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静かが好きな結界使い  作者: 蒼色
二章 空白の5年間中編 契約の旅
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その者の視界を阻む物なし

ちょっと私事ですが、ちゃんと週一更新が11月中は完全にできないかもしれません。

申し訳ありません。勿論、投稿できるよう頑張らせていただきます。

レンとミナに見送られて僕は出発し、現在、ジース洞窟の前まで無事についた。


「うわ~暗いな....。」


そう呟きながら僕は行く前に買っておいた魔石式のカンテラを起動させる。

そのまま洞窟へと進んでいくが、その前にある結界を使う。


「神よ、我は願う、我の守護の力を使い、神の力をも使い、

 我の視界を阻ませない結界を望む。巫術結界[一望無根]」


僕の周囲を半透明の壁が覆う。前の僕じゃできなかった。

お母さんが愛用していた守護の力。

巫術と付いているが、ほとんど自力で展開する結界だ。

あくまで元は神術と言っても、本当は、認められしものから力を借りる術。

神の力は今は借りにくい状況になっているらしく、発動には経験と、

通常の結界の精度や展開速度などの実力が一番必要とされる[巫術結界]

あくまでも僕はハーフ、血はあっても僕にはできなかった。

僕は自分にしかかけれないが、お母さんは人だけでなく、物にさえかけることができ、

鬼人族であることを隠しながらお父さんと冒険者をやっていたときは

要塞の建築者なんていう変な二つ名がついた。らしい....。



一望無根のように洞窟には僕を阻もうとする魔物は等しく吹き飛ばされ、

明かりの届くところなら広々と見渡せる。

これが草原でなら、まさしく一望無根の名の通りになるだろう。


しかし洞窟は深く。急いでも一日丸ごと、この洞窟での白桃花の採取に使うだろう。

そのために洞窟から少し離れたところまで二日目の昼についても、探索するのは止めて

野宿の準備をした。


というわけでオレングスから出発して三日目となる夜明けごろに探索を開始した訳だが、

今のところは結界のおかげで順調だ。

襲ってくる魔物は等しく壁に向かって一直線に吹き飛ばされる。

それでも何度も襲ってくる奴もいれば、一回吹き飛ばされてからはあきらめて逃げるやつもいる。

中には気づいてもむしろ離れていく魔物まで様々だ。


そして、何度襲ってくる奴の筆頭が、ゴブリンハンター。

ゴブリンよりは頭がよく、と言っても大差はないが、正面から挑んでくるのは少なく。

主に奇襲を行うことでそう呼ばれる。区別の仕方は肌の色が薄いことぐらい。


「あとどのくらいかな?」


体感では2~3時間ほど歩いている気がする。

疲れはないが、時間がどのくらいたったかわからないのはなんだか不安な気もする。







体感で5~6時間ぐらいだろうか。

あまりにも変わらない光景にうんざりし始めた。

時々分かれ道があるので目印をつけてから行くと、行き止まり。

反対は続いていて、分かれ道は先に進んだ片方が行き止まりではなかった時を除き、

全てこんな感じだ。

つまり半一方通行ということだった。


「飽きてきたな~。」


魔物に襲われる心配がなくても、一応警戒はしているので精神的にも疲れてくる。

しかも、ほぼ一方通行で面白みが無い、まあ迷うよりましだけど。


カンテラの光が弱くなって視界が悪くなってきたので、余裕があるうちに取り換えておく。

予備の魔石は3つあるが、足りるか不安になってきた。






体感で9時間以上たったかな?少しおかしなことに気付いた。

目印をつけるときは刀で十字を切ってその後岩に残しているのだが、

たまに、その後また分かれ道に来た時に十字のような跡がついている気がする。

もしかしたらループしているんじゃ...。


それを確かめるために、氷華で凍りつかせながら目印をつけながら歩いていたら。

とある分かれ道を見たときに氷は無かったが、やけに湿った場所を見つけ、

さらに1つ奥の分かれ道も湿っていた。


最初に湿ったところを見つけた分かれ道に戻る。

分かった事は、恐らくこの洞窟が何らかの手段で空間をつなぎ合わせられている

ということだ。


もしこれが本当なら僕が聞いたこの洞窟の噂話の中であった永遠に終わらないが

帰ろうとするとすぐ帰れるというおかしな噂は本当だったのだろう。


つまり、終わらないのに帰れる。

それは今の僕の考えが正しいのなら、空間のつなぎ目を斬れば....。



「神刀[一刀両断]」


最初に発見した湿った場所に放つ。

辺りが目を思わず閉じるほどの光と浮遊感を感じた。






目を開ければ、先ほどと変わらないような光景が広がっている。

一本道だ。しかし分かれ道はこの場にない。

まあ、先に進めばわかるだろうと思い歩を進めた。


体感で1~2時間がたったぐらい。失敗かなと思ったが、

さっきから一度も分かれ道を見つけれていない。

何か変化は絶対にあるはずだ。


あまりにも疲れたので休むことにした。

ただ食べるものは固いパンぐらいしか持ち込んでいないから

食事は貧相だが、それをのんびり食べながら

この現象に詳しそうなメディを呼んでみたのだが、

メディでもよくは分からないそうだ。

ただ、最上級の精霊の中には、空間を司ると言われる

精霊がいるのだとか。

詳しく聞くと、精霊には、火、水、木、地、風、闇、光。

これらが中心となっているが、これだけではなく、

例えばメディは氷、というように、他には雨、雷、大地、氷、雪、陽、月。

のような、自然属性がある。

そして、メディがさっき言っていた空間を司るという精霊は、

あまりにも強い力を持つため、精霊たちからは半神精霊とも呼ばれるとか。

空間を司る半神精霊と時を司る半神精霊がいる。


だから、空間を操れるということは神の領域に半歩踏み込んだのと同じであり、

そう易々とできるようなことではないのだ。

ちなみに、結界はそれの小規模ともいえるが、身を守ることなどにしか使えないので、

その差は歴然だ。


「なるほどなぁ。だいたいわかったよメディ、ありがとう。」


「お安い御用よ。後、余裕ができたらもう一度私を呼んでくれない?」


「分かったけど...どうして?」


「その時に話すわ。じゃあね!」


「もう行ったか....。そろそろ再開しようか。」


用件だけいって去ってしまった。

辺りは静かになり、なんだか急に寂しくなったので、

探索を再開することにした。







それから、1時間ほどたったかな~と思い始めた頃。

辺りが明るくなり始めた。

否。明かりが見え始めたと言うべきかな。


ただ、長時間歩き続けたことで、何もしていないことによる飽きもあり、

警戒を忘れてしまった。

これは、僕が結界という、守りに特化した力を持っていたからこその

気のゆるみのせいでもあったかもしれない。


何かが見えた気がした。そう感じたときにはもう遅かった。


「っ!」


声ならぬ声を上げた僕は、[防壁]展開しようとしたが間に合わなかった。

僕は大きく吹き飛ばされ、後ろに壁は無く、地面に投げ出された。

このとき、僕には、いきなり襲われたことの驚きのようなもの。

そして、結界を展開しているのに攻撃を受けたことだ。

しかし、後者に関しては、冷静に考えれば答えは出る。

これは、よく展開する[防壁]のようなものではない。

巫術結界は本人の実力や経験が大きく影響する。

だから、自分より強いものや、結界の種類によっては、一撃で破壊。

結界を展開している本人に被害が及ぶ。


ただ、さっきの、二つの焦りのようなものに頭が混乱し、

次の行動へと移れなかった。


「ぐ....。」


それに加えて、吹き飛ばされたときに、とっさで左腕だけで守るような体勢を

とったので、左腕以外はかすり傷程度だが、左腕は血だらけだ。

使い物にすらなりそうにない。


「何が起きた....?痛っ。」


とにかく立ち上がろうとして左腕で支えて立ち上がろうとして、

また崩れ落ちてしまい、今度は右腕で支える。


「いたた......。結界[防壁]」


何とか立ち上がり、[防壁]を展開。

左腕が使えないので、いつものように居合の構えは出来ないので、

刀を抜いているが、いつもはこの持ち方の時は両手なので、

少し、違和感がある。


しばらく警戒姿勢をとっていたが、攻撃してこない。


「結界[完全防壁]」


多めの神気を使うので使用は控えているが、

この状態では四の五の言っていられないので、

使うことにした。


構えを解いて、少し考える。

明らかに先ほどの僕は隙だらけであり、

下手をすれば死んでいてもおかしくなかった。

可能性としては、追撃してこないのは何かを守っているのではないかとも思えた。


追い払い方がいきなりの半殺しのレベルなのはいかがなものか。

ただ、少なくとも、あそこまで強力な攻撃を仕掛けて置いて

追撃してこない。しかも、攻撃してきたのが何かを守るため、という理由だったのなら

というのが付くが、恐らく、自我を持っていない。

例えば、ここまで来たら攻撃。そんな設定をされているようなやつだと思う。


その仮説があっているかどうかを確認するために、そのあたりの石を投げた。

すると、その石は空中で砕け散った。

それもいきなり。


「どうしようかな~....。」


姿がわからぬ未知の相手に僕は悩むこととなった。

















次回はいつも道理の予定で、活動報告に11月の予定を載せておきます。(投稿と同じぐらいのタイミングで)

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