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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
三章 氷精霊と魔法剣士
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二つの剣閃

遅れてすみません。それにしても、梅雨はいきなり雨が降り出すので、折り畳み傘が欠かせません。

あの後、僕はクラスメイトにもみくちゃにされた。

落ち着いてきてから事情を話し、ひと通り話し終えたら、、タイミングよくグラン先生が出てきた。

どこからか見ていたんだろう。


「そろそろいいか?...。じゃあ今日はトーナメントに向けた実践訓練のみだ。」


「「「「「はい!!」」」」」


クラス全員の声が重なる。


「よし、じゃあ第二実技室へ向かう。廊下に並んでくれ。」


その声を聴いて各自が出席番号順に並ぶ。並び終えると先生が歩き出し、全員がそれに続く。










「今回は4対4だは無く、2対2を中心とした授業だ。各自で実力が均等な相手と組んでくれ。」


僕は少し悩んだ後フーラの法に視線を移す。フーラも同じことを考えていたようで、目が合った。

僕はフーラに近づき声をかける。


「組まない?」


「...。うん。」


少し自信なさげにうなずくフーラ。


グラン先生はしばらく周囲を見渡していたが、クラス全員が二人組を組めたことを確認すると。


「じゃあ、全ての舞台を使って始めていくぞ、と言おうと思ったが、せっかくレイが帰ってきたからな、

 レイとフーラ、マナとエインでやるか。他はいいところを見て盗めよ。」


そういったグラン先生に難しいですよという声が上がる。僕はそれに実力の大きな差を感じた。


「別に全部とは言っていないし、恐らく組んでいる相手はトーナメントのチームの誰かとだろう?

 戦い方の参考にでもすればいい。」


話を打ち切ったグラン先生は僕たちを舞台へ上がるように促す。


「前とは違う組み合わせだけど楽しもうよ。」


「ああ。もとよりそのつもりだぜ!前よりどれだけ強くなったか見せてくれよ!レイ!」


「...。私がいること忘れないでよね。」


フーラは呟く。それにマナが反応した。


「エインはフーラの事を忘れているわけじゃないよ。レイと戦いたい。その気持ちが強いだけよ。」


「あー。そろそろいいか?」


「「あ、すみません。」」


僕とエインは完全に周りの事を忘れていた。


「じゃあ行くぞ?始めっ!」


その声と同時に僕はあいさつ代わりのいつものを使う。


「[疾風一閃]!」


キィィィン


レイの刀とエインの大剣がぶつかる。


「疾風一閃でこれかよ...。次はこっちから行くぞ![剛剣]!」


見るからにヤバそうな一撃だが避けるのは面白くない。


「結界[防壁]」


即座に展開された[防壁]にエインの大剣は易々と受け止められる。


「相変わらずかってぇなぁ!だけど![気力爆発]!」


考えたな、気力は防壁では完全には防げない。一枚切るか。


「結界[偽完全盾(デミイージス)]」


いつもの透明の結界とは違い、紫色のその結界ははっきりと見える。


「そんなもんぶっ壊してやるぜ!」


意気揚々と気力爆発を発動させるエイン。爆発した煙の中からは無傷のレイが立っている。


「っち!防ぐか...。」


「私を忘れるなんて言い度胸ね。爆発は返しておくわ。[ビッグボンバー]!」


突如エインの目の前に現れたフーラは魔法剣を発動させてエインを突く。


「そっちこそ、忘れているんじゃないの?」


爆発した後に立っていたのはエインとマナ。マナが魔力障壁で防いだようだ。


「まだ終わりじゃない。」


「だね。[刹那一閃]」


「きゃあ!」


魔力障壁は破壊され、破壊されたときの衝撃でマナは吹き飛ばされる。


「マナ!くそっ。[剛鉄剣]!」


気力によって剣の長さを5フラットほど伸ばして薙ぎ払うように大剣を振るう。


「一閃!」


「サイクロン」


僕はエインと大剣をはじき、フーラは吹き飛ばす。


「刹那いっ、っぐ。」


追い打ちをかけようとしたところにマナの火魔法が飛んできた。威力は小さいがかなり速い。


「速い相手には効果的ね。[トルネードシールド]!」


「ん。無理。」


奇襲を掛けようとしたフーラは竜巻に阻まれ失敗する。


「時間稼ぐからさっさととってきなさい!」


「サンキュー!」


そんなのを黙って見過ごすわけにはいかないな。


「[一刀両断]!」


竜巻は一瞬消えたがすぐにまた発生する。


「無駄よ!」


「いや、もう目的は達成した。」


「[ドライブスラッシュ]」


竜巻が消えた一瞬をフーラは通り抜けていて、無防備なエインに突く。


「ぐああ!」


爆発によりエインは舞台の端にまで吹き飛ばされる。が、その手には大剣が握られている。


「まだまだこっからだぜ![流星]!」


空中で無理やり方向転換し、フーラに反撃する。


「サイクっ!」


発動は間に合わず、今度はフーラが吹き飛ばされる。


「ナイスよエイン![ビッグバン]!!」


速くはないが、直径20フラほどの火の玉が飛んでくる。

あれは危険だ。防げる術が思いつかない。しかし、何もしないわけにはいかない。

[断熱結界]で防げるかは微妙なところで、恐らくあれは着弾後大爆発を引き起こすものだ。

熱を防げても爆発の衝撃をフーラをかばったうえで防ぐのはエインもいることを考えれば現実的でない。

なら、遠くで爆発させるか、それとも...。









『メディ!』


『はいはい。今度は何?』


『ちょっとこれの時間稼ぎを頼む。』


『どうして私の苦手な火属性ばかり任せるの?まあいいわ。私に任せなさい』


『ここで鬼人化を使うわけにはいかないから、人精一体で。』


『了解。さっさと詠唱しなさいよ!』


「ああ、頼んだ!メディ!」


念話を止め、詠唱に入る。


「エイン!レイが何かするから止めて!」


マナは動かない。あれの維持のためか?どちらにせよ好都合。


「おうよ!悪いが邪魔させてもらうぜ!」


「それは私が許可しないわ。[地吹雪]。」


どこからともなく現れた雪が巻き上げられ、エインはそれと共に吹き飛ばされる。


「なっ、精霊!?私もまだ契約できてないのに。」


「友よ、我は願う、契約に従い...。」


「やらせるかよ![流星]!]


大剣が光だし、不可思議な方向転換の後、僕へと向かってくる。


「だから、許可しないって言ったでしょう?[吹雪]」


今度は直接エインに荒々しい風と共に雪がエインに吹き付けるが、それでもエインは止まらない。


「我が相棒とも言える友と共に、目の前の...。」


「ふぅん。意外とやるのね。[猛吹雪]」


「っく、ぐああぁぁ。」


吹雪がさらに激しくなり、さすがのエインも吹き飛ばされる。

しかし、小さな、それでいてとてつもない魔力を秘めた火の玉は止まらずゆっくりと進み続ける。


「我が敵を倒すための、二つにして一つの力を願う。」


「[氷壁]」


氷の壁が火の玉を阻むが爆発はせず、何もないかのように溶かして進んでいく。


「巫術[人精一体]」


「相変わらず遅いわね。まあいいわ。あとでおごりで許してあげる。」


メディは僕を覆い包んだ氷の繭に入ってきて目を閉じる。












氷の繭が砕ける。そこに現れたレイの姿に周囲は驚く、決して分厚くはないが、

騎士のような氷の鎧は周囲を一瞬固まらせるぐらいのインパクトがあった。

周囲は固まっていても、火の玉と僕との距離は10フラを切った。


「[絶対零度]」


霧のようなものが火の玉へと向かう。

火の玉の熱振動を強制的にゼロへと向かわせる。


次第に火の玉は動きを止め凍り始める。すると爆発した。マナが制御を止めたんだろう。

どれだけ圧縮されたかがよくわかる。あの時の勇者が使っていた魔法弾のサイズまで、爆発した。

しかし、それさえも抑えて凍らせていく。


それを見てエインは近づけないようだ。


流石に初めて使った技なので、どれぐらい神気を使えばいいか分からなかったためか、

火の玉を凍らすことはできなかったが、結果的に、小爆発が起きただけになった。


「レイ、そんなに強くなったのかよ!?だが、負けるわけにはいかないんでな!」


懐へと飛び込んできたエインを迎撃する。


「僕一人じゃないのを忘れた?エイン。」


僕に注意し過ぎたのか、フーラの接近に気付かなかった。


「[ハイドロブラスト]!」


水流と小さな風がフーラの細剣を渦巻き、一瞬でエインを貫く。

エインは魔力、気力がともに底をついたのか、フィールド外に転送された。


「[刹那一閃]]


カキン!


かなりの魔力が込められたようで、はじかれた。


「[ブラスト]」


フーラもまたマナとの距離を一瞬で詰め、突きを繰り出す。

しかし、それもまたはじかれるが、反撃できないマナは二人の剣閃を前に魔力が底をつき、

障壁が消え、僕とフーラの攻撃をまともに食らい、気力も底をつきフィールド外へ。


「勝者、レイ&フーラ。」


















次回は来週...。に出せればいいんですが、無理そうなので、再来週には出します。

七月予定もその時に活動報告にあげます。

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