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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
31/75

南方面の西の大国 グレゴリアド王国

割とギリギリ、今日は文字数少なめですが申し訳ないです。

来週もこれぐらいかも?

翌朝。


僕は寝袋の中で目を覚ます。

この寝袋はお父さんのおさがりだけど、そのあたりで売っているような品質とはくらべものにならない。


メディが寝ていたであろうお母さんのおさがりの寝袋は、

綺麗に畳まれてご丁寧なことに僕が寝ていた横に置かれている。

もうメディは目を覚ましたのだろう。まだ朝日が顔を出す時間帯なのに。

朝日の光を反射している湖に近づいて、その水で顔を洗い頭を起こす。


「ふう...。」


メディが使った寝袋はきちんと畳まれているので、僕の寝袋だけ畳んで、

二つとも入れてきたバッグに押し込み蓋をする。


まだ少し眠い目をこすりながらメディとケリーを探す。

しかし、見渡す限りはどこにもいないので、散歩にでも行ったのだろう。


「おなか減ったな。何かあったっけ?」


ポーチを探るが、日帰りのつもりだったので入っていたのは予備の携帯食料。

具体的には干し肉とかだが、これでは味気ないので湖の近くに生えている木から果物をさがす。


「おっ、ガップルだ。」


エインの好物である、噛めば果汁があふれてきてとても美味しい子供のお菓子の定番だ。


「これは...。ピルルだっけ?」


ピルルは親指と人差し指でわっかを作った時の大きさの丸い果実だ。

甘くて、採れる量も多くなく栽培環境がこれほどとは言わないが、

綺麗な水辺の近くであることも理由に高値で取引される果実だ。


僕はその二つの果実をそれぞれ5つ採ってそのまま齧り付いていた。


「あ、もう起きたの?」


メディの声。振り返るとそこにはメディとケリーが立っていた。


「うん、まあね。そっちこそこんな早くからどこ行ってたの?」


「ケリーと一緒にグレゴリアド王国の情報収集。」


「ちょっと待って、すぐに精霊ってばれるのにどうやって調べたの?」


しかも、ここから200フレイは軽く超えている所だ。

そう簡単に情報が得られるのかな?


「何言ってるのよ、ケリーは次期ではあるけど、立派な空間属性の精霊よ。

 遠いところに転移することなんて造作もないのよ!」


そんなに力説されても...。しかも行けたのはメディじゃなくてケリーのおかげなのに。


「ふ~ん。で、その情報収集の結果は?」


「私たちが調べたのは勇者の事だけ、でも、面白いことばかりよ。」


「焦らすなよ。」


「まず、カイト・コンドーってやつがなんと、属性精霊の最上級と全員契約したんだって。

 そのせいで精霊側はいろんな意味で大混乱になったりしたわ。

 二人目がノリエ・ハヤシ。まだこっちに来たばかりなのに、魔力と気力。ついでに霊気まで

 使える純粋な戦士ね。魔法はあまり使えないらしいけど。

 三人目がユウキ・ナカイで、なんていえばいいのかしら、一言で言えば重騎士かな。

 ガチガチに鎧で包まれた大剣使いみたいね。後、大きさ3フラットの大剣だったわ。

 で、最後がユウナ・マルイね。簡単に言えば魔法使い。一応闇、光は分からないけど、

 残りの五属性は使えるみたいね。この四人が今回の勇者ね。まあまあ強いらしいわ。」


ふむふむ、って、カイトってやつは何やってるんだろう。精霊界の秩序を乱したいのだろうか。

ノリエとユウキは戦士か。まあ強いのだろうけど。

最後のユウナってのは五属性を使えるってことは、この報告はメディ基準だから、

使えるは少なくとも五属性が上級以上だろう。


「せっかくだから、こいつらと戦ってみない?」


いきなり何言ってんだ...。


「は!?無理に決まってるだろ。」


「それができるのよ。三日後に武闘大会があるらしいんだけど、それには勇者も参加するんだって。」


勇者...。暇なのか?僕の想像だけど、何かと戦ったりするとかが仕事じゃないのかな?


「違うわ。その勇者は、この大会の後に天と地の峡谷の問題を解決しに行くんだけど、

 まだ勇者は召喚されて今日で八日。勇者たちからすれば腕試し。

 グレゴリアド王国からすれば勇者の力を見せつける場所でもある。って訳ね。」


まあ、召喚されてすぐだから、勇者に天と地の峡谷の問題を解決できるという勇者たちに対する

民衆の信用は得ておくべきなんだろう。でも、なんで勇者たちは召喚されたんだ?


「ああ、それは....。今天と地の峡谷からは、たくさんの高ランクの魔物が出現していて、

 それが魔王ガドロゴス復活の前兆って言われてるの。前の勇者がガドロゴスを

 封印したのもここだからね。だから、もし復活した時に備えて召喚したって訳。」


「なるほどね。今回の勇者は前のよりは強いの?」


前より弱かったら封印すらできないだろう。


「う~ん。まだわからないけど前は一人。今回は四人だから大丈夫だと思うよ。」


「じゃあ、安心かな。あ、そういえばさ、召喚って、異世界から人を呼ぶわけでしょ?

 呼ばれる当人は拒否権ってあるの?」


強制的に呼ばれたとかならかわいそうだ。だが、情報を手に入れたのなら、

その勇者は引きこもったりせず外には出ているはず。


「無いわね。でも、召喚って言うのは、一応ってレベルではあるけど異世界に行きたいって

 願望が強い人ほど召喚されやすいとか聞いたわね。」


「でも、実際来たらやっぱり帰りたい人がいるわけじゃない?それは?」


帰還用の何かはあるのだろうか?なさそうだけど。


「え~と、空間半神精霊様から聞いた事だけどね、勇者って召喚される時に、

 その世界の神様と会話する時間があるんだ。そこで加護と、召喚される世界での使命。

 その二つに関する話があるんだって。使命を達成すると、また神様と会話して、

 元の世界に帰るか帰らないか選べるらしいのよ。」


実に勇者らしいな。使命が終われば帰っていきますよ~って事みたいだけど。

神様から与えられる使命って程だし、1年で終わるものだろうか?

仮に1年で達成できても帰れば、1年間という大きなずれが生じて、

また元の生活を送るのは簡単ではないだろう。

逆に言えば、帰りたくない人にとっては願ってもない話でもあるかもしれない。

面倒だな。召喚って。


「まあ、勇者と召喚については分かったわね?話を戻すけど、武闘大会に出る?」


う~ん。悩みどころだな。勇者と戦いたいのはやまやまだけど、

神様からの加護ってやつはヤバそうだ。鬼人化は使うわけにはいかない。事実上滅びてるし。

正直勝てる気がしないから出る必要はなさそうだけどな~。


「それについては案はあるわ。私とケリーの同時精霊化。でも、それは事実上不可能。

 だから、精霊合一化を私とケリーが同時にすればできなくはないわ。」


その後、長ったらしい説明が続いたのでまとめると、基本的に、精霊の力を自分の力として

フルに使うには、精霊化が必要。


精霊化は、本人を幽体離脱させ、精霊として実在するための力以外を契約者に

一時的に貸すもの。幽体離脱した精霊は戦えるが四分の一程しか力を発揮できない。

これの上位互換があり、これは精霊と心を通い合わせることが必要だが、

今は関係ないので置いておく。


今回の案である。メディとケリーとの同時精霊合一化。

精霊合一化は、精霊が防具などに変化し、契約者の武具となり、共に戦うもの。

こっちなら、精霊は合一化しても本来の三分の二ほどは力が発揮できる。

勿論契約者の力も上がるが、これは精霊化とほとんど同じ分しか上がらない。

いや、むしろこちらの方が少し弱くなるが、これをメディとケリーが

同時にすることにより単純に強くするのだ。


しばらく考え込んでいたが、難しく考えるより、これは同時精霊合一化のテストと

思うことにして、僕はメディに答えを出した。


「じゃあ、行こうかな。僕もやってみたいし。精霊合一化。」


そんなわけで意見がまとまり、グレゴリアド王国の武闘大会に出ることになった僕たちだけど、

鬼人化もさておき、精霊合一化。はかなりの高等技術であり、精霊化はまだしも、

ただの精霊合一化ではなく、二人の精霊で行う同時精霊合一化。

下手に注目を集めてしまうことを完全に忘れてしまったのは、僕たちの大失敗だったかもしれない。

 




予定道理投稿します。

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