勇者の実力
すみません。熱で寝込んでいました。埋め合わせも含めた予定は二日に出します。
僕は結界をお母さんから結界を習う時に耳に胼胝ができるほど聞かされた言葉がある。
「やる前から無理って言わない!」
って何度もいや、数えるのが無理なぐらい言われた。
結界の原理は霊気の固定化の後に神気と付与する耐性に合う気力や魔力などでコーティングする。
というのが基本的だが、簡単ではなく例えるなら、
まず四角い箱のようなものがある。それにちょうどあまりなく箱にかぶせれる布を用意して、
それを瞬時にかぶせる。少しでもずれ、つまり布をかぶせれていないところができると、
結界は綻びが出来て、壊れる。この辺りは感覚。覚えるしかないが習得は困難。
僕のは球体の結界だけど。
巫術結界は全くの別物みたいな工程で、僕が使っているのは簡単な物だ。
だからできるが、お母さんは腕を振るうだけでそれを作れる。
まあそんなわけで、無理という言葉は僕の中ではタブーであり、
どんな状況でも、僕には教えられた結界があり、今はまだその十分の一すら使えてないが、
逆に言えば、選択肢はそれだけあるわけだ。一か八か使える可能性もあるから。
だから。
僕が今。
勇者4人に一人で挑んでいるこの状況でも、絶対に無理とは言わない。
時は勇者祭二日目。勇者戦前まで遡る。
昨日の八つの予選で生き残った猛者たちが集まっている控室。
名簿を見ると、
第一試合勝者 ナグリ
第二試合勝者 レイ
第三試合勝者 キース
第四試合勝者 ミルキィ
第五試合勝者 クルン
第六試合勝者 ミュー
第七試合勝者 ルナ
第八試合勝者 ギル
と書かれていた。
ナグリは名前からか知らないけど大きなハンマーを担いでいる大男。ついでに剥げてた。
キースは体にいくつか短剣を入れているポケットが複数ある細身の男。
ミルキィは白色のローブに身を包み、短杖を腰に差している少女。
クルンは騎士風の恰好をしてそれに似合う銀の剣を手入れしている。
ミューは刀じゃないな、薙刀か、それを持つ和風の女。ルナはただの少女にしか見えない。
ギルはナグリと似ている。つまり剥げてる大男がハンマー担いでる。
そういえばトルテさんはいなかったな。残念。
ギルとナグリは知り合いみたいで聞き取れないけど何か会話している。
作戦会議とかは無いみたいで、僕はやりたいけど切り出す勇気がないので椅子に座って
ぼーっとしている。手入れは素振りの後にずっとしてたから特に今やる必要はないが、
暇なのでしている。
時間は止まることを知らず刻々と過ぎていく。
するとあの時と同じように
バタン!
と扉が開けられると、
「皆さん!時間です!会場へと向かってください!」
しかし、
「......。」
無言で会場へと向かう7人。
想像と違ったのか唖然とする呼びつけ係さん。
「(なんかごめん)」
と小声で誤り会場であるコロシアムに歩いて行った。
《さて、やっと始まりました!今回の目玉!勇者戦です!》
《マルケ君、よくそのテンションを保っていられるね。》
《当たり前ですよ!私が一番楽しみにしていた時ですよ!》
《まあ、それは観客の方も同じだろうしね。じゃあ、さっそく紹介に入ってもらおうか》
《はい!わかりました!》
《第一試合勝者!粉砕のナグリ!!!》
《第二試合勝者!氷閃のレイ!!!》
《ちなみにレイ選手の氷閃の二つ名は昨日ついたものだね》
《第三試合勝者!無音のキース!!!》
《第四試合勝者!操者のミルキィ!!!》
《操者も昨日ついたものだね。》
《第五試合勝者!光剣のクルン!!!》
《第六試合勝者!紅蓮のミュー!!!》
《第七試合勝者!月光のルナ!!!》
《第八試合勝者!爆散のギル!!!》
《さて、次は勇者の方だね。》
《全属性精霊と契約!カイト・コンドー!!!》
《気力、魔力だけでなく霊気すらも操る使い手!ノリエ・ハヤシ!!!》
《すべてをぶった切る豪傑の勇者!ユウキ・ナカイ!!!》
《全属性の魔法を操る勇者!ユウナ・マルイ!!!》
《さて、紹介も終わったことだし始めようかなマルケ君。》
《はい!では、勇者祭本戦!勇者戦スタートォォォ!!!》
《....では、勇者祭本戦!勇者戦スタートォォォ!!!》
その言葉が聞こえた途端、勇者四人組のたしかノリエだったっけ?が、僕らに向けて
巨大な衝撃波を八つ飛ばしてきた。
「結界[防壁]」
感覚で気力と分かったので防壁を展開。別に腕試しだから負けてもいいのでミスは恐れない方針だ。
ちなみに、メディはケリーを見つけたらしいので呼びに行ってる。
《おっとここでナグリ、キース、ミルキィが脱落ゥゥ!!》
今ので三人もやられた。確かに初動にしてはかなりの威力だったが、
あれは二分の一出したか出していないかの威力ぐらいのはず。
「ナグリ!敵は取るぞ!ウオオオオォォォ-。メガトンクラッシュゥゥゥ!!!」
ギルがナグリと似たハンマーを飛びあがり勇者側に叩きつけた。
いや、正確には叩きつけようとした。だ。
叩きつける瞬間にユウキに斬り上げられハンマーごと真っ二つ。
《ギルも脱落ゥゥ!ユウキの恐ろしいパワーに真っ二つにされたァ!!》
「(これは笑えないな....。)」
いまギルってのがやろうとしたのは僕の防壁の練度じゃ止められないほどの威力。
しかも落下によるのも含められているその一撃を大剣の切り上げでハンマーごと真っ二つ。
『レイ!!準備できたわ!』
『ごめんなさ~い。ちょっとお母さんに呼ばれて~、行けなかったんです~。』
ケリーは昨日の試合の後も帰ってこなかった。そこでメディは半神精霊の所にいるのではないかと
言ってきたので、見てきてもらうように言った。きっといきなり契約したから、
その件についての何かだと思ったので、できたら連れてきてほしいと頼んだ。
『分かった。ケリー、話は後。結構勇者がシャレにならない強さだからもう呼ぶよ。』
『うん!』
『わかりました~』
速やかに念話を済ませて状況の確認。
今残っているのは
僕、クルン、ミュー、後...ルナだっけ?四人残っている。
「(結界[二重結界])」
「(結界[完全防壁])」
「(結界[反射魔結界])」
小声でできるだけ早口で結界を展開。
でも、相手には霊気のエキスパートがいたのを忘れていた。
「みんな!あの刀持ってるやつ何かしようとしてる!」
気づかれた。早く唱えよう。
「二人の友よ、我は願う、契約に従い、その力をこの身に宿し、共に戦うことを願う。」
「ギガボンバー!!」
やはり無視してはくれなかった。とてつもなく大きな火球。直径2フラットぐらいかな。
だけど、反射魔結界にはかなりの神気を込めたのでこれぐらいなら何とかなる。
「え!?」
反射された火球を見て驚くユウナ。
「大巫術![精霊開放・精霊合一化・]!」
体の表面が冷たいなと思えば全身が氷の鎧に覆われていた。刀も薄い氷が張っている
周りはこちらを見ている。
『やりすぎた感が....。』
『別に滞在するわけじゃないし、有名になっても損はないでしょう。』
『そうですよ~。』
『みんなこっち見てるんだけど....。』
『知ってるわよ。さあ、やるわよ。バックアップしてあげるから思いっきりやりなさい。』
「はいはい、分かったよメディ。」
最後は念話をせず声に出す。そういいながら居合の構えをとる。
「行きますか。居合[疾風一閃・氷]」
狙いは面倒くさそうなノリエ。
「っ!魔衝撃!」
魔力を纏ったこぶしで防がれたけどまだ終わらない。
今のはあいさつに過ぎない。
『よし、私たちの出番ね。行くわよケリー。』
『準備オーケ~。』
『『氷柱の雨』』
空間を操る精霊と氷精霊が手を組むとこうなるわけです。
次々と生み出される氷柱に勇者側は混乱。
「紅蓮乱舞!」
炎を薙刀の刃に纏わせ勇者に切り込むミュー。
「だーくらいとらんす!」
そんなのんきな声で放たれた月の輝きを放つ数十の槍。
これを放ったのはルナ。普通に強い。無詠唱だ。
「たああ!!」
そしてクルンもカイトに斬りかかる。その剣は光を纏っている。
「調子に乗ってちゃだめだよ。油断禁物ってね。」
その瞬間、不思議なバリアのようなものが勇者たちを包み三人の攻撃と氷柱を防ぐ。
「お返し。」
バリアは爆散し、三人を吹き飛ばした。僕も吹き飛ばされ地面を転がった。
「さあ、皆行くよ。」
観客も勇者側に賭けている人が多いので歓声が聞こえる。
「精霊武装」
カイトの体は七色の鎧に包まれた。
勇者とはいっても、精霊武装と言ったので、強制系の契約だろう。
僕みたいな精霊にも自由度が高いものは合一化、強制は武装だったはず。
「これ恥ずかしいから早く終わらせるよ。」
「いいじゃねえか、かっこいいぜ勇者サマ。」
「からかうなよ仲井。スピリットフレア。スピリットウィンド。」
そんな会話をしながら普通に高威力の精霊魔法を二つぶち込んでくるカイト。
対象はルナ。
「だーくらいとばたふらい」
月明かりの色をした蝶が二つの精霊魔法を相殺する。
「だーくらいとばたふらい・とるねーど」
これも無詠唱。月明かりの蝶は渦を作り勇者を襲う。
「メテオ!」
しかし、今度はユウナの攻撃で蝶がすべて潰される。
「ハッハーー!!」
そういいながら飛びあがり大剣をルナに振り下ろそうとするユウキ。
これ以上損害が出るのはまずい。
「居合[刹那一閃・氷]」
ガキン!
かなり力を入れたのに弾き飛ばせず、僕はのけ反ったけど。
空中にいたユウキは尻餅をついた。
「だーくしょっと」
隙を見て素早く闇玉を放ってくれた。
「やっ!!」
どこから飛んできた衝撃波がそれを破壊。貫通してルナに当たった。威力は弱まったので
ユウキ同様尻餅をついて終わった。
「まず数を減らそうかな。スピリットレーザー、インフェルノ!」
無詠唱で魔法をどんどん出してくる。精霊魔法は使いやすいし、しかも精霊と契約するだけでも
既存の魔法が使いやすくなるというのもあるので、きつい。
しかもまだ剣を腰から抜いていない。
魔法の対象はクルンがレーザー、ミューが地面を這いながら迫る炎。
余りにも速いレーザーにクルンは貫かれた。
ミューは炎を逆利用して薙刀に纏わせてカイトに投げ返すようにして炎を飛ばした。
「このっ、[桜ノ舞・氷]」
とにかく攻めないと、長期戦は無理そうだ。居合じゃなくてもいい舞を使って攻めよう。
まず目の前のユウキから。
「やべっ。」
大剣を前に構え防ごうとする。
最初の二撃を大剣に、飛び越えながら二撃、最後に氷のつぶてを飛ばす。
だけど、ユウキはかなりの重装備で致命傷には至らなかった。
「この野郎!噴火!」
地面に剣を突き刺したかと思えば、辺りが爆発、だも展開してあった完全防壁がそれを防ぐ。
「何!?」
「[吹雪ノ舞・氷]」
これだと倒しきれないと思うので、足を狙って機動力を殺ぐことを狙おう。
「ぐっ、ぐああああ!」
追撃の不可視の五連撃が入り苦しむユウキ。
「仲井!下がれ!ラッシュ!」
間に入ってきたカイトが腰からやっと抜いた剣で高速連続攻撃をしてきた。
最初の上段からの一撃は後ろに飛んで避ける。
追い打ちで突きを放ってきたので刀で軽くそらす、が、その剣が急停止。
「竜巻!」
回転する剣。風が巻き起こり吹き飛ばされた。
「がはっ!」
地面に強く打ち据えられる。
「け、結界[防壁]」
防壁を展開をしながら立ち上がる。向こうではミューがノリエと交戦、
ルナはユウナと魔法戦を繰り広げているが徐々に押されている。
「スピリットレーザー。」
半身ずらして避ける。
「よっと。」
「そこだ!」
ガキン
結界がはじいた。ここしかない。
『メディ!』
『了解。氷千刃!』
数えきれないほどの氷の刃がカイトを襲う。安心はできないので僕も追い打ちをかけようと思ったけど、
邪魔が入った。
「やらせねえぜ、っと。」
また上から斬りかかってきたのでたまらず後退。
氷の刃はカイトにかなりの傷を負わせたがこれも致命傷には至らなかった。
メディも全力が出せないので仕方がない。
『上から来ますよ~』
ケリーからの警告。上を見ると隕石が、恐らくメテオだがルナはどうなったのだろう。
見ている余裕はないので、魔結界を展開。
きつい戦いだ。
次の投稿の予定は二日の予定はご覧ください。それまで少しお待ちください。