいつに使用する。



_________________________________



名称:レイ・アサクラ


Lv:139


技能(スキル):刀術Lv8・抜刀術Lv8・結界Lv7・巫術Lv5・神刀Lv3

   氷精Lv4

   

称号:先祖返り・半神精霊契約者



__________________________________



「!?」


まず目についたのは圧倒的レベルの高さ、俺の[鑑定]のレベルじゃ能力値はわからないけど、

俺らのレベルは90前後、召喚者には能力値が同レベル帯の人たちよりも高くなるように補正がつくらしいけど、50の差を埋めるほどではない。


技能のレベルは10が最大、一番技能レベルが高い俺の技能は剣術と精霊使役のLv6。

まさかここまで強いとは思わなかった。それと、アサクラというのは日本っぽい感じの名字だな。


俺はみんなと広場に戻り、鑑定結果を紙に写してみんなに伝える。フェーノラースが俺達の存在感を薄くしているから一般人には気づかれないので、焦らずに伝えた。


「はあ!?あいつあんなに強かったのか!?前のは俺らと同レべだったつうのに。」


「これはさすがに予想外だなぁ、海翔君、どうするの?」


かなり頭が痛い問題だった。今までは、人気のいない場所に誘導して、一気に仕掛けて終わりだったのに。


「四人目だから私たちも慣れてきたし大丈夫じゃないの?」


楽観的意見を言う則恵。ただ、俺達に求められているのは確実な達成。暗殺者でも送ればいいといったけど、鬼人族の血をひくものは経験値が多いから、大義名分もあるのも加えて丁度いいと国に一蹴された。


最初はこの世界で初の人殺しでもあった。だけど、皮肉なことに僕は一度経験していた。だから、みんなより戸惑いなく殺してしまった。大義名分もあるから、堂々としていいとは言われているけど、それをしてしまうと、もう人間でいられなくなってしまうような気がしてできなかった。


それに、僕は勇者だ。ここまで来た以上引くわけにはいかない。


「ラー。俺達はどうすればあいつに勝てる?」


ラーというのはフェーノラースの愛称だ。そう呼べと言われたから呼ぶときはこうしている。


「そうね、正直厳しいわね。称号に半神精霊契約者って書いてあるということはすなわち、私たちよりも上 の階級の精霊と契約しているということ。一度手を引くのもありかもしれないわ。もっと強くなってから

 出直すほうがいいと思うわ。」


あの称号はそういう意味か、一度出直すべきか...。


「最上級精霊が何言ってんだよ。読んで字のごとく一番上じゃねえのかよ?」


「それは作られし精霊たちの階級よ。この世界の起源については知ってる?」


「え、あれはお伽話じゃないんですか?」


首をかしげる優那。俺もそうだと思っていたし、事実、教えてくれた騎士長はお伽話だと言っていた。


「いえ、本当よ、あなたたちに力を与えたのもピーナ様だしね。」


「まじかよ...。」


勇希は空を仰ぐ、あまりにも現実味がない話だから気持ちはわかるけど、ここは剣と魔法の世界なのだから、ある意味当たり前なのかもしれないと思った。


「それに相手は巫術なんてのを持っているしね、あれが過去に鬼人族が滅ぼされた原因でもあるのだけれ  ど。」


「そんなに強いの?」


俺はフェーノラースに問う。


「反則といっても過言じゃないくらい。能力強化のものでも、魔法とは日にならないぐらいの増加率。それ を使いこなすのも大変だけど、それが感覚でできるからね、鬼人族は。」


「っつってもどうすんだよ、のこのこ帰るわけにもいかんだろ?それに俺らには[覚醒]が使えるようになっ たんだ。勝てねえ相手じゃねぇだろ。」


[覚醒]勇者にのみ使える強力な技能。一定時間能力を二倍にして、受けるダメージも半減するというもの。

自分でも強すぎだと思ったけど、効果時間が過ぎれば、技能と魔法が使用不可になるし、能力値も元の値の75%まで減少するので、気軽には使えない。


「ああ、わかってるよ。こうなったら大義名分も利用して、戦うしかないだろうな。」


「やっぱりそれしかないのね。」


則恵が残念そうに言う。あいつは角がないので、普通に過ごしていればばれないはずだから、普通に暮らせていたはずだ。だけど、大のためには小は切り捨てるものだ。俺たちが帰るためにも、ここで糧になってもらうしかない。


「あいつを表に誘導しよう、そこで仕掛ける。いいな?」


「合点承知の助だ!」


「海翔君、任せて!」


「了解よ!」


俺たちは決意を固めて、行動へと移った。


 かくして、平穏の日々は終わりを告げ始めるのであった。



四月は三日に予定を活動報告に挙げるつもりなので、そちらをご覧ください。

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