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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間後編 帰還への旅路
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グラン先生

学校に着いた僕は人がいないな~と首を傾げた。


「あ、陽の日は休校日か。」


ふと思い出したことが声に出た。


この時期なら第五学年はトーナメントに向けての特訓やら、働くために、

その働く場所で必要なことを図書室に調べに来たり最後の試験に向けての自習する人がいるはず...。


「職員室に行くか。」


学校案内の地図を見て、そこまでの道順を覚える。


「えーと、一階の中央の一番奥だから...。このまま角まで真っすぐか。」


そういえば、東が男子寮、西が女子寮だったはず。じゃあ、ここは校舎か。

僕は二階に上がるための階段に目を向け、懐かしい記憶を引っ張り出す。


「フーラと初めて話したのもここだっけ。懐かしいな。」


あの時はちょっと挙動不審だったような。


トコ、トコ、トコ...。


足音が階段の上から聞こえてくる。

思わず、そのまま通り過ぎようとした足を停止させて振り返る。


「ん?今日は学校に来るなと言っ...。!?」


階段から降りてきたのはグラン先生だった。


「あ、いい天気ですね。グラン先生。」


僕はどう返事を返したらいいかわからず、たまたま視界に映った窓から差し込む光を見て、

変な返事、返事にすらなっていなかったが、そう言った。


「まさか、レ、レイなのか?」


「ええ、まあ、はい。」


少ししどろもどろになりながら返事をした。


「...。そうか、とりあえずついてこい。」


流石先生、と言うべきか、すぐに冷静になったみたいだ。

僕は言われたとおりに先生の後についていく。


えーと、ここはどこだ?


校舎の職員室を通り過ぎて、名前のない部屋に着いた。


「ここは生徒指導室だ。今は使っていないから倉庫になっている。」


「はぁ。」


怒られるのかな?と、僕は少し怯えながら元生徒指導室に入った。








「まあ、これでも飲んでリラックスでもしろ。」


そう言って渡された水の入ったコップを渡された。

品質は高そうだ。どうでもいいけど。


「はい、ありがとうございます。」


「...。」


「んっ、んっ、んっぷは~。」


のどが丁度乾いていたので、コップの中の水を一気飲みした。


「そろそろいいか?」


「あ、はい。大丈夫です。」


「まずはよく帰ってきてくれた!今夜はあいつらも集めてどっかおごってやる。」


あいつらは恐らくフーラ達だろう。


「だが、色々と聞きたいことがあるんだが、聞いても大丈夫か?」


「全然大丈夫です。」


別にトラウマにもなったわけではないし、得たものも多い。別に悪いことでもなかったし...。

ただ、フーラ、エイン、マナにはとても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「質問は大きなものは三つだ。」


「はい。」


「一つ目だ。レイ、お前はあそこから落ちたのに何故生きていた?」


あ~、それはどう説明したらいいんだろう。落下先が良かったとかかな?


「え~と、一応僕も対策はしましたけど、落ちた所が底に流れている川らしくて、

 具体的には落ちた場所は分からないですけど、僕はその終着点にいたと言っていました。」


「だれがだ?」


「僕の命の恩人のガロです。ずっと前からそこで住んでいるとか。

 もしガロに見つけてもらえなかったら、僕はきっと谷底にいる魔物に殺されていたはずです。」


「なるほど。」


「二つ目だ。そこからどうやって帰ってきた?」


「それは、転送陣があって、それを使いました。一方通行なので入ることは無理ですよ。

 といっても、僕も二、三週間ほどで帰ってきたので詳しくは知りませんが。」


「転送陣か、あんなところにか。だが、魔王を封印していたと言われるからな...。」


「その転送陣もそこへ行くためには守護者を倒さないといけません。」


「ふむ、昔の書物を探れば出てくるかな...。」


「二つ目の答えはそんな感じです。」


「分かった。三つ目だ。そこから、残りの五年弱は何をしていた?」


ピーナの事って言っていいのかな?いや、言わないべきか。


「僕が脱出した時はオレングスの近くに転移したんですが、

 天と地の峡谷が封鎖されていたので少し旅をしていたのですが、

 そこで、あった人に修業をつけてもらっていたらこうなりました。」


最後がとても不自然だけど、最近の事は何も知らないのでどうしようもない。情報収集しとけばよかった。


「修行、か。二年前に封鎖は解除されたのにか?」


「はい。不思議な別空間みたいなところでしていたので、時間の事はさっぱり感覚が無くて...。」


誤魔化せたかな?


「なるほどな。どれほど強くなったんだ?」


「そうですね、グラン先生には勝てると思います。」


「お、強気だな。でも、それじゃああいつらと同じだぞ、この俺に勝っているからな。」


「ああ、その話は聞きました。最近はストームドラゴンを倒したとか。」


「なんだ、知ってるのか。まあいい。せっかくだから見せてくれよお前の修業の成果とやらを。」


「分かりました。」


「じゃあ、実技室に行くか。ついてこい。」








「さあ、どっからでもかかってこい!」


「分かりました!」


先生は木剣を、僕は木刀を構えている。


「後悔しても遅いですよ。」


「いまさら、後悔もくそも無い!つべこべ言わず来い!」


「では、お言葉に甘えて。」


先生から見れば僕がその言葉を言い終わった瞬間にいきなり吹き飛ばされたようになっているはず。


「がはっ。」


思い切り壁にぶつかった先生はうめき声をだして地面に倒れ込んだ。


「...。」


僕は先生の近くに駆け寄って一閃ではなく、峰内だったはずなんだけど...。


「つ、強くなったな...。うっ。」


「先生ー!」


「冗談だ。」


「と、思ってました。」


「ち、ばれてたか。それはさておき、強くなったなレイ。まさかここまで手加減されるとは...。」


思ったより強くなってたんだな~、って改めてわかった。そんな気がする。


「いや、僕もここまでとは思いませんでした。」


「おい、それ。どういう意味だ!」


「あ、いえ。先生が思ったより弱いって事じゃなくて、ここまで強くなったんだっていう驚きです。」


「お、おう。なんか複雑な気持ちだ。とりあえず、試験受けてもらうぞ。」


「え!?どうしてですか?」


せっかく帰ってきたと思えば、まさか試験なんて。


「お前を卒業生トーナメントに参加させるためには、編入試験を受けてもらわないとな。」


なるほど、それなら仕方ないか。でも、第五学年の編入試験って難しいだろうしな~。


「とりあえず、俺に勝ったんだから、実技は満点だ。」


「問題は知識か...。」


「まあ、実技が満点なら何とかなるから安心しろ。」


「はい。」


「じゃあ、さっきの部屋に戻るぞ。」










「準備は大丈夫か?」


「はい!」


「じゃあ、始めてくれ。砂が全部落ちたら終わりだ。」


先生はそう言って砂時計をひっくり返した。


「(えーと。計算か。ここは大丈夫だな。)」


ざっと見ると、百点満点で、だいたい50問あったので、一問2点か。

計算は四則が混ざった計算だった。多くても三桁の計算なので余裕だ。

特に問題は無いのでサラサラと解いていく。


「(えーと、次の文を訳しなさい。か。

 ん?これ...。創世の話か、ピーナから聞いた話を参考にして書くか。)」


訳せる自信が無かったので、訳せるところは訳して、他は見たことはあるので、

うろ覚えの訳を書く。


「(金と銀、時間と空間を司る半神精霊を生み出して...。)」


小声で、ぶつぶつと呟きながら解答用紙に答えを記入する。


「(よし!書けた!)」


小さくガッツポーズをして次の問題へと移る。


「(えーと、空間と時間を操る精霊を○○と言い、

  火、水、木、風、土、光、闇を操る精霊を○○と言い、

  自然現象を操る精霊を○○と言う。か、簡単だな。)」


順に、半神精霊、属性精霊、自然精霊と書く。


「(次。何故、天と地の峡谷を境にして、大きく文化が分かれているか。

  う~ん。なんだっけな~。)」


ピーナが言っていた気がするな。

確か..。あそこに峡谷ができた理由が戦争のはずだから...。


その峡谷があった場所を境に国が分かれていて、

戦争で峡谷が出来て、それによって二つに分かれたから。


こんな感じだったはず。間違っていたら仕方がない。


僕は、そんな感じで問題を解いていった。自己採点では八割ちょっとはあっている。

残りの二割程度は書けはしたが、自身は無いやつだ。


あらかた見直しも終わったころ、砂時計を見ると丁度すべて落ちた所だった。


「終了!」


「はあ~。疲れた~。」


「試験の結果は明日だ。今夜祝いたかったが、明日になりそうだな。明日はこの部屋に来てくれ。」


「分かりました。宿を探すので今日は帰ります。」


「おう!また明日な~!」


先生に見送られ、僕は学校を出た。

 

合格はしてるだろうし、今日はゆっくり寝よう。


僕は、疲れた体を休めるため、宿へと足を速めていった。

  












一応予定道理ですが、投稿できないかもなので、ご了承ください。

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