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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
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舞い散る桜と氷の花びら

とりあえず勇者祭は終わりかな?

《おおっと!!!ここで、勇者の一角ユウナ・マルイが脱落ゥゥゥ!》


《だけど、挑戦者側はあと一人。厳しい戦いだね。でも、流れは変わっている.....。》


《さあ!面白くなってきましたァァ!この3対1という不利な状況下で、

 最後の挑戦者であるレイはどう立ち回るのでしょうか!》












「丸井がやられた!?」


「敵は取るからね優那ちゃん。」


「まだこっちが有利だ。相手は一人なんだ押し切るぞ!精霊召喚[フェーノラース]」


その声が描いた赤色の魔法陣は赤髪の精霊を呼び出した。


『レイ。フェーノラースは火属性の最上級精霊よ。ただ、一人しか呼ばないということは

 おそらくそれ以上は呼べない。召喚させるのは一人だけみたいね。』


それはいいことを聞いた。でも相性は悪い。


『大丈夫よ。私とレイが組めばどんな奴だって凍えさせれるわ。』


「じゃあ、吹雪でも起こしますか~。」


ゴオオオオォォ


コロシアムに吹雪が吹き荒れる。メディもさっきと同じように氷柱を乱射している。

そのせいで勇者たち三人は動くことはできず、なんだっけ...。

フェー...フェーノなんちゃらが周囲を火の海に変えている。


「明かりでよく見えるな~。」


「耐えれるかな?居合[猛吹雪一閃]」


竜すら断ち切るその斬撃は周りをさらに吹雪かせながらフェーノなんちゃらへと向かう。


危機感を感じたようでかなり大きく動いて避けた。


『レイ。あれいくよ。』


『了解。』


『「氷柱の雨・乱舞」』


メディはまた氷柱を乱射し、僕はこの舞台ごと覆う反射魔結界を展開。

ケリーと契約したことによるものも大きいけど、日々の練習の賜物でもある。

少し脆いが、はるかに大きい。ちなみにこれは箱型だ。


氷柱は四方八方に散り、結界に当たっては跳ね返り勇者たちの動きを制限する。

僕自身も反射魔結界を展開しているので、さらに氷柱は舞い踊る。

舞い踊る氷柱の折に閉じ込められた勇者たちに攻撃するために斬りかかる。


「居合[桜ノ舞]」


「させない!」


割り込んできたフェーノなんちゃらが炎の剣で僕を阻む。


しかし、舞い散る桜に気を取られていては舞い踊る氷柱の餌食となる。


「くっ。」


ただ、火属性の最上級精霊なだけあって一発一発はあまり聞いていないみたいだけど、

塵も積もれば山となる、だ。さすがにこれ以上氷柱に当たるのは危険だと悟り後退する。


「逃がさないよ。[桜ノ舞・鬼]」


抜刀しながらの方が威力は高いが、今は攻めるときだ。


「しつこいわね。燃えなさい!」


炎弾を5つほど飛ばしてくるが、精霊魔法であっても魔法である限り、

僕の反射魔結界は反射する。


「そっちが燃えて。」


効果はないが、目くらましにはなる。一気に迫り五連撃を当てる。


切り刻まれ致命傷を負ったフェーノなんちゃらはよろよろとカイトの所へ向かう。


「ゴメン、カイト、撤退するわ。」


「ああ、お疲れ様。」


「のんきに労いの言葉をかける余裕があるんですね勇者さん。」


勿論そんな絶好のチャンスを逃す手はない。標的はユウキだ。残しておくと厄介だ。


「居合[刹那一閃・鬼]」


鬼技の特徴である赤い軌跡はユウキを丁度上半身と下半身を別れるように通っていく。

その軌跡の先には刀を収めてレイが。


チン


刀を収める音と共にユウキは舞台から除外。


「な、」


その一語目でノリエの言葉が止まる。隊列が乱れた時こそ、相手に隙を見せてはならない。


さっきまでユウキの後ろにいた僕は、次なる獲物に[刹那一閃]で切り裂いた。

もうすでにノリエは除外されている。


「最後っと、あれ。」


刀が標的を切り裂いた感覚はおかしかった。なぜなら、フェーノなんちゃらが身代わりになったからだ。


「フェーノラース!!」


「心配しないで。死ぬことは無いから。」


しかし、すぐにその姿を消した。自分の領域へと帰っていったのだろう。


「あと一人。」


その冷酷で残酷な一言はコンドーを怒らせたようで。


「許さないぞ!ブレイクブラスト!!」


巨大なそれぞれ五属性の魔法球を飛ばしてくる。


こんなただの大きいだけど圧縮すら行われていない者なんて、正直今の僕にはつまらない。結界を展開するまでもない。


切り捨てるだけだ。しかし、思ったよりも逆上しているらしく、魔法球は乱射はなかなか終わらない。









やっと魔法球の乱射は終わりを見せた。五分ほど打たれ続けられた。

化け物かよ。恐ろしいほど魔力を持っている。恐らく魔力の練り上げなんてしてないだろうから、

圧縮の工程なんてわからないだろう。しかし、元から恐ろしいほど魔力を持っていたから必要ない。

なんて、考えていそうだが、魔力の練り上げを行うことにより、

初めて精密な魔力操作を覚えるのに、コンドーはそれを怠った。

この戦いの勇者たちの敗因はそれぐらいだ。他は、未熟ではあったが、

若干振り回されつつもそれぞれの力を使いこなしていた。


「はあぁぁ。それだけ?だとしたら期待外れだな。」


正直こいつとなら鬼人化すれば1対1でも余裕で勝てる。他も余裕ではないが勝てはする。

コンドーは何の工夫もせず、見え見えの攻撃ばかりを繰り出す。

つまりごり押しと言うやつだ。


「なっ!」


「もう終わらせてもいい?」


「まだだ!敵は取る!フレイムダンス!」


レイの目の前にいきなり現れた炎はそれぞれ分裂してレイに襲い掛かる。


「結界[魔結界]」


「ねえ、それだけ?」


「こいつっ。テンペスト!」


精霊魔法らしい大嵐が来るけど、魔結界を少し強化するだけ。


「敵を取るなんて言ってるけど、別に誰も死んではいないのに、どうして起こってるの?」


「それは.....。」


「これはあくまでお祭り、個人の感情は知らないよ。そんなものを戦いに持ち込まないで。」


楽に勝てるとでも思っていたのだろうか?それも与えられたばかりの力で楽々と。


今までの勇者祭を見れば、召喚から最低2カ月後に開かれているのに、

今回は4人だからと国側、もしくは勇者側が調子に乗ったのかな?


「そんなものって....。」


「ん?」


「言うなアアアァ!」


コンドーの周りに激しく炎が燃え盛る。


「インフェルノモード!」


まるで僕の氷の鎧と対になる炎の鎧をまとったコンドー。手に持っていた剣も燃え盛る剣に。


「はああぁ!」


キン  キン


キン  キン


キン  キン  


お互いに刃を交える。そしてつばぜり合いになるがコンドーの剣の熱気がつらかったので下がった。


「逃がすか!」


また刀と剣の交える音がコロシアム内に響きだす。


「居合[一閃]」


不意に放ったその一撃はコンドーの態勢を大きく崩した。


「[吹雪の舞]」


その一振りは見事直撃。態勢を整えようとするコンドーに釘を打ち込むかのように五連撃の不可視の追撃。


「がはっ。」


物理的なその追い打ちはコンドーに血を吐かせた。


「く、フレイムテンペスト!!」


苦しまげれに放った三属性の精霊魔法。これは少しきついがそろそろ準備ができる。


『メディ。お願い。』


『待ちくたびれたわよ。永久凍土!』


炎の大嵐はなすすべなく凍り付き、舞台はすべて凍り付き、コンドー足も凍り付く。


「動けないっ!?」


「今度こそ終わりだよ勇者さん。[桜ノ舞・鬼]」


赤い軌跡を描く舞は、コンドーを切り刻み、舞台から退場させた。



《な、なんと!勇者祭初めての挑戦者の勝利だぁぁぁ!!!》










今月の埋め合わせ投稿は厳しそうです。来週の日曜日も投稿はちゃんとするのでご安心を。

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