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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
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勇者の剣

しばらく音信不通で申し訳ありませんでした。三月中旬まで続くかもしれませんが、最低でも、ひと月に一話投稿は絶対するので、予定とか見るのが面倒な方は、月末に覗いてみてください。

勇者たちが来た瞬間、歓声がわっとあがった。勇者たちがその声に対して手を振って返す。


「すごい人気。」


「こんなものでしょ。英雄なんだから。」


「うるさい。」


「まあまあ。あれが、ノリエ・ハヤシっていう人じゃない?」


僕は一度戦ったことがあるので、一目でわかった。


「うん。だけど、レイがどうして知ってるの?」


「え、す、すこし掲示板に写真がのっていたから...。」


「ふぅん。まあいいや。もう少し近くで見てくる。」


「うん、行ってらっしゃい。」


僕は彼女を手を振って見送ると、エインを探すために、大通りを離れ、人気が無いところまできた。


「この辺ならいいかな?よっと。」


僕は飛びあがってそのあたりの屋根に上った。


「んー。いない。あっ、そうだ。ケリーに頼もう。」


『ケリー。聞こえる?』


『はい~、何か御用ですか~?』


いつもの間延びした声が聞こえてきた。


『少し頼みたいことがあるんだけど。』


『はい~。構いませんよ~。』


『僕の友達のエインっていう人を探してほしいんだ。』


『分かりました~。えーと、この人がエインですか?』


頭の中に、エインが人混みに紛れてわあわあと騒がしく勇者たちのパレードを見ている。それを上から見下ろしたような映像が送られてい来た。


わあ、仕事が早い。


『ここですよね?』


『うん、ありがとう。場所は分かる?』


『ええと~。勇者さんたちが通っている大通りまで戻ってもらえますか?』


『了解。』


僕は屋根を飛んで他の家の屋根に移る。それを繰り返してその大通りの近くまで来た。僕は屋根をおりて、大通りを北に進む。


『あと、100フラット程です~。』


その声が聞こえた時、僕は丁度もみくちゃにされながら進んでいた。その理由はちょうど勇者たちが目の前にいたからだけど、ふと、勇者のカイト・コンドーが腰に携えていた剣が目に入った。その剣は不思議に惹かれる。何でできているかはわからなかったけれど僕の[猛吹雪]とも対等に、むしろ負けるだろうか。腕ではまけないけれど。


そんな考えが頭をよぎるうちに僕は揉みくちゃから解放され、やっとエインが見える距離まで来た。

それでも人混みが多すぎて頭とエインの大剣しか見えないのだけれど。


「エイン~!」


僕の呼びかけに反応したエインはこちらを振り返った。


「おお、レイ。なんか用か?わざわざこんな人混みを真正面から通ってきてさ。」


「ん~。まあ特に用は無かったけれど、エインが気になっている人ってのが気になってさ。」


「ああ、ユウキ・ナカイっていうやつだ。一撃でなんでもぶった切るか、ぶち壊すんだぜ!かっこいい   なぁ。あ!そういえば、あのカイト・コンドーってやつの剣見たか?」


「みたみた。何とも言えないと言うか...。」


「噂だけど、勇者のみが使える剣らしいぜ。人類の敵となるものなら、切れ味は膨れ上がるらしい。なんで も切れるらしいぜ。人類の敵って魔物はそうだろうけど、同じ人類でもできるのかな?」


「さあ、分からない。」


僕は肩を竦めて答えた。


「まあいいや。勇者たちが見れたのは嬉しいし。...。(レイ、ちょっと来い。)」


嬉しそうな顔をしていたエインは急に真顔になって小声で話してきた。僕はエインが示す方へと付いていく。そこは木箱がたくさん置かれて狭いように感じるが、元は広場程の広さがあったであろう場所だった。


「ここは?」


気になって問いかける。


「俺の秘密基地だ。ちょっと待ってろ。」


そう言うと、エインはすたすたと木箱が最も高く積まれた場所へ行った。


「...しか、...あたりに...あった。よっと。」


ぶつぶつとエインが呟く声が聞こえる。すると、エインは何かのレバーのようなものを下した。


ガコン!


何かが外れたような音がした。


「ついてこい。」


よく見ると、木箱が詰まれている隅の方に、人ひとりが何とか通れそうな人工的に整えられた穴があった。


「これ?」


僕は穴を指さしながら問いかける。


「ああ。入るぞ。」


エインは辺りを見回して誰かいないかを確認すると、その穴へと入っていった。僕はその後に続いた。
















「すごいな。」


僕が少し長い穴からようやく広い空間に出てきたときの感想。そこにあったのは、普通の家のような空間。


「俺がちっさい頃の悪だくみの拠点に使ってたのさ。木箱は腐ったものしか入ってねえけど、誰も処理しな い。なぜかは分からんが、ここに変な空間を見つけてからは、いじくりまわして秘密基地にしたのさ。」


エインな解説が耳にほとんど入っていないぐらい僕はこの空間に興奮していた。小さい頃は雪山で暮らしていたので秘密基地なんてへったくれも無かったし、だいたいの洞穴とか洞窟には、なんか住んでる。僕にとって秘密基地は子供のころの夢でもあった。


「まるで家だね。」


「もとはダダの四角いなんかの巣みたいなつまらん感じだったからな。俺好みにしてやった。」


「へえ~。」


簡素ではあるが台所のようなもの(勿論水道もある。)や、テーブルに椅子。もう一部屋には、会議室のように、黒板と長机が二つ並べられ、丸椅子が置かれていた。


「こんなのどうやって集めたの?」


「基本小遣いだ。雑用やったりして貯めて、その辺で買ったらばれるから、俺の親に黙ってもらう代わり  に、いらない家具とかを安く譲ってもらった。黒板はくすねてきた。」


最後にさらっと爆弾を置いていったけどスルー。


「ふーん。で、話は何?」


「単刀直入に言うならば、勇者たちがここに来た理由さ。ここのビュルンデル学校は確かに有名ではあるけ ど、勇者たちが来る理由にはならない。となると、お前を探しに来た可能性の方が高い。」


「つまり隠れろと?」


僕としてもそのつもりだけど、正直あまり心配してない。だって、ケリーの空間を見破れるやつとかいないと思うし。


「ああ。安全策を考えるならな。後でみんなと相談するしかねえな。これに関しては以上だ。」


「まだあるの?」


今のだけじゃないんだ。そう思っていると、エインはチョークで勇者が持っていた剣を描いた。


「勇者の剣がなにか?」


「どうも何も、もし戦うなら、最大の障害はこいつだぞ。人類の敵はなんでも切り捨てれる。どう考えても 強すぎるのは明白だ。」


「確かに。」


「なんか対応策とかあるのか?」


結界で何とかなるかなって思ってたけど、天敵が現れたな。[完全防壁]なら、一度は防げるけど、はじくとは思わないから。神気の無駄かな。[一望無根]で弾き飛ばす?なんか無理そう。ていうか、他にも三人いるから、勇者だけの対策を考えても無駄かな。やっぱり[偽完全盾]?神気のコスト的にきついけど、一番無難。それか、アイの言っていた固有結界を一か八か試してみる...。最終手段で。


「良いのはない。」


しばらく考えたけど無い。むしろあるのか?少なくとも、有効的なものは一つもない。無難なのは、[神速化]で逃げ回って、[剣閃ノ軌跡]で勇者を閉じ込めて、他のやつらと戦う。一対一を作れたなら何とかなるとは踏んでいる。


「まあ、一人であの四人と戦って勝てる奴なんているはずないもんな。」


過去には勝ったけどね。


「まあ、今は絶対にばれないことを優先するべきだな。レイはここに残ってくれ、フーラとマナを呼んでく る。」


そう言うと、すぐに秘密基地から出ていった。さて、どうしよう。とりあえず色々調べてみるかな?

次回は...。ちょっと未定です。今月はもう無理かもしれません。

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