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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
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番外編 結界使いの甘いお返し

ホワイトデー編です。


「いや~昨日は幸せだったな~。」


本当は僕がわたす予定だったのにな~。


部屋の中に二人への贈り物を用意していたがなんかチョコを食べ終わったら、

そのあと夜ご飯が出てきて、食べ終わってからお風呂に入ったら、

もうみんな寝ようみたいなムードだったから、とてもじゃないけど渡せなかった。


「渡す時間だけください!」


とピーナに頼み込んで昨日ほどじゃないが早めに切り上げてくれると言ってくれた。


「私も面白いもの見れたからね。」


と機嫌よさそうにしていたからかもしれない。面白いものとは昨日の事なんだろうか。


僕が用意したのはピルルをクッキーの食感を消さない程度に混ぜたクッキー。これはケリー用。

メディ用は、きっと寝るのは好きなのはわかるけど、枕をプレゼントしても仕方がないので、

ピーナの提案で手編みのマフラーを作った。いまさらだが、マフラーをつけてどうするんだと思って、

一応別のものも用意している。











今日もピーナにボコボコにされた。

いつもの事なので重い体を動かしながら自分の寝室へと向かう。

寝室と言っても、ただの部屋だ。宿屋みたいな感じ。


ラッピングされたプレゼントを小さめな隠密空間で隠しながら食卓へと向かう。


「レイーもうご飯出来てるわよー。」


メディの声が聞こえる。


「今行く。」


短く返し、近くにプレゼントを置いてから椅子に腰かける。


「今日はシチューよ。お代わりもあるわ。」


ピーナがシチューの入った皿とパンを乗せる用の平たい皿を並べていく。

僕はその間にパンが入ったかごをテーブルの真ん中に置く。


「「「「いただきます。」」」」












「ご馳走様~おなか一杯。」


「何を言ってるんですか~。まだまだこれからですよ~。」


ケリーの胃袋の容量と一緒にしないでくれ。

お代わり10杯目でまだまだとか食べたものどこ行ったんだ。


「ちょっとトイレ行ってくる。」


しれっと嘘をついてプレゼントを取りに行く。

怪しまれないように少し間を開けて帰ってきた。


「腹八分目って言いますからね~。」


そういいながら満足そうにしているケリーを横目に自分の椅子に座る。


「二人にプレゼントがあるんだ。」


「え?」


メディが間の抜けた声を出す。

対照的にケリーは目を輝かして、お菓子ですか!と言っている。


「大当たりのケリーにはこれをあげよう。」


僕はピルル入りのクッキーの入った袋をケリーに渡す。


「食べていいですか~?」


「勿論。感想を聞かせて。」


「あむ...。」


ケリーが無言でクッキーを食べ進めるのを僕らは見守る。

メディは少しそわそわしているみたいだが、半分お預け状態なので仕方ない。


ケリーは破竹の勢いでクッキーを食べ進めるが最後の一つになったところで急に手を止めた。


「明日か、今か...。ん~どうしましょう~。」


「欲しいなら今ほどの量は作れないけど、今度、少しだけなら作ってあげるよ。」


「じゃあ、今ください~。」


「ゴメン。今は材料がないしおなかいっぱいだから無理。」


「む~。ケチです~。」


「味はどうだった?」


「甘くて、美味しいです。甘すぎないからいくらでも食べれそうです~。」


ケリーが言うと本当にいくらでも食べれそうなのでやめてほしいかな。


「やっぱり食べちゃいましょう~。」


そういって最後の一つを食べてしまった。


「私は満足なので先に寝ますね~。」


「先に歯を磨きなさい。」


「あ、そうでした~。」


とてとてと足音を立てながら洗面所へとかけていった。


「お待たせメディ。はい。」


「あ、ありがとう。開けてもいい?」


「うん。」


マフラーは止めて、もう片方を入れてみたけど、吉と出るか凶と出るか...。


「わあ!可愛い!」


箱の中に入っていたのはメディのワンピースと同じ水色の羽飾りがついたカチューシャ。


「どう?似合ってる?」


「うん。とっても。」


無邪気に笑いながら問いかけてくるメディにドキドキしながら答える。

きっと表情には出ていないはず。


ピーナがにやにやしているのがすごく気になるけど今は気にしないでおこう。


「せっかくだしこっちも開けてみて。」


僕は渡さないつもりだったマフラーの入った箱をメディに渡す。


「これは?」


「開けてみてからのお楽しみ。」


「....。開いた!...。マフラー?」


「やっぱり気に入らなかった?」


「いいえ。とっても嬉しい!でも、これどう巻くの?」


ああ、そうだった。マフラーは知ってるけどつけたことは無いんだっけ。


「ちょっとじっとしててね。.....。はいできた。」


合図代わりに頭をポンと軽くなでるようにして巻けたことを教える。

メディの頬が赤くなった気がしたけどマフラーがほとんど顔を隠して目元しか見えないので、

本当はどうか分からない。


「あ、ありがと。」


「どういたしまして。」


時計を見るともう10時だった。


「あ!寝ないと。おやすみ!」


「ええ。おやすみ。」


メディが喜んでくれて内心ほっとしながら日記を書いて寝た。


運命の月 第二の陽の日


マフラーでメディが喜んでくれるかどうか不安だったけど、

念のため用意したカチューシャもマフラーも喜んでくれたみたいでよかった。

明日からはまた頑張ろう。

ただ、ピーナがにやにやしていたのは問い詰めに行こう。

速く寝ないといけないしここまで。









「もう寝たかな...。」


私はレイからもらったマフラーを外して視界を確保する。

レイが寝たことを確認してマフラーを巻き直して部屋に入る。

机の上にあったメモ帳を開き、羽ペンを手に取る。


ありがとう


そう一言書き込み、メモ帳を閉じて羽ペンを直して、そっと部屋を後にした。












次回は再来週の日曜日です。四月から予定もまた書きます。

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