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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
28/75

静かな幻想の白桃花

このままじゃあらすじ詐欺っぽいと感じて結構予定を前倒しにして進んだかもしれない2章。

3章からはこんな感じの話。少なくともタイトル詐欺やあらすじ詐欺にならないよう

書いていきます。

「どうしようかなぁ。」


先ほど石を投げたが、それが砕け散ったのを見て、

さらに打開策を思いつけなくなった僕だけど、ミナとレンのお父さんを

助けるためには白桃花が必要不可欠だ。

だから僕は、ただひたすらに打開案を考え続ける。






関係の無い話だけど、僕の苦手なものは、姿形が確定していないものと、

暗闇、つまり暗いところが苦手なのだ。

決して無理なわけじゃない、本当だよ。


「これしかないかな?」


カンテラの火が弱々しくなってきた。

恐らく、あと一時間ほど持つか持たないかの時間しか残っていない。

あと一つは帰り用に取っておきたいのでこの一時間程しか使えないカンテラで、

あれを突破する方法を考えないといけない。


「結界[二重結界]」


「結界[反射防壁] 結界[防壁]」


結界は二重には基本的には展開できず、しようとすると上書きされる。

そのためのこの二重結界、というわけなのだ。


とりあえず、まずは強行突破を試してみる。


ガキン!


「うわっ!」


影がうごめき、結界によりはじかれる音が急に聞こえて思わず声が出る。

結界を展開しているからと言っても、その勢いまで完全に相殺することはできない。

そのため、駆け抜けようとする僕の勢いも殺がれ、まるで見えない壁にぶつかった

かの様に、はじかれて尻餅をつく。しかし、[反射防壁]を展開している

のに謎の影には効果がなさそうだ。


「とりあえず引こう。」


一度撤退。謎の影が襲ってこなくなるところまで引き返し、

また考え込む、ついでに左腕の止血も行う。


ちなみに、残念ながら巫術には回復できるような便利なものは無いので

ポーチに詰め込んであった包帯らしきものでも巻いておく。

痛みには慣れているので、特に問題は無い。

皮肉なことだが、グレイブ爺さんとの猛特訓は役に立っているようだ。


まあ、そんなことはさておき、これまでの結果からわかる情報は。


・一定以上進むと攻撃対象になる。


・姿形は分からず、声も出してこない。


・[防壁]で防ぐことはできるが、[反射防壁]ではね返すことはできない。


・攻撃が結界に当たった時の音から、爪による攻撃である可能性は少ない。


・一定以上進んだ石を正確に迅速に破壊し、左腕を血だらけにするほどの威力と精度の高さ。


だいたいこんな所だろう。

まとめてみると死角がなさすぎる。

というか、どうして[防壁]で防げるのに、結界が破れた音もしないのに、反射できていないのだろう...。

[防壁]で防げる=攻撃が物理的攻撃であること。

[反射防壁]=物理的な攻撃を反射する(限度あり)

という等式が成り立つのに....。しかも、[反射防壁]が壊れないということは、

反射できる限度を越えていないか何らかの反射できない原因があるかだ。

う~ん、ますますわからなくなってきた~。





「よっしゃー!行くぞー!!」


え?次の案はって?

思いつきませんでした。

なので、強行突破2回目。実行。


具体案。

鬼人化、三重結界、突撃。


鬼人化して全体的な能力を上げて、なおかつ、この状態のみでできる[三重結界]を展開して突撃。


「神よ、我は願う、祈りの対価に今は滅びし、古の一族、我の鬼人の血と魂を

 呼び起せ!大巫術![鬼人化]」


まるで噴水のように噴き出す力を制御する。

僕の頭には角が二本生える。


「結界[三重結界]」


「結界[防壁] 結界[反射魔結界] 結界[衝撃吸収]」


一応、[防壁]で耐えれるようなので防御系はこれだけにして、

思い付きで入れた[反射魔結界]と、さっきのように勢いを止められないように[衝撃吸収]も入れた。


「さあ、勝負だ!」


僕は駆け出す。そして、謎の影が襲ってくるラインを踏み抜いた。


ガキン!


結界を攻撃された声が聞こえるけど、さっきの様にはいかない。


ガキン!


それでも、僕は何事もなかったかように走り続ける。


ガキン! ガキン!


1フレイは走ったかな?後、音が増えたね。

ちなみに、[反射魔結界]は展開しているが、反射はさせていない、

[防壁]が破れたときの保険だ。


ガキン! ガキン!


ガキン! ガキン!


ガキン! ガキン!


そろそろ[防壁]ではきついかな?

じゃあ、反射させますか。


僕が[反射魔結界]を起動させると、あれほどうるさかった

結界を攻撃される音が嘘のように消えた。


反射された何かは謎の影の方にはいかず、洞窟の天井へと向かい炸裂した。

すると周りがひび割れていく、周りがひびだらけになって、

破片が爆発し僕の視界を白く染め上げた。





目を開けると、先ほどの光景が嘘のような花畑が広がっていた。

僕が立っているのはドーム状の洞穴のような空間。

壁は洞窟のように壁はごつごつとしているが、

そこに広がるのは、桃色が薄まった程度の色の花が広がる花畑。

つまり白桃花の花畑。


そんな幻想的な光景に僕はしばし見惚れていた。

あまり広くはないが、白桃花から時々漏れるように出ている粉は

蛍のようにちかちかと点滅しながら白桃花と同じ、

桃色を薄めた色で光っている。


それがこの幻想的な光景をさらに輝かせていた。

しかし、その粉は恐らく、僕に幻を見せていた真の正体。

ガキンと響いた音は、僕が壁にぶつかりそうになったときに結界に止められただけ。


[衝撃吸収]を使った時にガキンとなる音が一気に増えたのは、

壁に勢いを殺されずに進み続けたから。


一定以上超えた瞬間に攻撃を受けるのは、その一定以上のエリアが壁だから。

すると、石が急に砕けたのも納得がいく。小石サイズの石を壁に投げたら砕けるに決まっている。

謎の影もただの幻。姿形もはっきりせず声も聞こえないことを不審に感じるべきだった。


幻なら、左手が血だらけになっているのに思ったより痛くない現象も納得できる。

慣れていると言っても痛くなくなるわけではないからね。


つまり、あの蛍のように点滅する粉。あれは、

吸い込んだりした生き物の方向感覚を狂わせ、されに幻を見せる。


帰ろうすると帰れる洞窟の噂は、単に、その場から離れようとして、

あの粉が届かないところまで戻り、方向感覚が戻った。

そんなところかな。この粉は、花粉みたいなものだが、幻惑魔法の性質を持っていたので

[反射防壁]でははね返せず、逆に、

[反射魔結界]では、幻惑魔法の方をはね返したからだろう。

それで、僕にかかった幻を打ち消したって感じかな?


この幻想的な光景をのんびりと眺めれないのは残念だが、

僕にはやらなければならないことがある。


「さて、3本ぐらい採って帰ろうかな。」


立ち上がりながら左腕に巻いた包帯を外す。

血だらけと思っていた左腕は、かすり傷がたくさんあっただけだった。







なんだかんだで無事に帰れました。


もうすっかり夜だ.....。


綺麗な夜空を眺めれる場所とか無いかな?

外は魔物が多すぎる。少なくとも30分間に一度は襲われるだろう。

丘の上とか高い場所で魔物がいないところ.....。


まあ、今はいいや。

一刻も早く帰りたいからね。


「神よ、我は願う、祈りの対価に神速を願う。巫術[神速化]」


だいぶ神気も使ってしまったのでさっさと帰る。

神気が無いということは、魔力も気力もないので、

割と危険なのでさっさと帰ることにしよう。


あっ、ついでになんかお金になりそうな魔物持って帰ろう。







あんまり強そうな魔物はいなかったので、またブラッドパンサーを

持って帰ってきました。白桃花はポーチの中です。


今はミナとレンがいる神隠しの宿の前に立っている。

ブラッドパンサーは換金済みだ。

なんだかんだで、しばらくの食費は稼げた。

ブラッドパンサーはかなり強い部類に入る魔物らしく、

ランクは☆6が4~5人で安定して狩れる強さだが、

ブラッドパンサーは爪に血を蓄えて攻撃の際に時々まき散らしてくる。

これがなかなか厄介で、ブラッドパンサーの爪には毒が含まれていて、

それはかなり強力だ。その爪に蓄えられた血をまき散らすということは

強力な毒液をまき散らすことに相当するとか。


そのため、下手をすれば☆7にも食い込むらしい。

僕の場合は奇襲で終わったけど。


それはさておき、この花をミナ達に渡さないと。


チリリーン


「採ってきたぞ~。」


「いらっしゃいま.....ってレイさん!?もう帰ってきたんですか!?

 もしかして採れなかったとか「はいこれ。」え!?白桃花じゃないですか!

 本当にとってきてくれたんですね!ほんっとうにありがとうございました!!」


「姉ちゃんどうしたの?」


「レンさんが白桃花を採ってきてくれたの!」


「え!?本当!?」


「嘘じゃないわ。これ、紛れもなく白桃花よ!」


「これでお父さんを.....。」


「ええ、治せるわ!」


「ありがとう!レイ!」


「こらっ!レイさんでしょっ!あっ、本当にありがとうございました!」


やっぱり、お礼を言われるというか、感謝されるってとてもうれしいよね。


「別に構わないよ、一応自分の分も採ってきたしね。」


そう言いつつ僕が採った内の残りの二つを見せる。


「高く売れそうだから、余分に採っておいたんだ。」


「そうなんですか、たしか今だと、おひとつ100万ローアぐらいです。」


「高っ!」


「様々な病気に効くとても高価な薬としても知られていますからね。」


「姉ちゃん、早く父ちゃんを治そうよ。」


「そうね、ごめんなさいレイさん。行きましょうレン。」


ミナとレンは彼女らのお父さんを治療をしに去っていった。


「僕も寝よ。」


僕も疲れたので、今日はゆっくり寝て、また明日ミナ達のお父さんの様子を見に行くことに

しようと思って、僕は速足で部屋へ向かった。







「う~ん。」


大きく伸びをしながら目を覚ました僕。

 

「今は何時かな?」


僕が実家にいた時は、時計という円形のよく分からない物がかなり正確に時間を教えてくれた。

ただ、ビュルンデルに来てから時計なんてものは無く、とても不便な毎日だったが、

学校にいた頃は、休み時間や授業時間の終わりや始まりに鐘が鳴ったりするから、

何とかやっていけた。時間はどうやって知るのか後で聞こう。


「ポーチの中にあった気が....あ!あった!」


僕が取りだしたのはレイの手首にちょうど巻きやすそうなサイズの腕時計だ。

ちなみに7歳の誕生日の時にもらった。いきなり紐を手首に巻き付けられて、

かなりびっくりしたことが今でも鮮明に思い出せる。


「今は、8時か....。もう一回寝ようかな。」


そう言って二度寝した僕だったけど、ポーチを開けっ放しにしてしまい

白桃花のあの花粉が部屋の中に飛び散り、とても嫌な夢を見せられた。

どんな夢かって?えーと、それは想像さんに聞いてください。

















固有名詞紹介


冒険者


基本的には魔物の討伐、未開地の探索、遺跡などの探索。

これらが主な仕事であり、一攫千金が十分実現可能な職種ではあるが、

その分だけ命を落としやすい。そのため、冒険者ギルドが

そう簡単に命を落とさないように、星の数でランク分けしたり、

冒険者が持ってくる魔物の素材は高く売れたり、人手が多過ぎるなんて

事も無いので、学校で将来有望な生徒をスカウトしに行ったりもする。

星の数によるランク分けは☆1~9個まであり、もちろんそれに合う依頼をギルド側が出す。

後、ランクにはさらに上があり白の星ではなく、黒星。

これは★1~3個まである。ただ、これらのランクに至っている冒険者は、

人外やら、天災(天才じゃない)と呼ばれるくらい強い。

勿論魔物も★一つでも国の全兵力を使ってでも倒さないといけないレベルだ。

レイをこれに則ってランクをつけると、素の状態で☆9。鬼人化で★2精霊化は★1ぐらい。

レイがおかしいというより、グレイブ爺さんとかがおかしいだけ。

後、ガロは素の状態でも★3。




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