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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
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変色する水晶の謎

二月の予定はもう少しお待ちください。

「メディ!」


クリスタルタートルの突進に氷壁ごと潰されたのだったら一大事だ。


『ゴメン。ちょっと撤退する。』


メディからの声。

少なくとも一大事にはならなかったが、メディは自分の領域へと撤退。

精霊は転移が可能だが、飛べるのは自分の契約主、又は自分の領域のみ。


致命傷を負った場合は自分の領域へと帰る。

その方がより回復するからだ。


「ここは逃げるべきかな?」


鬼人化すれば何とかならなくもないが、時間内に倒せるかは微妙だ。

恐らく魔法なら効くのだろう。精霊魔法と言うのは”現象“を引き起こすもの。

人間などが使うのは魔法。理を捻じ曲げるものと聞いた事がある。

だから魔法は固い敵にも有効と言うわけだが、ただの”現象”を引き起こす精霊魔法では

それがどんな魔法にもよるが、通りにくい場合もある。

特に僕らは氷を凝縮して飛ばす攻撃が基本。だから純粋に堅いクリスタルタートルに効かない。


「足は遅いだろうから、逃げるが勝ちかな。」


問題はやみくもに逃げると帰れないということだ。

ただでさえ水晶だらけなのに、こんなところで迷えば帰れない。


「眼だけ潰しとくか....。」


目を封じれば何とかなるはず、あわよく倒したい。


ただ、それを待ってくれる訳なんてない。

クリスタルタートルは大きな声で鳴く。すると周りの水晶がいくつか浮き、僕に飛んできた。


「そんな攻撃が、結界[防壁]」


バリン バリン


バリン バリン


水晶が割れる音が洞窟にこだまする。

水晶の雨が終わると、今度はクリスタルタートルが突っ込んできた。


「いまだ!」


突進しようとしている今なら簡単には止まれない。

多少の怪我は戦いにはつきものだ。クリスタルタートルの眼に突きを繰り出す。


向こうの此方の狙いに気が付いたようだが、それでも威力を緩めず突っ込んでくる。

ここでつぶしにかかったのだろう。


グシャ


血しぶきが舞う。









その血の源はクリスタルタートル。眼からはどんどん血が滝のように流れ落ちる。


しかし、レイの姿は見えない。なぜならクリスタルタートルの突進が決まったからだ。


「グオオオオオォォォ!」


まるでそれは勝利の雄たけびだ。クリスタルタートルもそう思って吠えたはず。


しかし、疑問が生まれる。手ごたえはあったのになぜ姿も血すらも見えないのだろう。


だが、その疑問はすぐに消えた。基本的にクリスタルタートルはその身の硬さゆえに

殺されることも、身に危険を感じることがそこまでなかった。


だから、何も考えなかった。もし、片目がやられていなければ気付けたかもしれない。


そしてもう片方の眼に激痛が走った。そこには先ほど殺したはずのレイが立っていた。

傷だらけではあったが、どこにいたのか。その疑問がクリスタルタートルの頭を埋め尽くす。

レイの姿は血だらけで何故さっき気づけなかったのかが分からないクリスタルタートル。

その疑問と共にクリスタルタートルに永遠の闇が訪れた。











「危なかった....。」


クリスタルタートルの両目を完全に破壊し、頭部分の水晶の装甲を引きはがし頭を切断。

返り血を浴びるが気にしていられない。とてつもない疲労感が僕を襲う。


お互いがぶつかった瞬間。僕は思い切り吹き飛ばされた。思い切り壁にぶちあった。

クリスタルタートルの水晶の装甲の部分による怪我や壁に思いきりぶち当たりそれによって負った打撲。


とてつもなく痛かったけど、すぐに擬態空間を発動させて、血の跡や僕の姿を誤魔化した。

片目しかなかったクリスタルタートルは違和感を感じ取ることができず、

僕を倒したと思い油断した。危険な賭けだったが、最悪とにかく逃げるつもりだったので

結果的には全然よかった。


「とりあえず安全な場所へ....。」


と言っても、どこに行けばいいか分からない。

とにかく奥へと行ってみるべきか、入口へと戻るべきか。


「せっかくだし奥に行こう。」


もしまたクリスタルタートルに遭ったら擬態空間で逃げよう。










あれから、どのくらい歩いたのかな?

目印(氷柱を刺した)を置きながら進んでいると開けた場所に出た。


「お、景色が変わった。」


今までひたすら水晶が並んでいたので、少し何か違ったものが見たいと思っていたころだったから、

これは丁度いいや。


「この水晶、でかいな。」


僕が見つけたのは今まで見てきたのよりひときわ大きな水晶。

高さは10フラット程、この水晶ならいい武器が出来そうだな。


キン


僕がその水晶に触れた瞬間、水晶が水色から青色に変わった。


「えっ。気のせいかな....。」


キン


もう一度触れると今度は青色から黄色に。


「触ると色が変わる?」


不可思議な現象に首をかしげながら、他にもあるか辺りを見渡すと、

これと同じと言うほどではないが8フラット程の大きさで、色は水色の水晶が二つもあった。

合計で3つ、もしかしたらと思っ見つけた二つの水晶を触ったら、どちらも変色した。


「少し調べてみよう。」


まず変色の順番があるかどうか、水色、青色、黄色これがさっきまでの順番。

さらに触れると今度は橙色、桃色、紫色、赤色、銀色、金色。そして、水色。と繰り返した。

他の巨大水晶もこの順番だった。


次はすべてそろえると何か起きるかどうか、

でもこれは成果なしに終わった。


後は、周りの壁に怪しいものが無いかどうか、壁に伝って歩いていると変にへっこんだ壁があった。

その横には、見たことのある文字が。確か言語の時間に習った....。古代文字だ! 

正直なかなか覚えられなかったからうろ覚えだけど読んでみた。


   ”この世界 作りし神 自ら 二つ 分ける 精霊 体制 作り上げた 

    水晶 空間 精霊 時間 精霊 二人 子 色 双子水晶 変色

    創造神 色 王水晶 変色 道 開かれる 試練 #$%&“


こんな感じかな。最初の一行はおとぎ話にもあるこの世界の始まりだ。

あるところに創造神が現れ、世界を作った。でも、自分の力だけでは管理できないと気づき、

自らを二つに分け、一つは、時間を管理する精霊と空間を管理する精霊を作り、

わざと残していた力で様々な現象を引き起こす精霊を作り上げた。


と言うお話だ。最初の一行はこれの事で、二行目は水晶を何色かに変色させろ、

って感じだと思う。その色が空間精霊の子の色と時間精霊の子の色。

もしそうなら、最後の王水晶、これはひときわ大きい10フラット水晶だと思うから、

残りの二つをケリーが銀色だから恐らく時間精霊は金色にしておく。


問題は王水晶だけど、創造神の色って何だろう。

試練と書かれた次の読めない部分も気になるけど、今の課題はこれ。

課題と言えばクリスタルタートルのような硬い敵への対策だけど....。

話がそれた。とりあえず適当に変色させてみるか、


キン キン キン キン 


グゴゴゴゴゴゴ


「地面が揺れ、わーーーーー!!!」


地響きがしたと思えば水晶が立っている場所以外の地面が突如無くなった。


「またこれか、落ちてばっかだな。結界[完全防壁]」


前と同じように完全防壁を展開しておくけど、底が魔物だらけだったら意味ないんだよな....。


「えっと、中心反重力空間!」


正直気持ち楽にできるようにと展開したけど、これ、擬態空間の方がよかったかな?


そして二度目の落下は特に焦ることも無く準備をして目を閉じるレイであった。










空間を忘れてはいませんよね?

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