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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
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氷花繚乱

短めです。

『あとはアンタだけしか残ってないわよ。』


それは死刑宣告のような一言。


僕が今のメテオを受け止めた時の爆発で周りが見えていなかった間に周りは全滅。

この状態で勇者と戦う、しかも四人。


「いやー、どうしようかなぁ。」


そんなふと漏れた呟き。


『まあ、難しく考えなくていいわよ。今回は力試し、負けたっていいわよ。』


『そうですよ~。でも~レイさんが勝利を求めるなら~合一化より~、一体化の方がいいですよ~。』


『一体化?』


合一化と何が違うのかな?同じように聞こえるけど。


「魔衝乱波!」


遠くでそう聞こえた。話をしている場合ではなさそうだ。


「結界[魔結界]」


魔衝と言っていたので魔力による衝撃波だろう。


『私が時間を稼ぐので~、さっさとメディと一体化しておいてくださいね~。』


その瞬間。僕を覆っていた氷の鎧が砕け散った。

精霊合一化が解けた、と言うよりは解除させられたの方が正しい。


「近づかれると困るので邪魔しますね~。」


合一化が解除されたことで実体化したケリーは笑顔で何かを発動させた。


僕は対象ではないので何が起きているかは分からないが、僕も結界、空間を使う身。

なんとなくだが、これはお母さんが使っていた拒絶結界に似ている。


効果は結界内にいるものに対して結界外へと押し出すものと、

結界内からの攻撃も結界外からの攻撃も通さない。つまり神気を使わない結界に似ているが、

神気も防御性能を上げることに使うことで、一時的な砦のようなものを作り上げるもの。


しかしこれは僕を押し出そうとはしないが、近くにいたユウキは跳ね飛ばされるほどの勢いで

この不思議な空間の外へと飛ばされた。ユウキ以外は空間外にいたので何も起きなかったため、

ユウキを変なものを見る目で見ている。


ユウキは今起きたことを必死に説明しているが、どうやら半信半疑らしく、首をかしげている三人。


ノリエが空間へと近づきまるで見えない壁に止められているような動きになる。

本人は真剣に歩いているのに、周りから見れば歩いているフリのように見えるので、面白い。

少しクスッときてしまった。


「フレイムストライク!」


高速で真っすぐに僕を狙う炎弾は空間に阻まれ飛散した。

恐ろしい強度だ。あの威力なら一瞬で飛散するなんて僕の魔結界では無理だ。


「早くやるわよ。レイ。」


声をかけてきたのはメディ。そうだった、早くやらないと。


「でも、どうやるの?」


「知らない。」


「え!?知らないの?」


「詠唱が分からないの。え~と、なんていえばいいのかしら、この契約法でしかできないやつ?」


「ああ~。思い出したよ。たぶんあれだと思う。」


ただ、教えてもらったのがメディと契約してからその後にお母さんに教えてもらったので、

かなり昔なので、巫術名が思い出せない。でも、巫術は思いや祈りを力に変える術。

なんとなくでいいからやれば行けるだろう。


「早くしてください~。そろそろ限界です~!」


ケリーにしては珍しい焦った声。勇者の方を見ると、

空間の一部分に集中攻撃している。急がないと破られちゃうな~。


「友よ、我は願う、契約に従い.......。」


ヤバい忘れた。いまは詠唱中だからしゃべれない。

これもなんとなくでいいかな。


「我が相棒ともいえる友と共に、目の前の、我が敵を倒すための、二つにして一つの力を願う。」


「巫術[人精一体]」


視界が眩い光に覆われ、思わず目を閉じる。体が冷たく感じるが、すぐにそれを感じなくなり

寒さも暑さも感じなくなる。すると、眩い光が何かにさえぎられる。


しかし、いきなり暗くなったので何にさえぎられたかは分からない。

分かるのは何かに包まれていること。でも、なぜかわかる気がした。

それが何故かさえも分からない。矛盾している。そしてこれは自分の体の一部のようだった。


もしこの謎の感覚は恐らく氷なのだろう。今なら意のままに氷を操れそうだった。

そして、その感覚があるものに覆われている。つまり、僕は氷の繭みたいなものの中にいるのだろう。


ピキッ


ひびが入った音が聞こえた。もうすぐこの氷の繭は割れるみたいだ。


ピキピキッ


ピキピキピキ


ひびが走る音。


バキッ


遂にどこかが割れた。それについていくかのようにほかの所も次々に割れていく。

もうすぐ始まる勇者たちとの第二ラウンドに備えて軽く目を閉じた。










目を開ける。


最初に目に入ったのは勇者たちがこちらを見てポカンと口を開けている姿。


「できましたね~。どんな感じですか~?」


時間稼ぎのために空間を展開していたケリーがこちらに来て祝いの言葉と調子を尋ねに来た。


「う~ん。ちょっとよく分からないかな。変な感覚があるんだ。それが全部氷から感じる。」


『やっとできたみたいね。っとのんきに会話している時間はなさそうね。』


そうだった。ケリーが戻ってきたということは空間の維持をやめたのだろう。


「もう私はかなりきついので~戻りますね~。」


「うん。ありがとう。お疲れ様。」


そんなちょっとした会話の隙に気付けば隕石と光線、それに今度は気力の衝撃波かな、が飛んできた。


「ま、無駄だけど。」


隕石には氷の隕石をぶつけて相殺。光線は氷の盾を何重にも重ねて展開、一枚も貫かなかったけど。

衝撃波なんて切り捨てた。


「氷柱の吹雪」


突如吹き荒れる吹雪、そこに混じる氷柱はまるで暗殺者のように吹雪に潜み獲物をしとめに行く。


「みんな!こっちだ!エレメンタルシールド!」


精霊魔法は名前を口にするだけで強力な魔法が使えるのが強みだが、守りに入ってしまえば、

同じ精霊同士ならそれは仇となる。格が違っていても、メディとなら余裕だ。


『あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。私も手伝いしてあげるわ。』


『氷柱の雨』


これはケリーがいなくても使えるがかなり制度が下がり狙いが曖昧になる。が、これは動きを封じるため。

これだけでも全然十分だ。


「神刀・[氷花繚乱]」


さて、二度目の花畑を咲かせよう。ただし、氷の花畑だ。


「居合[刹那一閃]」


その一閃は精霊の盾を破る。そしてまき散らされる種。


「開花。」


氷の花が開花し、すぐに花びらをあちこちに飛ばしながら飛散する氷の花。

今度はゆらゆらとは揺れず、誰彼構わず息を止めに来る氷の花びら。


ユウナ以外は自分で防いだが、ユウナは氷の花びらがいくつも刺さった。

数は減らしたようだが、魔法でも連発しても手数で勝てなかったようだ。


倒れ込んだユウナの頭に氷柱を落とす。ここは専用のフィールドなので、

出血多量で死ぬ前にはフィールド外にとばされる。どちらにしても命を落とすことは無い。


さあ、勝負はここからだ。勇者さんたち。




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