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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間後編 帰還への旅路
50/75

再開

遅れて申し訳ありません。

「ふわああぁぁ。」


目覚めたが、大きなあくびが出てしまった。

とても二度寝したい気分だったけど、時間は...。


腕時計の針は5時40分を指していた。

朝から修業をしていたので、この五年間は、5時ごろに起きることが多かった。


学校は8時から朝礼なので、教室の場所も分からないので、

早めに出よう。だいたい7時に学校に着くくらいかな?


「ご飯だけ食べようかな。」


おなかが減っていたので、そんな考えが出るが、先にランニングだ。

僕は着替えて、他の寝ている人を起こさないように、そっと外へと向かった。














「何持っていくべきかな?」


教材は、寮に置いてきているので、自分の部屋に行くとして、他は...。


考えた結果、マジックポーチには[猛吹雪]と、昼食を入れておくことにした。


寮にも教材やら取りに行かないといけない物があるので、予定より20分早い6時40分に宿を出た。


もうすぐフーラ達に再開できることを思うと、足取りが軽くなる。

グラン先生によると、かなり強くなったみたいで、あの時のように、もう一度エインと戦いたいな。

勿論、マナや、フーラもどれだけ強くなったか見てみたい。


朝の風はいつも心地よくて、足取りが軽い。体調も完璧だ。

僕は鼻歌を歌いながら、学校へとのんびり歩いた。


学校が見えてきた。腕時計を見ると、針は6時50分を指している。

とりあえず職員室に行くべきか、それとも、前いった部屋に行くべきか...。

とりあえず着いてから考えようと思ったけど、学校は50フラット程先で、もうすぐそこだ。

う~む。どうしよう。僕の足はどんどん学校へ近づいていく。僕が動かしている足だけど...。


やっぱり職員室の方が良さそうとなんとなく勘で決めた僕は、校舎に入り真っすぐ突き進んでいく。

職員室が見えてきたころに、ちょうどドアが開いた。出てきたのはグラン先生だった。


「おう、レイ!ゆっくり眠れたか?」


「はい。あの、先生。寮に教材などをすべて置いているので、取りに行きたいのですが、

 僕の部屋のカギはありますか?」


「それは無いが、マスターキーがあるから、今はそっちを使え。」


「ありがとうございます。」


「ただ、今日は特に使う物は無いから、先に学校長の所へ向かうぞ。」


「え?」


「手続きだ。お前は死人扱いされていて、お前に関する書類やらはすべて捨てられている。」


なんか悲しい。あんなところに落ちて5年近くも帰ってきてないから当然と言えば当然か。


「はい。分かりました。」


「編入試験はすでに終わっているからそれほど時間もかからないだろう。」


「編入するクラスは決まっているんですか?」


出来ればフーラ達がいるクラスがいいなぁ。


「前と同じクラスだ。」


「前、ですか?」


「知らないのか?ビュルンデル学校は基本的にクラス替えはしない。

 だから、お前のクラスは前と同じだ。5-4ってことだな。担任も俺だ。」


「初耳でした。」


「とにかく、さっさと手続きを終わらせておきたいから早く向かうぞ。」


「はい!」


グラン先生が少し嫌そうな顔をしていたのが気になったけど、

それは言ってみればわかると思って聞かないことにした。












「ここが校長室だ。」


特に飾り気もない部屋だった。僕の想像はもう少しなんか豪華なイメージがあったんだけど...。


「何ぼさっとしているんだ。入るぞ。」


そう言うと、ドアにノックした。


コン コン


「グランです。昨日の話でお伺いしたいのですが...。」


「どうぞ。」


帰ってきたのは短いけれど柔らかな声。


「(来い。)」


グラン先生は小さくそう言うとドアを開けた。


「いらっしゃい。小さな結界師さん。」


「!?」


僕はいきなり結界の事を言われて思わず後ずさった。


「あ、驚かすつもりはなかったのだけれど...。ゴメンね☆」


小さく舌を出しながら誤った学校長に少しイラっとしたが表には出さないようにこらえた。


「いえ、学校長も、僕の入学試験を見ているので納得しました。」


あのグラン先生の大技を難なく止めたのは他でもなく学校長だ。


「あなたの結界についてはポレットから、聞いたんだけどね。」


「お母さんを知っているのですか?」


「ええ。親友だもの当然よ。」


「えっと、どのように友達になったのですか?」


「確か..。私がこの学校の校長になって間もない頃なんだけど...。」


話をまとめていくと、野外訓練の生徒の派遣先を間違えたらしく、

本来生徒を派遣するにはそこは魔物が強すぎる所で、生徒が窮地に陥ったところを僕のお母さんが助けた。

と言った感じで、その生徒について行って学校にたどり着くとすぐに学校長を叱ったようだ。


お母さんらしいなぁ。僕は懐かしむ気持ちを少し抑えて、話を進めた。


「そんな訳でその頃から彼女はちょくちょく遊びに来ていたのよ。生徒へのいい教材になったわ。」


しれっとまた怒られそうなことを言っているけど、その頃と言えば、

お母さんが有名になったころだ。生徒のいい目標にもなりうるだろう。


「さて、話を戻しましょうか。とりあえず、手続きは貴方の魔力印を押してくれたら終わりよ。」


「え、それだけですか?」


なんだか面倒なことを予想していのに、どうしてだろう?


「グラン先生が済ませれる範囲は昨日やってくれたのよ。後で、お礼を言っておきなさい。」


それはとてもありがたい話だったし、なんだか申し訳ない気持ちもあった。


「はい!」


「さあ、ここに魔力印を押して。」


魔力印なんて久しぶりだなと思いながらも、指に魔力を込めて強く用紙の欄に押す。


「ありがとう。これで貴方もビュルンデル学校の生徒よ、残り少ないけれど楽しみなさい。」


「はい!ありがとうございました!」


「ではこれで失礼します。」


暇そうにしていたグラン先生が素早く出ようとする。


「あ、ちょっと待ってくれる?小さな結界師さん。」


「すみません。レイと呼んでもらっていいですか?」


「そうね、私自身も長いと思っていたし。」


「学校長、それで用とは?」


いきなり思い出しただけの用か、わざと話思い出したふりをしただけか。

学校長なら、後者だろう。普通は前者しかないけど、たまにする人がいるんだよなぁ。

情報収集の時はとても役に立つ。


「わざわざいうのもどうかと思うのだけれど...。フーラちゃんに会ってあげて。

 もちろん他の皆もだけど、あの子が一番悲しんでいたわ。」


「はい。もとよりそのつもりです。」


「ならよかった。じゃあ、よろしくね。」


「はい。失礼しました。」


僕はそう言って、スタスタとドアに歩いていき、素早く退出した。












*

「準備はいいか?」


少し心配そうに聞いてくるグラン先生。


「大丈夫です。」


僕は笑顔でそう返してよりアピールする。

僕は今5-4の教室前にいる。教室から色々と話が聞こえてくるが、

その内容はほとんど先生が来る時間がいつもより遅いとか、先生に何かあったのかもしれないとか、

どれも、グラン先生がらみの話だった。


「すぐに呼ぶからそこで待っとけ、どうせなら驚かせた方が楽しいからな。」


すがすがしい笑顔で言うグラン先生。分からなくもないけど...。


「はい。」


「おはよう!遅れてすまなかったな。」


生徒の声はどれも、何があったかを聞く声。少し緊張してきた。


「そうだな、それについてはお楽しみにしておこうか。」


先生性格悪!今も非常にいい笑顔を浮かべている。すぐ呼ぶんじゃないのか...。

生徒も不満そうな声が聞こえてくる。


「とりあえずあまり時間が無いから今日の連絡だけしておくぞ。」


グラン先生はスイッチを押したかのように淡々と今日の連絡を言っていく。

顔は真剣と言うよりは、説明しにくいけど、教師らしい?みたいな感じだ。


「さて、待たせたな。さっきの話だが、そこにある開いた席を見れば分かるが、

 転校生、いや、編入生か?それとも、帰還生ともいえるな。まあ、何がいいたいかはわかるよな?」


教室はざわざわしだす。男か女か、どんな奴か、どうしてこんな時期に来たのか等々だ。

後、先生はいつまでもったいぶらせるのだろう。


「よし、入ってこい。」


僕は普通に教室に入った。いつものように。そして、ぐるりと教室を、クラスメイトを。

エインは首をかしげている。マナはもしかしてと言った表情を。フーラは驚き目を見開いている。

他のクラスメイトも、二、三人は心当たりがあるような顔をしている。


「名前でも書いたら、思い出すかもな。」


そう意地悪な顔でチョークを僕に渡してくるグラン先生。


僕がチョークを手に取りゆっくりと名前を書いていく。

別にわざとじゃない、チョークは書きにくいからだ。


僕がチョークで名前を書いている間、誰かの嗚咽が聞こえてきた。

クラスメイトも全員黙っていた。それはとても短い時間だったけれど、

この教室にいる全員にはとても長い時間だったかもしれない。

さっきまで、意地悪な笑顔を浮かべていたグラン先生も、とても真剣な表情だ。


「さて、色々とあるだろうが仲良くしてやってくれ。一時間目は少し事情があるので遅れるが、

 静かにしていてくれよ、いつもは八時半からだが、八時40分から始める。」


僕が名前を書き終わるころ、そう言い残してグラン先生は教室から出ていった。

そして、僕は振り返った。


「お久しぶりです。短い間ですが、よろしくお願いします。」


僕は深々と頭を下げた。








固有名詞紹介 魔力印


その名の通り魔力の印。指紋を残す技術として利用される。

血の場合、まだ、完璧な判別ができないので、こちらが使用されている。

しかし、魔力を印として残すために魔物の木からできた紙を使用している。

そのため費用は高く、紙の費用が安く済む血での印も使われている。

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