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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
63/75

再び

サブタイトルは良いのが思いつかなかったので、何か思いついたら変えるかもです。

「己が正義を貫き通せ。か、難しいな...。」


今日は学校は休校らしい。なんでも、トライアルからお偉いさんが来るとかなんとか、興味は無いけど、迷惑なことだ。今日は大会についての詳しい説明だったのに。


 今日は雲一つない晴天ではあるけど、僕の心は青空が見えない曇りきった天気だ。この雲を晴らすためにも、せっかくの晴れの日の早朝を活用しようかな。


僕は[猛吹雪]を、片手に寮をでた。風は不思議なくらい吹いていた。












「九百九十二、九百九十三、九百九十五、九百九十六、九百九十七、九百九十八、九百九十九、千!」


声は荒げつつも、刀は丁寧にかつ迅速に振るう。目標の千回を終え、水を飲みに行こうと歩き出そうとしたとき、やけに町の方が騒がしいのに気付いた。腕時計を確認すると、短い針は7、長い針は6を指していた。いつもなら、朝市がある時間ではあるが、ここまで騒がしいわけでもない。


「今日はお偉いさんが来るからかな?」


水場にたどり着き、顔を洗った後、僕は友人である大剣使いの青年に聞いてみることにして、寮へと戻った。町は騒がしいままだった。


 僕はエインの部屋へと行こうと、エントランスを右に曲がろうとしたとき。


「あ、レイ。」


柔らかくて、聞き覚えのある声を耳にして、振り返ると、水色の髪を水のように流している女子。基、フーラがそこに立っていた。彼女は嬉しそうに此方へと駆け寄ってくる。それを見て、僕も内心嬉しくなって、顔がにやけそうになるけど、それはなんだか嫌だったので、軽く微笑みながらフーラを迎える。


「レイ、おはよ。」


花のような笑顔で、そう言った。


「うん。おはよう、フーラ。どうかした?」


「ううん、何も。たまたまレイを見かけたから。」


「そっか。」


「うん!」


無邪気なその笑顔は、上級の自然属性の精霊と渡り合った高貴な細剣つかいとは思えないほどだった。


「あ、そういえば...。エイン見てない?」


「エイン?エインなら、町へ行ったよ、昨日言ってたじゃない。勇者様が来るからって。」


「え!?知らないよそんなこと。」


「レイは居なかったっけ?すぐにどこかへ行っちゃうからでしょ。」


頬を膨らませてくどくどと言うその様子は、とてもかわいくて笑ってしまった。


「どうして笑うの!」


ますます怒るフーラ、怒ると言っても本気ではないから、気にしない。だけど、悪いのは僕なので、ちゃんと謝っておく。


「ごめんごめん、次から書置きでも残しておくよ。」


「そういうことじゃないの!」


ポカポカと僕の胸を叩くフーラ。この可愛い生物は一体何だろう。


「で、勇者が来るんだっけ?」


僕が顔を少しまじめな顔に戻す。フーラもそれを見て、いつもの冷静な顔へと戻った。


「うん。」


「そうか...。」


「もしかして、気にしてるの?レイが鬼人族だって事。」


フーラは気を使って耳元で囁く。


「まあね、ばれたらただじゃすまないと言うか、五体満足でいられる自信が無いね、ははっ。」


笑って、不安なことを誤魔化す。


「!?」


当然フーラが抱き着いてきた。否、抱きしめられたの方が似合う。それは、優しく包み込むような、雰囲気なら、ピーナに近い。


「もし、レイが世界を敵に回したとしても、私はレイの隣で歩み続ける。それだけは変わらないから。」


「フーラ...。」


「だから...「二人とも、朝から熱いねぇ。」えっ。」


フーラが何かを言おうとしていたところにかぶさるようにからかってきたのはマナだった。


「マ、マナ。おはよう。」


「もしかして、邪魔だった?二人とも、顔真っ赤よ。ふふふ。」


ここが、エントランスであることをすっかり忘れていた。このような状況に陥る可能性があることなど、とっくに分かっていたはずなのに。


「なによ、フーラこそエインに結局何もアタックしていないくせに。」


「そ、それはこれよ。今は関係ないわ。だいたいエインが、私の些細なアタックにきずかないのが、悪いの

 よ、いつもいつも...。」


マナのエイン絵の、愛とでも言える次々の言葉が聞こえてくる。ちょっと、怨念があるような気もするけど、それはスルーしてあげるのがいいだろう。


「フーラ、エイン探しに行こう。」


「ん。」


マナは放置。二人が言外に合意した。













 町はいつも以上に活気にあふれていた。


「なんだか、いつもより色々と安いね。」


横では、腕を組んでご満悦なフーラがいる。


「きっと、勇者が来ると言う、お祭り的なものにあやかろうとしているんだろうね。」


あちこちから、宣伝の声が響く中エインの姿は中々見つからない。


「勇者はどこから来るの?」


「北口から。その後はグルーッと町を一周するんだって。」


「もはやパレードか。」


「だね。」


 エインは大剣を使う。そして、勇者四人組の中に、名前は忘れたけれど、大剣を使う勇者がいたから、それを楽しみにしているんだろう。一撃でなんでも叩き切る姿は、僕の一刀両断とは似ていても、全く違う恐ろしさがある。


「とにかく、北口に行こう。」


「ん。」


僕たちは今南区にいるので、今来た道を逆に進めばすぐに、北区に着くはずだ。


「勇者はいつごろに到着予定か知ってる?」


「ええと。」


フーラは、僕の腕時計をのぞき込んでから言った。


「十時だったと思う。」


「なるほど、まだ時間はあるか。」


場所取りでたくさんの人がいるはずだから探すのは一苦労だな~。


 そうこうしているうちに、北区へと着いた。北区に入ったあたりから、人が増えてきた。


「うるさいなぁ。」


「仕方ないよ。お祭りみたいなものでしょ。」


「そうだけど...。」


僕は不満顔を隠さずエインを探す。あれ、そういえば、どうして、エインを探していたんだっけ?

ここまで騒がしい理由を聞きに来たからか。あれ、目的達成してる。まあいいか。


「ごめんフーラ。目的すでに達成してた。」


「あ、そうなの?じゃあ、どうするの?」


帰っちゃうの?と言外に聞いてくるあたりずるいと思いつつも、悲しい顔をさせたくないのは事実なので、せっかくここまで来たし、勇者を見ていくことになった。


 現在九時五十分。後十分なわけだけど。人は多いから、すごく窮屈だ。フーラから香ってくる、女子特有のにおいがとてもいい匂いと言うか、なんというか、幸せ。


「フーラは誰が一番気になっているの?」


「んと、ノリエ・ハヤシって言う人。霊気を自在に使いこなせるって強いよね。」


すこし、興奮気味に話すフーラ。


「霊気の使い方なら、今度、教えようか?」


「良いの!?」


「勿論。」


「ありがとう!」


フーラといろいろと会話するうちに、時間は刻々と過ぎていった。


腕時計の針は、10と、12を指している。


「わあ、本物だ!」


あの時と同じ勇者たちを見て、[猛吹雪]に手をかけてしまったがすぐに離した。


とにかく、トライアルからわざわざ来たということは、鬼人族を探しているに違いない。もしかすれば、もうすでに、僕の事がばれているかもしれない。僕は、念には念をと、隠密空間を展開した。


次回は未定です。十一月の初めごろに、また予定を活動報告にあげておきます。

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